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『最長不倒距離 スキー場殺人事件』 都筑道夫 

とある作家さんがお勧めにしていたので読んでみたのですが、出来はイマイチでした。
最終的に犯人を絞る過程に論理らしい論理が無くて、どうして最後に犯人を指摘できたのかが最後まで疑問だったのです。勘か?(笑)
ただ探偵役とそのアシスタントがツボだったんですよ…!(また来たよ…)
何事にもやる気のないただれた探偵(オイ)物部太郎と、そのアシスタント片岡直次郎。
働くのが嫌いでやや我侭な物部と仲良しかつ物部に対して遠慮の無い割りに敬語キャラの片岡。ト キ メ ク (ダメ子)
まあでもそんなトキメキだけを目当てに読んでも損なだけかなと思います…(笑)
作者の願望めいたもの、もしくは男性読者へのサービス(笑)が見え隠れする女性の描き方もあんまり好きじゃありませんでした。

『雪密室』 法月綸太郎 

クイーンの本格を愛する現代作家と言えば、有栖川と法月さんだと私は思ってますv
そんな法月先生の、「法月綸太郎」シリーズ第一作目。
タイトルの通り雪と密室、という「僧正殺人事件」以来定番のシチュエーションを扱われています。「僧正」のネタバレもアリですが、注意書きがあるので良いかなと。
でもその後の法月親子の会話で「僧正」トリック推測出来ちゃったからショックでしたけども…!(悔)
法月さんの出来に戻ると、トリックの方は少々無茶です。
ただ、クイーン以来の「本格」を愛してその方向へ行きたいと思われていることは伝わってきます。
法月親子はまんまクイーン親子ですね。
綸太郎からの「お父さん」って呼び方とか、法月父の親ばかっぷりとか(笑)クイーンっぽさ溢れてます。
クイーンの模倣と言ってしまえばそれまでですが、クイーンに飢えてる私としては結構楽しくありがたく読みました(笑)
今すぐシリーズ制覇したい! と思わせるほどではなかったですが、「本格」に拘って書いてくれそうな方なのでそのうち他の本も読んでみたいです。

『大誘拐』 天藤真 

面白かったです。グッジョブ!
前時代的というか、戦前の教育を受けた方だな…と思わせるところも少しあって微妙な心証にもなったんですが(笑)、時代を反映しているとも言えるでしょう。
本格というには現実離れしてしまってます。とはいえ出された謎と危機は上手に解決されて行くので文句はありません*
中身はタイトルの通り誘拐もの。
普通の誘拐とは一味違う、大掛かりかつ逆転の発想が活きている良作です。
それを可能にしたのが、キャラクターの立ち具合かと思います。
どの人物もイイんですよーう。数的にも役割的にも登場人物に無駄がないです。
しかもみんな一生懸命な人たちなので、好きにならずにはいられないのです。最後は暖かい気持ちになりましたv

『名探偵の掟』 東野圭吾 

短編集。本格ミステリ揶揄本。(笑)
ミステリ作者と読者の定番と怠慢を切りまくってくれます。逆にミステリの重箱をつつく評論家やミステリがミステリであるだけで嫌って批判してくる人たちへの揶揄とも読めると思います。本格書きの東野さんだからこそいったいところ突いてきます…!!(笑)
書いたのがミステリ書きさんじゃなかったらキレてたかもしれません(落ち着け)でも東野さんだったのでめっちゃ楽しく読みました。愛ある指摘だと思うので。
しかもポイントは、揶揄するだけでは終わらず本格ミステリ的なひとひねりを最後にきちんと入れてくださっているということ。お流石です。
にやりと笑える感じの捻りですが上手です。有栖川先生の「山伏坊弁慶~」とノリが似てる気がします。
あとキャラがいい!
主人公探偵+警部さんコンビのやりとりが笑える上かわいいのですーv(笑)
有名探偵からイメージを取ってきたキャラクターなんかもいるので、古典を制覇された方にはピンとくることでしょう(笑)
本格好きさんは、本格ミステリの現状を問い直すにも自分の読み方を問い直すのにいい作品。
解説の言葉をお借りするのなら、「踏み絵的作品」です。これかなり的を射た解説だったと思います。

『今夜は眠れない』 宮部みゆき 

初宮部さん作品。
ライトミステリ。伏線に強弱がある感じで、解りやすいやつはとても解りやすく引いてあるんだけどその影でより大きな伏線が待ち構えています。面白く読みました。
結構強引な展開をしますが、語り口の軽妙さや大筋の魅力が引っ張ってくれます。因みに舞台に地元がちょっと出てきます…
中学生が主人公にしてはちょっと語り口が易しすぎるような気がしました。小学生くらいの印象になる。
あと解らないカタカナ語が多かった。普段自分が読むものとのタッチの差かなー。得意な語彙の範疇が合わない感じです。
主人公+親友コンビがかわいくって大変好きでしたv
この子たちが出てくるなら続編も読みたいです(笑)

『顔のない肖像画』 連城 三紀彦 

ミステリチックな短編集。いつもより少し生々しい感触でした。
さらさらしているのに描写の一つ一つが滓のように沈み重なり合って強く印象づけられてしまう不思議な筆致はいつもの通り。こういう書き方の作品を私が読みなれていないせいかもしれませんが、一編一編が絵のように頭に残ります。

「涜された目」
相手が連城さんなので日本語使いがお上手で、被告と原告(仮)どちらの言葉が真実なのか、妹さんの話が始まってさえ疑い続けていました。
発想の転換が面白いです。

「美しい針」
性的に終始する男性の目線が楽しくない。技量の問題というよりテーマの問題で、私には楽しみにくいお話でした。

「路上の闇」
これは少々ありがちな感じでしょか。でもスリルとサスペンスが楽しますv

「ぼくを見つけて」
序盤はミステリアスで面白いです。情報が増えていくにつれ大体落ち着くところは解ってきてしまうのですが~。

「夜のもうひとつの顔」
上手かったです。本格な感じ。

「孤独な関係」
最近よく見る感じの話だと思います。
大人のための童話ならぬ大人のためのミステリ。

「顔のない肖像画」
連城さんらしいきらきらした世界観と優しい謎が素敵です。

『見知らぬ遊戯 鑑定医シャルル』藤本ひとみ 

「サイコ・サスペンス」というあおりと、『ハプスブルクの宝剣』のイメージが相まって、「解説」を読むまで推理小説だということに気付きませんでした。(ええー)
ミステリチックなつくりだなあ、と思いつつ、でもサイコ・サスペンスってことはそれを期待したら最後でガッカリするんだろうなーと思って何気に読んでいたら解説で「推理小説」ってあって非常に驚きました。(遅)
フランスの警察機構がどの程度締め付けられてるかはよく解りませんが、「休暇中の」憲兵が捜査に首を突っ込んでいいものなのかはやや疑問。ミステリだと思って読んだらもう少し突っ込むところも見つかったのかもしれません。
でも今のところつくりとしては、大掛かりで不可能なトリックもないしシンプルで上手な謎とその見せ方だったと思います。
つまりネタ自体とキャラは良いと思うのです。でもどうも筆致が、下手なのか合わないのか。視点がころころと変わって読みづらいんですよね。AさんからBさんを見ていると思ったら次の行ではBさんからAさんを見ている、というような。
例えば犯人サイド/警察サイドで視点を変えるなら解るんですけど、「警察サイド」の中でさらに視点が主人公と準主人公の間を行ったりきたりする。こんがらがります。
あと短絡的・直接的。
人の性格とか気持ちの動きが「一言で説明」されてしまうアッサリさ。もう少しエピソードで盛ってほしかったです。
でも、キャラは印象的なのが藤本さんの不思議なところ。
ハプスブルクもそうでした。読んでいる間はツッコミ入れたり腹が立ったりであまりいい印象を持たないのに、読み終えてしばらく、細かい表現や中身へのひっかかりを忘れてくるとキャラはいいからなんか好きな気持ちになってくるんですよね(笑)
単純にハマりやすいキャラの典型的な形だからかなーとも思うのですが。
どうもプロトタイプ的ではあるけど人格としての複雑さまで書き込めているかというとそうでもない。例えばシャルルはエラリイにも似てるんですけどエルほどの厚みはない。
ハプスブルクのエドゥアルトとシャルルの類似を考えると、書き分けには難があるのではないかと思います。

藤本さんだから多分あるのだろうな、と思った性描写はやっぱりありましたね。
男性作家さんの本を読むことが比較的多い私には、藤本さん(=女性)の描くセックスシーンはものめずらしいです。
男性作家さんはやっぱり男性の視点から女性を見る形で描写することが多いのですが、藤本さんは大概女性の視点から男性を見る形で描写するんですよね。
そしてまた大概藤本さんの場合、男性はテクニシャンで意地悪で女性は翻弄&めろめろにされているという形で描かれます。照れます(笑)
ハプスブルクとも通じるこの共通性は「藤本さんの」願望なのか、「女性の」願望なのか。
前述してますがハプスブルクのエドゥアルトと本作のシャルルも結構中身が似ている様子で、これも同様このような男性が自分に骨抜きになることが「藤本さんの」願望なのか、「女性の」願望なのか。はたまた藤本さんがこういうタイプのキャラしか動かせないのか。
読んだこともないハーレクインはこのようなものなのだろうかと思います。シャルルとアニエスの恋愛の様を読んでいると。
甘々で可愛いんですけども薄っぺらな印象があります。

でも多分このシリーズの続きを読みはするんだろうなー…シャルルがエディやエラリイと似ているから。(内容はひとまず置いちゃうんですか?)

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