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『名探偵に薔薇を』 城平京 

いまいちでした。
犯人だけではなく全体的にキャラクターの行動の動機が薄いです。
「なんで? 別の選択肢を選んだってよかったじゃん」と疑問に感じてしまうことが多かったです。
また、筆致もちょっと合いませんでした。中途半端に古い感じの。
古い書き物の文面はちょっと古いっぽいかんじをかもし出そうとしてるのはわかるのですがバリバリ現代語で、地の文も現代語で書くなら現代語で書けばいいのに中途半端に古さがある。
付け焼刃っぽく感じたんですが実際どうなんでしょう。わざとなんでしょうか…?
しかも同じトリックが古今の作品にあるという綾辻・有栖川先生ら鮎川哲也賞審査員から突っ込みがあったそうで。
解説の方はそれを踏まえても良作と言いますが、個人的にはそれはちょっと買いかぶりすぎじゃないかと思います。

名探偵に薔薇を 名探偵に薔薇を
城平 京 (1998/07)
東京創元社

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『青空の卵』 坂木司 

ヒキコモリ探偵シリーズの第一作であり著者のデビュー作。
ライトな連作ミステリで、世界観がほどよく綺麗で読んでいて和みます。
しかし探偵役のひきこもり青年と語り手(助手役)の坂木との距離がちょっと近すぎるように思いました。
過去に原因を持つ依存症、ということはわかります。でもそれにしたって、自覚の度合いが低すぎるしスキンシップが過剰すぎるように思いました。
これほどに男性同士の依存症を描くのなら、いっそ真摯に同性愛というテーマにぶつかって欲しかった、というくらい。
これから二人が独り立ちしていくのかもしれませんが。
また、坂木の心理的な動きが唐突に動きすぎる気がしました。探偵役の成長を怖がったり喜んだり。

あと全体的に若い…なぁと。
主張がストレートです。自分もしくは身近な人の不快な体験が下敷きになっているんでしょうか。
憤りを素直に小説にしていて、見ようによっては視界が狭いです。
作中(作者)の定める「善い人」が「こうこうこうだろ、解れよ」というと、「そうか俺が悪かった」ってなってしまう感じ。おいおい反論はないのか? それでいいのか? お前の言い分は? と思ってしまう。
もう少し多角的に事件に対する視点が欲しかったです。
ポエムもちょっと…照れた。(笑)

心が綺麗な感じの短編集なので読んでいて安心はするのですが、ちょっと内容が浅い感じはしました。
基本的に可愛いので、癒されたいときにお勧めです。

青空の卵 青空の卵
坂木 司 (2006/02/23)
東京創元社

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『魔法飛行』 加納朋子 

物語を書き始めた女の子・駒子ちゃんが主人公の短編集。
ライトな短編ミステリをつなげてつなげて、最後の短編できれいにまとめています。その構成の上手さに膝を叩きました。
どのお話も動機や情景が繊細で綺麗で、女性らしさのある透明な世界観はなんだか読んでいて安心します。
瀬尾さんと駒子ちゃんの微妙な距離感もかわいいです。友情以上恋人未満な印象が。
ただ駒子ちゃんがちょっと幼すぎたかな、という感じはしました。大学生にしては一人称が子供っぽく、中高生くらいの印象が強かったです。というか大学生だということを途中で忘れてしまってた(笑)
大学生でなくてはならない必然性は最初のお話にくらいしか感じなかったので、どうにか中高生設定で書いてしまってもよかったのでは。
創元推理の文庫版で読みました。解説・有栖川有栖。
確かに、有栖川先生の好きそうな雰囲気の本だと思います。
解説…語彙が可愛くて可愛かったですよ…(落ち着け)

魔法飛行 魔法飛行
加納 朋子 (2000/02)
東京創元社

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『メフィスト5月増刊号』 

『傘を折る女』 島田荘司
御手洗もの短編(…中篇?)石岡君と御手洗さんが神奈川で過ごした最後の夏の話。
島田さんの割りにロジカルで良かったです(何様)いつもより成程と納得がいった感じ。
相変らずといっていいものか、陰惨な描写を印象的かつ美しくやる方です。

『蒼ざめた星』 有栖川有栖
なんだこの羞恥プレイ…!!
デビュー前の作品を、手直しほぼ無しお蔵だし。一昔以上前なんじゃないの…!?ヒイ。
でも完成度が低くて見てらんねーという程ではなかったです流石に(笑)
エッセイが一緒についており、先生曰く小説の方は「エッセイのオマケだと思ってご笑覧下さい」とのこと。
やはりこの人の文章が好きです。

『暗闇坂の人喰いの木』 島田荘司 

御手洗作品。レオナちゃん初登場。
島田さんに常識的な作品は期待してませんから、もう好きなように書いて下さい…★と遠い目になってしまう作品。好きです御手洗(笑)
ところどころグロく怖く、一応論理っぽい説明はつくもののホラーに近いです。
世界の死刑について図まで載せて論じたりとかされています。とりあえず叫んどけ、本筋と関係ねぇのに生首写真見せられたー!(グロ苦手…!)
論理やトリックにこだわる方には絶対絶対お勧めできないですが(笑)不気味な空気は嫌というほど味わえます。もうミステリというより御手洗と石岡くんを楽しむために読んでるようなもんだよ島田作品…(笑)

『御手洗潔の挨拶』 島田荘司 

御手洗シリーズ短編集。
全体的に心理描写・動機面がきちんと描かれています。切ないときはしっかり切ない…。(キュン)
益々御手洗という男に惹かれてしまったんですがどうしたらいいですか石岡君(笑)
トリックは「ギリシャの犬」以外は良かったと思います…(笑)
どのお話からも島田さんのシャーロックと音楽への愛がひしひしと伝わってくるようでした。
御手洗が時折シャーロックっぽい仕草をするんですよね。また話の流れや喋りの流れも同様に、シャーロックっぽさを感じます。
島田さんが持っているユニークなシャーロック観を探偵に昇華させたのが御手洗というキャラなんじゃないかとちょっと思ったのですがどうなのでしょう…。
音楽に関しては、この本に収録の『疾走する死者』に超顕著でした。
島田さんが描写する「音楽」の迫力には圧倒されます。「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」でも島田さんが作る音楽にぼろぼろ泣いたんですが、この本でもその部分は大事に大事にしたい、感動的な描写でした。
若木未生さんのグラスハートシリーズの「音楽」と近いものがある気がします。
御手洗・石岡コンビいいなぁ…。

『ペテロフ事件』 鮎川哲也 

鮎川先生の処女作。
戦前の満州が舞台で、実際の時刻表に基いたアリバイものです。
解説・後書きでもあったと思いますが、やっぱりクロフツの影響を感じます。でも鮎川さんの方がキャラが立っていて読みやすかったです。
どんでん返しの形は乱歩にも似ていると思います。
推理もどんでん返しも鮮やかでした。アレを実際の時刻表から見つけたというのは凄いですよね。

舞台が舞台なので冒頭に満州周辺の地図が付いているんですが、今まで見た中で多分一番あの遼東半島の地図はわかりやすいです!(感動どころが違うよアンタ)
アレでようやく旅順・大連・奉天・ハルビンの位置関係を理解しました(…)
舞台が上記四地名周辺な上、タイトルの通りロシア人が絡んでくるので、日露戦争の話もかなり出ました。あの辺の話を齧っていると、処々の描写や地名でにやりと来ると思います。
あと中国語・ロシア語を勉強している方には面白いかもしれません。作中に何度か出て来るのでー。
私はどちらもサッパリなので良く解りませんでした(ダメ子)
全く知らなかった満州という土地の警察制度・交通制度がリアルに描かれていて(鮎川さんは二十年近く満州にお住まいだったこともあって本当に繊細な描写がされています)、文化的な意味でも興味深かったです。

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