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『ゼルプの欺瞞』 ベルンハルト・シュリンク 平野卿子訳 

数少ないドイツ語圏ミステリ。
ドイツ・ミステリ大賞を受賞したそうですが、ミステリというよりは第三帝国とそれに従順してしまった世代への弾劾小説という色が濃いと思います。
本格ミステリとはとてもとても言えないです(笑)論理とか推理とかはありません。投げちゃってます。
一応主人公は私立探偵ですが、この私立探偵は元はナチス体制下で地方検事をしていたのです。
そして、(巻末の解説でもでも言及されてますが)著者は所謂「第二世代」「六十八年世代」の人です。この世代の人たちはナチスの世代=自分たちの親世代に対して、「過去を過去として流してしまおうとするな」「あのとき何をしたかを忘れるな」という風に詰め寄った世代らしいんですね(『戦後ドイツ』照)
つまりシュリンクは、ナチス体制の中に疑問を持たず所属していた「ゼルプ」という老人を親世代の一種の象徴として用意して、ナチスドイツを忘れさせないためにこの作品を書いたんだと思います。
シュリンクの別の有名本「朗読者」なんかもそうですが。
戦後の世相や、第一世代の思考の雰囲気を感じるにはいいかもしれません。割と日本のドイツ本はドイツを持ち上げる傾向がある感じがしますが、綺麗なだけじゃないドイツが見られます。
ミステリとしての期待はあんまりしないほうがいいです(笑)
しかし一番訳者さんに文句を言いたいのは、このシリーズの一冊目、「ゼルプの裁き」のネタバレが作中にあること…!(悔)
みんながみんな一冊目を読んでくるわけじゃないんだよー!(何)

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