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『『吾輩は猫である』殺人事件』 奥泉光 

『吾輩は猫である』の最後に死んでしまったはずの「猫」が実は生きていた。それも、遠く上海で!
猫はどうやって上海までやって来たのか? なぜ苦沙弥先生は殺されなければならなかったのか? なぜ「吾輩」には――名前がないのか?
『吾輩は猫である』の行間に隠された秘密とは。

時系列的には「猫」の物語のあとから始まる本書は、しかし苦沙弥先生の死を吾輩が知るところから、「過去に何が起こって苦沙弥先生は殺されたのか?」ということが検討され始めるに従って、吾輩が苦沙弥先生にいたころの出来事に新解釈を与える方向へと向かってゆきます。
吾輩の語り(『吾輩は猫である』本編)に新たな光りを当てるのは、上海の猫社会に生きる個性的な猫たち。
バスカヴィル家の犬の末裔犬を追う探偵猫ホームズ&助手猫ワトソンも登場し、華やかな推理合戦が行われます。
次々に謎が打ち出される筋立てはサスペンスフル。でもミステリやサスペンス小説という枠の中だけには収まりきらない内容にになっておりました。
迷亭・寒月・独仙くんら原作でお馴染みのメンバーも顔を出し、予想外過ぎる役割を演じています。
原作がもともと好きなもので、迷亭先生に再会できたのは特に嬉しかったですね…!


『吾輩は猫である』殺人事件 (新潮文庫)『吾輩は猫である』殺人事件 (新潮文庫)
(1999/03)
奥泉 光

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『赤い羊は肉を喰う』 五條瑛 

大衆の意識操作というテーマ取りと、それに対する正負両方向からのアプローチが面白かった。
さらに中盤のほどよい重さと読後感の良さが、楽しい読書をしたなあという気持ちにさせてくれました。

赤い羊は肉を喰う赤い羊は肉を喰う
(2007/01)
五條 瑛

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『3way Waltz』 五條瑛 

月並みな言い方になりますが、手に汗握るスパイアクションでした!
叙述トリック的な構成が、何か仕掛けがあるんだろうと思いつつ楽しめました。
余韻を残す結末も好き。

3way Waltz (祥伝社文庫)3way Waltz (祥伝社文庫)
(2007/07)
五條 瑛

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『純棘“Thorn”―R/EVOLUTION 6th Mission』 五條瑛 

亮司がどうしようもなくいとおしい。
後半珍しく語りがサーシャ視点になる部分があり興味深かった。
物事を失ったり何かに対して失望したりするのを厭って野良猫のような暮らしを続けているのなら、実は誰よりも弱いのはサーシャなんじゃないかと思う。

純棘“Thorn”―R/EVOLUTION 6th Mission純棘“Thorn”―R/EVOLUTION 6th Mission
(2007/02)
五條 瑛

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『光ってみえるもの、あれは』 川上弘美 

 16才の男子高校生が、奇妙な大人たちに取り囲まれながら、自身も大人へと変容していく過程を描いた青春小説。
 (略)
江戸翠(みどり)は、フリーライターの母と祖母との3人暮らし。「ふつう」である翠に少し不満を持つ母を筆頭にして、家族はみな、どこか浮世離れした人々だ。ときどき「翠くんの生き血を吸いたくなるのよね」などと言う祖母。そして、翠の遺伝子上の父親で、ふらりと家にやってくる大鳥さん。一方で、親友の花田は「ものすごくシミシミした感じで」世界に溶けこんでしまう自分が困るという。やがて花田は、セーラー服を着て登校しはじめる。
<以上Amazon.comの解説から引用>

どうにも上手くお話の中身をまとめられなかったので、引用をさせて頂きました。
顧みると、今までも川上さんの作品はそうしている記事が多いですね(^^;

この長編小説は、私が川上さんの作品を読んだ反応としては珍しく、「考えさせられた」作品でした。
他の作品では解釈してゆくより川上さんの醸す不思議な空気をそのまんま味わうのが好きなのですが。
『光ってみえるもの、あれは』には、女性と恋愛する以前の段階としての同性愛がテーマのひとつとしてあったのではないか、と思っています。
江戸と恋人・平山水絵の恋愛が即物的に描かれる一方で江戸と花田の繋がりはスピリチュアルに丁寧に描かれる。
若い、恋を知ったばかりの江戸にとって、「おんな」はまだ良く解らないものであり即物的に肉欲の向かう先であるようです。
逆に十数年親しく知った「おとこ」は気心の知れたものであり、恋愛で喩えるならば情欲をのぞいても絆を形成できる土台が既にある、のかなと。
伏線らしきものを引きつつも、ストレートな描写がされていない分、江戸と花田の絆が江戸と平山の恋愛関係より一層深いところにあるのではないかと想像させられました。

「恋に上る階段なんです。異性と抱き合う順序として、まず同性の私の所へ動いて来たのです」

というのは『こころ』の先生の言葉ですが、花田と江戸の関係がそのようなものであるとすれれば、女ひとりに男ふたりというのもまた漱石的です。
ひとりの女性を取り合っている(ひとりの女性をふたりの男性が想っている)ように見えて、その実女性の頭を飛び越えて男性同士が強い関係を結んでいる(いた)。
例えば『それから』の代助と平岡と三千代。『こころ』の先生とKと奥さん。『門』の宗助と安井と御米。
水絵が感じていたもの寂しさ、江戸の冷たさはこのあたりから来るのではないでしょうか。
ただし水絵はそれに抗い、男女の恋愛という段階に江戸を引っ張って行こうとしている(ように見える)点が漱石の描くヒロインとは違っているようです。

解り辛いうえ、矛盾のある話で申し訳ありません; 依然として思考中です。
不愉快に思われる方がいらっしゃいましたら重ねて本当に申し訳ありません。
川上さん(も漱石も)大好きです…!

光ってみえるもの、あれは (中公文庫)光ってみえるもの、あれは (中公文庫)
(2006/10)
川上 弘美

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『真鶴』 川上弘美 

失踪した夫を思いつつ、恋人の青茲と付き合う京は、夫、礼の日記に、「真鶴」という文字を見つける。“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ向かう京。夫は「真鶴」にいるのか?
(「MARC」データベースより)

幻想小説と紙一重の恋愛小説。
真鶴へ向かう京の様子は茫漠としていて、夢の中を漂っているかのようです。
只管に真鶴と日常とを往復する、淡々とした反復が不気味さを醸します。
セックスの描写があけっぴろげで面白くもありました(笑)いつも川上さんのエロスには、こんな描き方もアリか、と目を開かされる思いをします。

真鶴真鶴
(2006/10)
川上 弘美

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『蛇を踏む』 川上弘美 

「BOOK」データベースから内容
以下引用>
藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた…。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。“消える家族”と“縮む家族”の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える」。ほか「惜夜記」を収録。
以上引用>

表題作は、内容の通りかなり唐突にカッ飛んだ展開を突きつけられます。
にも関わらず、女になった蛇が行うのは料理を作り、主人公を待ち、主席を共にするという「日常」。そのギャップが不気味なおかしみを生んでいます。
蛇が主人公の心身ともに絡みつく様は赤裸々な性の香りと、粘着質な母性のどちらもを感じさせます。ねっとりとした蛇の女に、主人公は絡め取られてしまうのか否か。
3作ともとても楽しく読みました。
ひたひたとした日本語が、浮遊するような世界観に引きずり込んでくれます。

蛇を踏む (文春文庫)蛇を踏む (文春文庫)
(1999/08)
川上 弘美

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