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『情報基盤としての図書館』 根本彰 

根元さんが雑誌などに書いた文章・講演を元にした論文+書き下ろしの図書館論です。
図書館界の通論や現状を改めて見つめなおし、疑問を提起しておられ、業界の常識に捕らわれない冷静な議論が興味深かったです。
具体的には、

・「中小レポート」以来の図書館成功神話
・大学で学科に関らず比較的軽易に司書資格が取れてしまう現状
・貸し出し至上主義
・図書館数・蔵書数・登録人数・貸し出し冊数ほか量的な問題のみに拘泥すること

などへの批判です。
特に貸し出し至上主義について、他国の状況と引き比べ、貸し出しを最優先にする必然性は無いと説いておられます。
確かに日本の図書館は、貸し出し、しかもベストセラー小説などの非学術書に寄り過ぎている感があります。
学術書の購入に予算を割けば利用者に人気のある本を購入するための予算が減り、利用者のニーズに応えられなくなると言う論者もいます。
しかし、根元さんの図書館を見る目は長期的です。
短期的に見ればリクエストの多い本を購入しないことは利用者の減少に繋がるかもしれませんが、そこから浮いた予算を他のサービスの拡充に回せばどうか?
図書館を単なる貸し本屋ではなく、市民の生活に不可欠な知的インフラとするには、貸し出し以上の幅広い情報提供の形を備えている必要がある。利用者が自由に使用できるインターネット設備、多数のデータベース、レファレンスの充実など、日本の図書館に無いサービスはまだまだ多い。
むしろこうしたサービスに手を広げ、それらを活用する術を伝えていくことで、図書館を活用する利用者の増加を望めるのではないか?

図書館の現状と未来について、「こんな見方もあるよ」と教えて頂ける一冊です。

情報基盤としての図書館情報基盤としての図書館
(2002/04)
根本 彰

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『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告』 菅谷明子 

世界最最大級の情報量を蓄え活用する、ニューヨーク公共図書館の実際をレポートした新書です。
ニューヨーク公共図書館は、ニューヨーク市全5区を管轄する3館・地域分館85館・研究図書館4館から成っています。
菅谷さんによれば、どの館でも単純に資料を貸し出すだけでは終わりません。
様々な資料の用意・貸し出し・取り寄せ・閲覧、緻密なレファレンス、パソコンなどのツールの提供、各種セミナーの開催、非常事態における情報提供など、媒体や形式を限らずサービスが行われています。
取り扱うテーマもビジネスから芸術文化、子ども向けなど、ジャンルやサービス対象を問いません。
ニューヨーク公共図書館を利用する市民の声もまとめられており、幅広いサービス内容が形骸化せずに機能していることが伝わってきました。
コミュニケーションツールの発達により情報が氾濫するこの時代にこそ、彼らは必要とされている。
あえて難があるとすれば、課題や問題点がほとんど取り上げられていないということでしょうか。
完璧な図書館など存在しない、と思います。
ニューヨーク公共図書館がこれからどのような改善と新事業を志向しているのか。気になるところです。

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)
(2003/09/20)
菅谷 明子

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