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『エンバー―失われた光の物語』 ジェニー・デュープロ 松本みどり訳 

ハリー・ポッターの成功に便乗した感じが無きにしも非ず。ファンタジー。
電気をつけていないと真っ暗になってしまう都市エンバーでは、しかし電球の残りが尽きかけていた。発電機の調子も悪いし、このままでは永遠に明かりがなくなるのも時間の問題かもしれない。なんとかエンバーを救う手だては無いものかと、男の子と女の子が奮闘する話。
大まかなお話は面白いと思うのですが、細かなキャラクターの行動なんかに突っ込みを入れたくなります。なんでここでそうなるねん、それはご都合主義ってもんだろと。
伏線やエピソードも広げるだけ広げて生かしきれていない印象。もう少し市長の動きに気を配って欲しかったです。

エンバー―失われた光の物語 (集英社の海外ファンタジー)エンバー―失われた光の物語 (集英社の海外ファンタジー)
(2004/07)
ジェニー デュープロ

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『裏庭』 梨木香歩 

これも『K&P』と同じく、雰囲気が好きな作品です。
女の子が主人公のファンタジー。日常からいきなり別世界へと連れ込まれるものの、大仰に驚いたりはしない。日常に生きていたはずなのに、不思議を不思議がらずに受け入れる非日常性。妙に冷めて現実的な人間観。静けさ、落ち着き。そういう雰囲気が好きなのです。
基本的にテーマは「自分探し」なんだと思います。暗喩に次ぐ暗喩、象徴に次ぐ象徴。だから気を抜くとその抽象性のために話が良く解らなくなります。できれば再読して何が何の象徴であるのか確認したいものです。
伏線の引かれかたと纏め方が丁寧で、ミステリスキー的に嬉しかったです(笑)
それらを出すタイミング・解くタイミングの構成の上手さも印象的。

『K&P』 岡田貴久子 

ふうわりと静かで、暖かく、透明なぬるま湯のような雰囲気が大層好みでした。
被爆がテーマのちょっとしたファンタジー。被爆というと重たそうですが、上手くエピソードで織り込んでいて、そこまで重々しくはありません。読みやすいです。大国の傲慢さについて考えさせられますが。
日常の中にそっと現れる非日常性や、島に残るアニミズムがツボ。基本的に主人公は日常を生きているんですけれど、そこに非日常がそっと顔を出す感じです。
近現代史をかじっていると、より話がわかると思います。


K&PK&P
(1999/08)
岡田 貴久子

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『サラシナ』 芝田勝茂 

時代を超えちゃうファンタジー。恋愛もの。
舞台は現代と、聖武天皇がぐるんぐるん帝都を変えてた奈良時代。
言ってしまえば貴族の姫君を平民の男前がさらっていくという結構よくあるかなーな恋愛モノですが、更級日記とあの辺の歴史解釈が上手く盛り込まれていて興味深いです。日本史をやっていた方、これからやる方には面白いかもしれません。

『龍使いのキアス』 浜たかや 

異世界ファンタジー。地理や歴史がしっかり作ってあり、創世神話(らしきもの)も面白かったです。ギリシャ神話を読んでるような気持ちになります。幻想と現実が入り混じってところどころ意味が取りにくかったですが。
キャラひとりひとりがいきいき個性的で良かったのですが、特に主役のキアスが可愛いのですよ。
乙女乙女してなくて、やんちゃでサッパリ系。そんな彼女が男の人たちの間に立つとき、言い知れぬトキメキが湧き上がります。(何なの)小イリットや小イリット弟との絡みが大好きです。なんて可愛いんだ!
自然や、生死についてさりげなく深い示唆があり、考えさせられもします。

『魔法使いが落ちて来た夏』 タカシトシコ 

現代の日本が舞台。主人公の女の子が魔法使いと繰り広げるアクションファンタジー。
キャラやエピソードは割りと好きです。
ただ擬音とルビの多用がものっすごい鬱陶しくて読むのに邪魔でした。
難しい漢字にルビを入れるのではなくて、漢字にカタカナ(英語)(「護る」が「プロテクト」みたいな)(無意味だと思う…)、熟語に文章(漢文に書き下し文がつくような感じ。でも、ここでは絶対こんな書き下し方しない…)、最終的には漢字にローマ字でルビが入ってたりしてどうしようかと。「忍」「SHINOBI」ってルビがあるんですよ。なんだそれはー!
これさえなければもっと楽しめたと思います。
またもう一つ、雑魚な兵隊さん相手だろうが魔法だろうが、子供にあっさりと人殺しをさせるのはどうかと思います。
「ジーク」ではジークは人を殺したことを悔やみ続けますが、ここでは主人公は大量の兵士を魔法で「やっつけて」いながらそのことの大きさが描写されないのです。なんでもなかったことのようになっている。
また、この世界では死んでもある程度魔法で蘇生できてしまうのです。
そういう倫理観ってどうなんだろうと思います。
正義の味方も人殺し。忘れちゃいけないと思います。全体的にご都合主義。

魔法使いが落ちてきた夏 (ファンタジーの冒険)魔法使いが落ちてきた夏 (ファンタジーの冒険)
(1996/07)
タカシ トシコ

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『水の伝説』 たつみや章 

現代の人間による自然破壊風刺を基に敷いたファンタジー。
光太郎は小学六年生。都会の学校にいたけれど上手く馴染めず、田舎へやってきた。(「西の魔女が死んだ」とちょっと似てますな)
こっちでは龍雄という友達も出来て楽しく過ごしていたのだけれど、ある日大雨で龍雄の家が持つ杉林が崩れてしまう。
山の龍雄との遊び場は無事か見に行った光太郎は、そこで不思議な杯を見つけた。
その夜光太郎の夢にカッパが現れてー…な感じ。
なんかもう、号泣。
田舎の素朴さに。光太郎と龍雄の交流に。古きよき日本を投影したかのような龍雄一家とのかかわりが、光太郎を癒していく過程がとても良いです。
真っ直ぐで子供らしい二人と、見守る大人たち、というスタンスが好きです。口を出し過ぎず出さなすぎず。こういう絆っていいなぁ。


でもひとつ、「ネバーエンディングストーリーの龍」がコンコルドになってたのが不満(笑)フッフールだものー!原作至上。

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