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『兄弟天気図』 長野まゆみ 

現実に居る兄と、過去に死んだはずの兄弟とが交錯する幻想的な雰囲気が良かったです。

兄弟天気図 (河出文庫―文芸COLLECTION) 兄弟天気図 (河出文庫―文芸COLLECTION)
長野 まゆみ (2003/11)
河出書房新社

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『谷崎潤一郎 <ちくま日本文学全集>』 谷崎潤一郎 

谷崎さんの小説から短編・中篇数編を選んだ文庫本。

『刺青』
有名な短編ですね。
強かで妖艶な女が、女の背が、大変綺麗でした。

『秘密』
既読につき割愛。

『母を恋うる記』
幻想小説と言って良いのでしょうか。
ふわふわと浮かぶような柔らかく不思議な雰囲気が好きな作品です。
静謐なファンタジーという印象を持ちました。

『友田と松永の話』
『秘密』と並んで推理小説的な作品。
ややオチが突拍子も無い感じがするので、純文学の谷崎潤一郎を求めている方には物足りないのではないでしょうか。
推理小説だと思って読むのなら、アリだろうし中々面白いと私は思います。

『吉野葛』
前半の細かく美しい風景描写に吉野の旅行記なのかと思ってしまいました。
土地の伝承・伝説を交えて、主人公の目から友人のルーツと現在が描かれています。
薀蓄・知識的な話に寄り過ぎていて途中やや退屈になりましたが、最後は可愛かったです。

『春琴抄』
既読につき割愛。

『文章読本 抄』
谷崎さんの「文章論」。
日本語の文章について、英文と比較するなど多角的に語ってあります。
小説書きの心得、というようにも読めました。

谷崎潤一郎 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎 (1991/05)
筑摩書房

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『門』 夏目漱石 

『こころ』『それから』の続編と言われる長編作品。
過去の業はいつまでも彼らを縛り追ってくる、彼らに門は開かれない。テーマは強く的確に描き表わされていて、言いようの無い恐ろしさを感じました。
要所要所の描写が過不足無く鮮やかで、絵として印象に残ります。
二人の過去が徐々に明かされてゆく様子に手法としての「推理小説」を感じたのですが、漱石は確か探偵嫌いなのですよね…(笑)意識していたのか否か、どうなんでしょう。

宗助と御米のつましく薄暗く小さな生活世界が、私には愛しかったです。
過去の重さに苦しみながら、それでも宗助は御米の元へ帰ってきた。襲い来る弾劾に打ち勝つ強さを持たなくても、二人は全き不幸の中にいたというわけではないんじゃないかと思いました。

門
夏目 漱石 (1948/11)
新潮社

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『虞美人草』 夏目漱石 

盛者必衰と言いましょうか、奢るものは必ず報いを受けると言いましょうか。とどのつまりは「藤尾を殺す」ために書かれた長編小説。
登場人物の関係が全て説明されて、彼らがゆっくりと動いている間は淡々と読みました。
相関と動きは面白いのです。でもところどころに入る冗長な地の文が、個人的に興味がある内容だったり無い内容だったりムラがあったためにのめりこむことが出来ずにいたのです。
でも後半が! 流石というか物凄い。
甲野兄が実は母親の意図を全て承知して動いていた、ということが分かる辺りからの展開の速さ、上手さ、面白さに舌を巻きました。
勧善懲悪めいていたり憤死というビックリな事件が起きたりと、リアルさなどを考えたらツッコミどころはあるのかもしれません。でも私は後半の登場人物たちの「真面目」さ、正直さが好きです。
一途な糸子ちゃんの心持ちと、そんな糸子ちゃんのことを兄宗近が甲野兄へ語る台詞が愛しくてちょっとほろりと来ました。
糸子ちゃん、小夜子ちゃんには幸せになっていただきたいです。

また、前半で小野さんについて語る部分で子規が否定されている箇所があり驚いたのですが、後半その小野さんは否定されることになりました。
「子規を否定した小野さんを否定する」形で、漱石は子規を肯定したのでしょうかー…妄想。
虞美人草 / 夏目 漱石

『草枕』 夏目漱石 

都会からはぐれることで「非人情」の世界へ生きようとした画人の話…?
すみません古典に下手言って間違っていたら怖いので、断定できないんですが(笑)
主人公の画人が「非人情」の世界を決め込もうとしているからか、視覚的な描写と、自己の心理に関する描写と、議論的な語りで構成されています。
起承転結のある小説というよりも、芸術論色の方が濃いように感じました。
その「視覚的な描写」、画人なので絵画的な描写とも言えるのかなと思うんですが、が幻想のような美しさで好きです。特に画人の目を通して見るお那美さんはとても綺麗でした。
キャラクターにハマるでもストーリーで引っ張られるでもなく、絵を追っかけて読みました。
また、漂う空気は凝り固まっているように静謐で、もしかしたら退屈で、たゆたうような不思議な感覚を味わいました。

草枕 草枕
夏目 漱石 (1990/04)
岩波書店

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『三四郎』 夏目漱石 

熊本から出てきた田舎の青年三四郎が、郷里とは全く違う都会で生活してゆく様子を描いた小説。
とかく三四郎論は美禰子論になりがちだと解説の方が書いていましたが、さもありなん。確かにインパクトのある女性です。仕草がいちいち優美で印象的です。
彼女は全体誰を想っているのかと、三四郎と一緒に翻弄されました(笑)
個人的によし子さんも不思議な女性だったと思います。
対野々宮さんでは「愚かな妹」のように確かに見えるのですが、対三四郎のときはとても神秘的な女性のように見えした。独特の空気を感じさせてくれた人です。

ごく序盤に子規について触れた箇所があり、子規好きの私には嬉しかったです(笑)
果物をいっぱい食べる人だったという思い出のような伝え聞きのようなエピソードですが、これは漱石自身が見ていたのでしょうか。別所で同じ記事を読んだ気がするのですがそれも漱石談だったのかなあ…。気になります。

三四郎 三四郎
夏目 漱石 (1990/04)
岩波書店

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『エンジェルエンジェルエンジェル』 梨木香歩 

主人公と主人公の祖母の回想とが交互に織り成して行くお話。
さらりと読みやすいですが、抽象的。むしろ象徴的というべきでしょうか。
熱帯魚や天使が主人公やおばあちゃんを表わす暗喩になっているのが上手いです。
ある一人の視点から書かれているので小説本文で明らかにされる事実(情報)は多くないのですが、その暗喩・象徴によって「あのときあの人はこう思っていたんじゃ」と行間を読ませてくれます。
しかし巧みに作ってあるので解釈は限られ、結果読者はそれぞれがてんでんばらばらに裏側を想像するのではなく、ある程度限られた中で裏側を想像する=きっちりひとつのお話を知らされている(読んでいる)ということになっているのではないでしょうか。
モチーフに流されず使いこなす梨木先生の腕を感じます。
頭からもう一度読んで、その伏線や象徴を確かめてみたいです。
今回読んだのは文庫版だったのですが、単行本版は内容がかなり違うという話を聞いたのでそちらも読もうと思いますv

エンジェル・エンジェル・エンジェル エンジェル・エンジェル・エンジェル
梨木 香歩 (2004/02)
新潮社

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