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『名探偵エミールの冒険1 ドーヴィルの花売り娘』 

メグレもので有名なジョルジュ・シムノンによる、「エミールもの」の第一集。短編ミステリ4本。
赤毛の名探偵エミール、元スリのバルベ犬、元メグレの右腕トランス、タイプライターお嬢さんマドモアゼル・ベルトの4人からなる探偵事務所が、チームで謎解きをして行きます。
形式としては探偵+助手が一人ずつというホームズ型ではないのですが、お話の転がり方にすごくシャーロックっぽさを感じました。
冒険小説寄りの推理小説というか、まだフェアプレーが強く言われてない頃のある種の自由さがあるように思います。
推理はするけど読者に材料がきちんと出ているとは限らないし、必ずしも論理だけで話は片付かない。
その初期の、原石のような雰囲気が懐かしくも楽しかったです。

収録作品は以下。
「エミールの小さなオフィス」
「掘立て小屋の首吊り人」
「入り江の三艘の船」
「ドーヴィルの花売り娘」

ドーヴィルの花売り娘 (名探偵エミールの冒険 1)ドーヴィルの花売り娘 (名探偵エミールの冒険 1)
(1998/08)
ジョルジュ シムノン

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2009年2月~8月読書のまとめ 

『ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙』 ヨースタイン・ゴルデル 090205
『憲法なんて知らないよ―というキミのための「日本の憲法」』 池澤夏樹 090218
『アイスクリン強し』 畠中恵 090303
『残酷号事件』 上遠野浩平 090307
『血食―系図屋奔走セリ』 物集高音 090315
『詩人の墓』 谷川俊太郎著、太田大八絵 コミュニティ090405
『茶々と信長』 秋山香乃 090407
『私―谷川俊太郎詩集』 谷川俊太郎 090409
『イデアマスター』 若木未生 090702
『ギャシュリークラムのちびっこた―または遠出のあとで』 エドワード・ゴーリー 柴田元幸訳 090709
『小説 ツインシグナル〈Vol.1〉危険の標的』 北条風奈 090710
『小説 ツインシグナル〈Vol.2〉仮想の未来』 北条風奈 090711
『赤い月、廃駅の上に』 有栖川有栖 090725
『虎と月』 柳広司 090807
『探偵伯爵と僕』 森博嗣 090808
『眼球綺譚』 綾辻行人 090820
『殺戮にいたる病』 我孫子武丸 090821
『ぼくの夢発、不可思議ゆき』 千葉尚子 090828
『吉原手引草』 松井今朝子 090829
『どこまでも殺されて』 連城三紀彦 090830
『怪盗グリフィン、絶体絶命』 法月綸太郎 090831

『虎と月』 柳広司 

虎になってしまった男、李徴の息子は、ある日「いつか自分も虎になってしまうのでは?」という不安を抱き始める。
その不安を解消すべく、少年は父がどうして虎になってしまったのかを知るための旅に出る――
中島敦『山月記』の後日譚であり、新解釈に挑んだミステリです。
李徴が「何故」「どうやって」虎になったか、という謎に対して、原作の流れを大切にしつつ新しい角度から光を当ててくれています。
原作を嘘にしてしまうのではなく、原作を受けてがらっと違う「解釈」をするスタンスに愛を感じました。
そのほうがイチから後日譚を創作するよりも難易度が高いとも思います。
ほんの少し見方を変えたとたん、ばっと新しい絵が見えてきたときには興奮しました。なるほどそういう取り方もありかああと手を打って(笑)
伏線の引き方とその回収の仕方が丁寧で、あの情報がここで活きるのか! という驚きもあります。
ミステリの楽しみってこれだよなぁ……!
中国の歴史や漢詩文、故事が縦横無尽に織り込まれているので、お好きな方にはそれも楽しいのではないでしょうか。
私はその辺りあまり詳しくないのですが、平易な筆致で読みやすく、知らなくても充分に楽しめました。

虎と月 (ミステリーYA!)虎と月 (ミステリーYA!)
(2009/02/03)
柳 広司

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『赤い月、廃駅の上に』 有栖川有栖 

「幽」に掲載された作品を中心とした短編集。
がっちりホラーというよりも、不思議な話や軽めの怪談話という感じです。
『作家小説』がパンチの効いた「怖い話短編集」ならば、こちらはもう少しマイルド。
全ての作品に共通しているのは、モチーフや舞台が鉄道関係であることです。
鉄道もホラーも守備範囲な、有栖川先生らしい取り合わせだと思いました。
赤一色に車両という表紙が印象的、またお気に入りです。
しかし、「月」と「有栖川有栖」が並ぶとどうしても「わらう月」を思い出してしまいます(笑)
以下、作品ごとに雑感です。

「夢の国行き列車」
今なら私も乗ってしまいそう、そして帰ってこられなそうな列車です。
名古屋万博に行ったときのことを思い出し、『20世紀少年』で培われた大阪万博のイメージを思い出しつつ読みました。

「密林の奥へ」
この密林は有栖川式「パノラマ島」かな、などと。
濃い緑、鮮やかな花々や奇異な南の生き物がばっと頭に浮かぶようでした。

「テツの百物語」
鉄っちゃんが4人集まって、鉄道にまつわる百物語を始めたのだが――
正統派百物語モノ?

「貴婦人にハンカチを」
実はタイトルから、貴婦人の精(九十九神的な)が出てくるのかなーなんて予想をしておりました…(笑)既読の方は笑ってやって下さい(笑)

「黒い車掌」
状況的に何もなさそうなのに、「どう死ぬか」がミソという意味で、若干ミステリテイストでしょうか。

「海原にて」
めちゃめちゃ海なので、これだけ鉄道は関係ないんだろうか? と思ったら、どうしてどうしてとんでもなかったですね!
ラストシーンで描かれる失われてしまった誇りが、なんだかちょっと泣けました。

「シグナルの宵」
推理作家が登場することもあり、これも若干ミステリテイスト……というか、ミステリの様式に則った怪談話だと思います。
推理小説の定番展開が、上手いこと話の流れを怖いほうへ繋げて行きます。
舞台となるバーの雰囲気が素敵です。常連になりたい(笑)

「最果ての鉄橋」
車掌さんが好きです。社長さんもいいキャラでした。

「赤い月、廃駅の上に」
鉄道忌避伝説についてざっと説明があるのですが、これが面白い。調べてみたくなりました。
冒頭の情報が最後まで活きているのが良かったです。
夢枕獏の陰陽師シリーズに出てくる百鬼夜行シーンを思い出しました。

「途中下車」
蝶ネクタイの青年が好きです。車掌さんといい、善悪も意図もスタンスも曖昧な彼岸と此岸の狭間に立ってるようなキャラクターが好みなのか?
「アタシャール」という発想が面白かったです。

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)
(2009/02/04)
有栖川有栖

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FC2トラックバックテーマ  第776回「好きな小説。」 


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推理小説、とくに本格推理小説を愛好しています。
…いや、このトラックバックテーマは語っておくべきかなあと(笑)
ルーツは、定番ですが小学校のときにホームズに出会ってしまったこと。
そこからクリスティ、ルブラン、クイーンと行って、ロジックを軸に据えたミステリの醍醐味にハマってしまいました。
高校時代、クイーンの国名シリーズを読み漁っていた頃までは、正直国内ミステリには全然目が行っておりませんでした。

ここで有栖川有栖先生なのです…!(笑)
「エラリイ・クイーン”を”好きな作家さんがいるよ」
と友人が薦めてくれた有栖川有栖『46番目の密室』で大ハマり。
そこからはもう芋づる式に、国内は綾辻先生・島田先生・乱歩先生等々の新本格と古典、海外は古典を中心に、洋の東西を問わず読み漁るようになりました。
ロジック重視のミステリがなんでこんなに好きなんだろうとよく考えますが、張り巡らされた伏線がパズルがハマるみたいにかちかちっとかみ合って、全く新しい絵が現出する瞬間に興奮するのかな、とか。しかも伏線はささいなことであればあるほど燃える。
なっるほどそういうことかああああっ!!と「腑に落ちる」瞬間のために読んでいるというか(笑)
あ、なんか東野圭吾さんが、推理作家協会賞を略してすいきょうしょうと呼んでらしたことを思い出しました…最初酔狂賞かと思って何だそれはとびっくりしたんですが、ちょっと言いえて妙な気がしてきた(笑)
これからも良い本格に出会えたらいいなあ。
探偵さんがいて、助手がいて、あとは魅力的な謎と美しい論理があれば私は幸せです。

『イデアマスター』 若木未生 

バンド小説「グラスハート」シリーズの集大成。とうとう最終巻か、と大事に大事に読みました。
シリーズ1冊目の『グラスハート』を読んだとき、私は中学生でした。
いわゆるライトノベルにオーラバスターシリーズから入門したばかりでもあり、その流れで『グラスハート』を読んだのですが、読み終えたときの気持ちをまだ覚えています。
それは、「活字を読んでいるのに、音がする」ということ。
びっくりしました。本当にライブ会場にいて最後の一音が消えたときみたいな、耳を満たしてた音がふっと消えた喪失感や一緒に歌って踊って叫んではしゃいだ後の心地よい気だるさを、小説を読むという行為で体験したことに。
それ以来、私の中で音楽描写と言ったら若木先生(と、島田荘司先生)です。
最終巻『イデアマスター』でもその音楽ぶりは変わらず、とても嬉しかったです。
藤谷さんのベースとボーカル、尚のギター、坂本くんのキーボード、朱音ちゃんのドラム、どれもカッコよく私の中で鳴ってくれました。あのギリッギリのバランスで(笑)
もうあんまりテン・ブランクの演奏が素敵なので、なんで私テン・ブランクのCD持ってないんだろう? とすっごい悔しくなりました。意味がわからないなCDショップ行っても売ってないとか!
シリーズが終わってしまうのは寂しいですが、彼らは元気いっぱいまだまだ先へ向かうようなので良かったです。
幸せになって下さい。

ちなみに私は今までのシリーズ通して有栖川シンが一番好きで、それは今でも変わらないのですが、『イデアマスター』を読んで坂本くんが同率タイに並びました(笑)可愛過ぎる……!
しかし発端は少女小説レーベルであるコバルト文庫でありながら、恋より何より音楽、というのがすごくグラスハートだなあと(笑)そんなところも大好きです。

なんだかきちんと感想になっていないような。ちょっと感無量で、まとめ切れませんでした。

イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)
(2009/02)
若木 未生

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1月の読了本まとめ 

『ビートのディシプリン side1』 上遠野浩平 090102
『ビートのディシプリン side2』 上遠野浩平 090102
『ビートのディシプリン side3』 上遠野浩平 090102
『ビートのディシプリン side4』 上遠野浩平 090103
『ロスト・メビウス』 上遠野浩平 090103
『オルフェの方舟』 上遠野浩平 090103
『無人踏切 新装版―鉄道ミステリー傑作選』 鮎川哲也 090104
『綾辻行人と有栖川有栖のミステリー・ジョッキー』 090106
『しずるさんと無言の姫君たち』 上遠野浩平 090108
『彼岸先生』 島田雅彦 090109
『沈黙ピラミッド』上遠野浩平090109
『ヴァルプルギスの後悔 Fire1.』 上遠野浩平 090110
『スリーピング・ドール』 ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子訳 090112
『いっちばん』 畠中恵 090112
『ガリレオの苦悩』 東野圭吾 090115
『聖女の救済』 東野圭吾 090118

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