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『左近の桜』 長野まゆみ 

連れ込み宿の長男、左近桜蔵は面倒な質だ。
当人の気付かぬうちに人外のものを拾ってきてしまう。
彼らは様々な形で桜蔵との交わりを求めてくるのだが――
妖しとエロスの短編集。美しい日本語が丁寧に語る物語に、思わず誘い込まれます。
古典文学や民俗学的要素が盛り込まれている点など読みどころはいろいろあると思いますが、特に、主人公・桜蔵が非常に曖昧な存在として描かれていることに面白さを感じました。
手を伸ばしてくる人外の存在をきっぱりと振り切ってしまわない、流されがちなところも曖昧ならば、その属性も曖昧です。
序盤から何度となく「男であること」が描写され、女友達もいる桜蔵は、しかし彼岸のものたちからは「女」だと言われてしまう。
「人間であること」くらいは確かであろうと思いきや、それさえもどうだか解らなくなる。
性別も生い立ちも性癖も、常に存在としての境界が揺らぎ続けているように読めました。
お話として一番気に入っているのは「六月一日晴」から「骨箱」までの流れです。
この二編でモチーフになる蝶(と桜蔵)の艶やかさと言ったらありません。
色々な作家さんが色々な形で描いている「蝶」、まだこんな見せ方もあったのだなあと思わず息をつきました。

収録作品は以下の通りです。

左近の桜左近の桜
(2008/07/24)
長野 まゆみ

商品詳細を見る

「花も嵐も春のうち」
「天神さまの云うとおり
「六月一日晴」
「骨箱」
「瓜喰めば」
「雲母蟲」
「秋草の譜」
「空舟(うつおぶね)」
「一夜半(ひとよわ)」
「件の男」
「うかれ猫」
「海市」

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