『同時代ライブラリー305 子どもと子どもの本のために』 エーリヒ・ケストナー 高 

ケストナーのエッセイを集めた本。「子供と子供の本のために」とありますが、児童書に関する文書だけを集めた本というわけではありませんでした。結構多岐にわたっています。
私はあまり高橋健二さんの訳が好きではないので、一部「大きなケストナーの本」と被っていたエッセイに関しては、そちらを参照したほうが良訳ではないかな、と思います。
しかしこちらのほうが「大きなケストナーの本」よりも薄く、文庫なので読みやすかったです(笑)
ケストナーの児童書論は子供への慈愛にあふれていて、とても好きです。

子どもと子どもの本のために 子どもと子どもの本のために
高橋 健二、E.ケストナー 他 (1997/05)
岩波書店

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『作家の自伝(90)―江戸川乱歩』 江戸川乱歩(佐伯彰一/松本健一監修)  

乱歩の「わが夢と真実」(エッセイ本)の一部を収録。割と詳しい年譜付き。
ページ数の都合で写真も省かれているとのことなので、「わが夢と真実」の方を探せばよかったかもしれません。
ただこちらは中島河太郎氏による解説がついているので、客観的な乱歩伝が多少ついているのが良かったです。
クイーンや孤蝶などとの意外な人間関係に驚きました。

作家の自伝 (90) 作家の自伝 (90)
佐伯 彰一、松本 健一 他 (1999/04)
日本図書センター

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『旅でもらったその一言』 渡辺文雄 

著者が取材などで行った先々、また昔知人に言われた、印象的な言葉を題材にしたエッセイ集。
いくつかのテーマに分かれており、取材されている側の方々はほとんどが伝統工業などの職人さんです。
長年その仕事に携わってきたプロの仕事ぶりと言葉は深く重たく、勉強になりました。
手作業、人間の「慣れ」による職人技で仕事をしている皆様のお話からは、現代資本主義の急流から外れてゆっくりとした時間が流れているのが共通して感じられました。
題名のとおりエッセイの主眼と締めは「言葉」であることが多いのですが、職人仕事に関する描写(説明)も繊細で印象的でした。

『わたしたちを忘れないで―ドイツ平和村より』 東ちづる 

他国の戦災孤児や、怪我をした子供たちを受け入れている「ドイツ平和村」へ、テレビ番組の取材で行ったときのことが書かれています。
導入部では東さんが関わっておられる白血病関係のボランティアの紹介、巻末には各ボランティア団体の連絡先なども載っています。
ボランティアにがっつり携わっている東さんだけに、ボランティアを受ける側・する側の心理や、必要としているものの説明に説得力がありました。
子供たちの姿や、村へ来るまでの経緯などは文章で読んでもショッキングです。ましてや直にそれを見聞きした東さんの衝撃は大きかったことでしょう。
平和村でのエピソードを読みながらずっとめそめそしていたのですが、悲しいというよりも、作中で東さんが仰っているのと同様に「行き場の無い怒りがどうしようもなくて」泣くしかなかったという感じです。
だから戦争なんて大嫌いなんだ!と改めて思いました。
どうして何の罪もない子供たちがとばっちりを受けなくてはいけないのか。
腹が立つから。直視しても無力な自分にも腹が立つから最近こういう本に向かい合うことから逃げていたのかもしれません。辛く悲しかったです。
厚くもないし言葉も完全に話し言葉で書いてあり、活字も大きくて物凄く読みやすいです。是非一度読んで頂きたい本でした。

わたしたちを忘れないで―ドイツ平和村よりわたしたちを忘れないで―ドイツ平和村より
(2000/07)
東 ちづる

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『ご冗談でしょう、ファインマンさん(下)』 R・P・ファインマン 大貫晶子訳 

物理学者のR・P・ファインマンさんの自叙伝。
とはいえ、ファインマンさんの人生は愉快痛快面白い。口語の文体も読みやすく、時間軸に沿って様々なビックリエピソードが並んでいます。
自叙伝というよりエッセイに近いのではないでしょうか。
おちゃめで真っ直ぐで、興味があれば何にでも挑戦してしまうお人柄に惚れました。向上心溢れていて前向きで、ひたむきで、励まされます。
訳者さんも上手いです。そんなファインマンさんという人がよく顕れた日本語になっています。
楽しく、元気になれる本です。

『ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)』 R・P・ファインマン 大貫晶子訳 

下巻とまとめて書きます。

『最低で最高の本屋』 松浦弥太郎 

身一つから古本のセレクトショップを始めた松浦弥太郎さんのご本。「就職しないで生きる」がテーマのシリーズの一冊目。自伝とエッセイのあいのこのような内容です。
営業営業また営業、の古本業はとても大変そうなのですけど、「好きなこと」をなさって楽しく生きている様子が羨ましいほど伝わってきます。
そのためか、印象的なのが「咽越しの良さ」。
ふうわりとしながらも向上心に溢れた筆致が透明で綺麗で、快く読み下せました。
物凄く心を打つような文章があったというわけではないのですが、全体の優しいイメージがしっかりと残るのです。
なんというか、「まろやかで幸せになれて、胃に優しい」デザートのような一冊だと思いました。
人生甘く見すぎだと叱られそうですが、夢があって好きです。