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『夜のアポロン』 皆川博子 

本の紹介にはミステリ短編集とありましたが、犯罪・幻想小説短編集という感じでしょうか。いわゆる謎解きミステリに該当する短編のみならず、人間の歪みのようなものが豊かな語彙で描き出されており、読みながら陶酔できる一冊だなと思いました。
特に湿度粘度の高い「女」の描写が生々しくて、わかる…それな…としみじみしながら読みました…
皆川先生の描写する女性のああ女だなあと思わせられる感じ、長野まゆみ先生の少女のエグさとちょっと通じるものを感じます。
刊行経緯を読むとまたすごい。
紙で書かれていた頃の、データもなければコピーも残っていない短編をまず掲載誌などから探して集めて整理して…という作業、数や時間経過を考えると果てしないなと思います。
いまの読者が読める形にまとめ直して下さりありがとうございます…!

以下は収録作について徒然
「死化粧」明治初期の話。好きな時代の話がたまたま読めて嬉しかったです。馬場辰猪が演説している描写がった
「ガラス玉遊戯」リスカについての描写(その事象、母娘の関係性を含めての)がすごかった あと生まれてくる子供の生きる辛さを思ったら……のあたりもすごい 描写が刺さる
「サマー・キャンプ」泳ぐ描写がとにかく水の中の感覚を的確に想起させてくるのでめちゃめちゃ水に入りたくなりました。
プールでひたすら泳ぐのが好きなのですが、プールの波立たない水のイメージはサマーキャンプの湖水と通じるものがあって
「ほたる式部秘抄」暗号!一番ミステリらしいミステリであった気がしました
「閉ざされた庭」蔵にしまわれていた短刀のことが描写されていて、刀剣乱舞を履修していてよかったです。
幼年期の主人公と短刀の関係性のこと、刀剣履修しているかどうかで読んだときの心持ちがけっこう違ったんじゃないか~な
編者解説「作家自身の評価が読者のそれと乖離して、不当に低いケースは間々あるから」「読者としたらそんな事はありませんよ、ということは、何度でもお伝えしておくべきだろう。」皆川先生でも…皆川先生の完成度でもそうかあ…!!!!

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