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『赤い月、廃駅の上に』 有栖川有栖 

「幽」に掲載された作品を中心とした短編集。
がっちりホラーというよりも、不思議な話や軽めの怪談話という感じです。
『作家小説』がパンチの効いた「怖い話短編集」ならば、こちらはもう少しマイルド。
全ての作品に共通しているのは、モチーフや舞台が鉄道関係であることです。
鉄道もホラーも守備範囲な、有栖川先生らしい取り合わせだと思いました。
赤一色に車両という表紙が印象的、またお気に入りです。
しかし、「月」と「有栖川有栖」が並ぶとどうしても「わらう月」を思い出してしまいます(笑)
以下、作品ごとに雑感です。

「夢の国行き列車」
今なら私も乗ってしまいそう、そして帰ってこられなそうな列車です。
名古屋万博に行ったときのことを思い出し、『20世紀少年』で培われた大阪万博のイメージを思い出しつつ読みました。

「密林の奥へ」
この密林は有栖川式「パノラマ島」かな、などと。
濃い緑、鮮やかな花々や奇異な南の生き物がばっと頭に浮かぶようでした。

「テツの百物語」
鉄っちゃんが4人集まって、鉄道にまつわる百物語を始めたのだが――
正統派百物語モノ?

「貴婦人にハンカチを」
実はタイトルから、貴婦人の精(九十九神的な)が出てくるのかなーなんて予想をしておりました…(笑)既読の方は笑ってやって下さい(笑)

「黒い車掌」
状況的に何もなさそうなのに、「どう死ぬか」がミソという意味で、若干ミステリテイストでしょうか。

「海原にて」
めちゃめちゃ海なので、これだけ鉄道は関係ないんだろうか? と思ったら、どうしてどうしてとんでもなかったですね!
ラストシーンで描かれる失われてしまった誇りが、なんだかちょっと泣けました。

「シグナルの宵」
推理作家が登場することもあり、これも若干ミステリテイスト……というか、ミステリの様式に則った怪談話だと思います。
推理小説の定番展開が、上手いこと話の流れを怖いほうへ繋げて行きます。
舞台となるバーの雰囲気が素敵です。常連になりたい(笑)

「最果ての鉄橋」
車掌さんが好きです。社長さんもいいキャラでした。

「赤い月、廃駅の上に」
鉄道忌避伝説についてざっと説明があるのですが、これが面白い。調べてみたくなりました。
冒頭の情報が最後まで活きているのが良かったです。
夢枕獏の陰陽師シリーズに出てくる百鬼夜行シーンを思い出しました。

「途中下車」
蝶ネクタイの青年が好きです。車掌さんといい、善悪も意図もスタンスも曖昧な彼岸と此岸の狭間に立ってるようなキャラクターが好みなのか?
「アタシャール」という発想が面白かったです。

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)
(2009/02/04)
有栖川有栖

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FC2トラックバックテーマ  第776回「好きな小説。」 


FC2トラックバックテーマ  第776回「好きな小説。」


推理小説、とくに本格推理小説を愛好しています。
…いや、このトラックバックテーマは語っておくべきかなあと(笑)
ルーツは、定番ですが小学校のときにホームズに出会ってしまったこと。
そこからクリスティ、ルブラン、クイーンと行って、ロジックを軸に据えたミステリの醍醐味にハマってしまいました。
高校時代、クイーンの国名シリーズを読み漁っていた頃までは、正直国内ミステリには全然目が行っておりませんでした。

ここで有栖川有栖先生なのです…!(笑)
「エラリイ・クイーン”を”好きな作家さんがいるよ」
と友人が薦めてくれた有栖川有栖『46番目の密室』で大ハマり。
そこからはもう芋づる式に、国内は綾辻先生・島田先生・乱歩先生等々の新本格と古典、海外は古典を中心に、洋の東西を問わず読み漁るようになりました。
ロジック重視のミステリがなんでこんなに好きなんだろうとよく考えますが、張り巡らされた伏線がパズルがハマるみたいにかちかちっとかみ合って、全く新しい絵が現出する瞬間に興奮するのかな、とか。しかも伏線はささいなことであればあるほど燃える。
なっるほどそういうことかああああっ!!と「腑に落ちる」瞬間のために読んでいるというか(笑)
あ、なんか東野圭吾さんが、推理作家協会賞を略してすいきょうしょうと呼んでらしたことを思い出しました…最初酔狂賞かと思って何だそれはとびっくりしたんですが、ちょっと言いえて妙な気がしてきた(笑)
これからも良い本格に出会えたらいいなあ。
探偵さんがいて、助手がいて、あとは魅力的な謎と美しい論理があれば私は幸せです。

『イデアマスター』 若木未生 

バンド小説「グラスハート」シリーズの集大成。とうとう最終巻か、と大事に大事に読みました。
シリーズ1冊目の『グラスハート』を読んだとき、私は中学生でした。
いわゆるライトノベルにオーラバスターシリーズから入門したばかりでもあり、その流れで『グラスハート』を読んだのですが、読み終えたときの気持ちをまだ覚えています。
それは、「活字を読んでいるのに、音がする」ということ。
びっくりしました。本当にライブ会場にいて最後の一音が消えたときみたいな、耳を満たしてた音がふっと消えた喪失感や一緒に歌って踊って叫んではしゃいだ後の心地よい気だるさを、小説を読むという行為で体験したことに。
それ以来、私の中で音楽描写と言ったら若木先生(と、島田荘司先生)です。
最終巻『イデアマスター』でもその音楽ぶりは変わらず、とても嬉しかったです。
藤谷さんのベースとボーカル、尚のギター、坂本くんのキーボード、朱音ちゃんのドラム、どれもカッコよく私の中で鳴ってくれました。あのギリッギリのバランスで(笑)
もうあんまりテン・ブランクの演奏が素敵なので、なんで私テン・ブランクのCD持ってないんだろう? とすっごい悔しくなりました。意味がわからないなCDショップ行っても売ってないとか!
シリーズが終わってしまうのは寂しいですが、彼らは元気いっぱいまだまだ先へ向かうようなので良かったです。
幸せになって下さい。

ちなみに私は今までのシリーズ通して有栖川シンが一番好きで、それは今でも変わらないのですが、『イデアマスター』を読んで坂本くんが同率タイに並びました(笑)可愛過ぎる……!
しかし発端は少女小説レーベルであるコバルト文庫でありながら、恋より何より音楽、というのがすごくグラスハートだなあと(笑)そんなところも大好きです。

なんだかきちんと感想になっていないような。ちょっと感無量で、まとめ切れませんでした。

イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)
(2009/02)
若木 未生

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