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 2006年12月 

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『クリスマスの文化史』 若林ひとみ 

主観的過ぎるのが鼻に付く本であった。冒頭から著者のヒロイックでセンチメンタルな独白が続き、ドイツ批判がされる。まがりなりにも文化について語ろうというのなら、もっと客観的な叙述をして欲しかった。著者の主観的感想は全編を通して付いて来るが、そこに言葉を尽くす余裕があるのならもっとクリスマス文化について詳細な説明が欲しかった。
ただし写真や絵がふんだんに使用されており、具体的なイメージが浮かびやすく、分かりやすいものには仕上がっているのではないだろうか。
クリスマスの様々な行事や習慣を概観して面白かったのは、宗派の存在であった。宗派=考え方が違うからこそ儀式や祝い方が違っている部分もあれば、根本的思想が違っても宗派を超えて浸透してしまった事物もある。例えば、聖人崇拝に当たってしまう聖ニコラウス祭を廃止すべく作られた、12月24日のクリストキントによるプレゼント贈呈はカトリックにも浸透した。元々はクリスマスツリーもプロテスタントの習慣であった。逆にカトリックの風習だった生誕シーンは19世紀にはプロテスタントにも派生した。ただプロテスタントとカトリック(とピューリタンが少々)のクリスマス史が主なことは少々残念である。キリスト教の宗派は二分割どころではない。ドイツにおいても、確かにプロテスタントとカトリックの信者が多くはあるがそれが全てではない。ページ数の問題はあるかもしれないが、他の宗派ではどのように祝われているのかも丁寧に見ていって貰いたかった。ある行事が地域や集団によって変化するとき、そこには彼らの根本思想が表れると思う。一方、ツリー・生誕シーン・アドヴェントクランツなどが宗派を超えて共有された理由も著作中には示されていない。それらが生れた事情やそこにある思想が、共有され得るものだったからかもしれない。広域に伝播するうちに思想的なものが薄れたもしくは変遷したのかもしれない。あるいは、楽しく、美しく、感動や癒しをくれる事物を真似ずにはいられなかったのかもしれない。遡ればキリスト教という共通土壌があるとはいえ、お互いに理念の違うもの同士である。魅力かメリットがないものであれば共有しようとはしなかっただろう。
 キリスト教国ではあくまで敬虔に、荘厳にクリスマスという行事を祝うものなのかと思いきや、思ったよりも柔らかい行事であるようで新鮮に感じた。不要な箇所とは思うものの、著者が情緒的に描写したドイツの片田舎のクリスマスは幻想的で美しかった。一度はクリスマス時期のドイツを旅行してみたいものである。
クリスマスの文化史 / 若林 ひとみ

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『アボカド・ベイビー』 ジョン・バーニンガム文、絵 青山南訳 

家族みんなが身体の弱いハーグレイブ家に赤ちゃんが生まれた。
その子もやっぱり身体が弱く、ご飯も少ししか食べてくれない。心配した家族がアボガドを食べさせたところ、赤ちゃんはみるみるうちに元気になって……
イギリスで高い人気を博し、日本でもほとんどの作品が訳されているというジョン・バーニンガムさんの絵本。
シンプルで爽やか、さらりとした水彩の挿絵で描かれるパワフルな赤ちゃんはとてもコミカルで可愛らしいです。
見開きの使い方が上手く、迫力満点。
むんと力を入れる怒った赤ちゃんの表情が好きでした。
アボカド・ベイビー / ジョン バーニンガム


2007年02月09日に読んだ本(絵本5冊、マンガ1冊、その他3冊)


『つえつきばあさん』 スズキコージ文、絵 

ある日牛小屋から、つえつきばあさんが出かけてゆきました。連れ立つ仲間はぞろぞろ増える。つえつきばあさんたちは何をしようというのでしょうか……?
このどんどんつえつきばあさんが増えていく様子や、「つえつきばあさんまつり」「つえつきおどり」などの造語を読んだら、子どもたちは楽しく笑ってくれそうです。
色鉛筆でしょうかクーピーでしょうか、色とりどりで賑やかな画面。紙の中にみっちりと人と羊!
人が多くてざわめきさえも聞こえてきそうです。
遠近法を使うのが上手く、ディティールまで気が使ってあります。

つえつきばあさん つえつきばあさん
スズキ コージ (2000/06)
ビリケン出版

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『漱石作品論集成【第一巻】吾輩は猫である』 

漱石の代表作『吾輩は猫である』に関する古今の論文集。
お互いの論文に対して批判があったり、逆にそれに基いて執筆されていたり、という相互関係もあって面白いです。
テーマは比較的浅く広く採られています。
あえて言うなら猫における「笑い」に寄っている感じでした。

『チョキチョキチョッキン』 ひぐちみちこ・いわたみつこ作 

布絵本です。
聴覚、触覚、手足の運動、情緒など様々な障害を持つ子どもたちのために作られました。
最近はオトナで脳梗塞で倒れた人のリハビリや、発展途上国の子どもたちも使ったりしているとのこと。
点字と普通の字が元々ついていて、絵もさわると形が分かります。
例えば砂と空とカニでは素材が違ったりするのです。
触って遊べるこの絵本は、どんな子どもたちにも楽しいのでは。
3000円は確かに高価ですが、是非増えていって欲しいです。

チョキチョキチョッキン チョキチョキチョッキン
ひぐち みちこ、いわた みつこ 他 (1996/10)
てんやく絵本 ふれあい文庫

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『ぼくのくれよん』 長新太 文、絵 

くれよんで遊ぶぞうさんの話。
鮮やかな色の、伸び伸びとした線が爽快です!
一面の青、赤、黄も鮮やかで広々とした印象。
らいおんに怒られるぞうの姿が可愛かったです(笑)

ぼくのくれよん―大型絵本 ぼくのくれよん―大型絵本
長 新太 (2003/10)
講談社

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『はらぺこあおむし』 エリック・カール 文、絵 もりひさし訳 

アメリカの絵本。文房具なども出ているので知っている方も多いと思います。
すごくカラフルでコミカルな画面。コラージュの手法らしいです。
穴が開いていたり、手で触りながら遊べたり、アイディアがすごい。
くだものの名前と、ひとつ・ふたつ・みっつ…という数も学べます。
ふとっちょの青虫は可愛く、蝶々は鮮やかな彩色で美しかったです。

はらぺこあおむし はらぺこあおむし
エリック=カール、もり ひさし 他 (1989/02)
偕成社

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『ねこのジンジャー』 シャーロット・ヴォーク 文、絵 小島希里訳 

イギリスの絵本。
気ままな暮らしを楽しんでいたジンジャーのところに、ある日こねこがやってきて……
ちょっとまぬけなジンジャーがとても可愛いのです。
デッサンのきちんとした猫の絵です。
表情豊かで、円やかかつさらりとした画風。水彩でしょうか?
空白が上手く効いています。
クリーム色っぽい紙なので、白々としているというよりも暖かい雰囲気に仕上がっています。

ねこのジンジャー ねこのジンジャー
シャーロット ヴォーク (1997/10)
偕成社

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『タンゲくん』 片山健文、絵 

猫のタンゲくんを主役にした猫話。タンゲは丹下作善から。
タンゲくんを拾ったご家族はちゃぶ台に桐箪笥ーなひと昔前の家族という感じ。
作者は人気作家らしいですが、ちょっとシュールで不思議な画風です。大好きって人と苦手って人に二分されるのだそう。
個人的にはあまり絵にはハマりませんでした。か、かわいくな…(コラ)
喧嘩のシーンなども荒々しくて恐いくらいでした。
個性的だとは思います。
タンゲくん / 片山 健

『バザールでござーるのバナナ裁判』 文佐藤雅彦 内野真澄 絵水口克夫 

バナナを盗んだ嫌疑をかけられちゃうバザールでござーる。な絵本。
ちょっといい話という感じ。
可もなく不可もなくでした。
家族や親戚のフルネーム&プロフィールがついています(笑)
バザールでござーるのバナナ裁判 / 水口 克夫、佐藤 雅彦 他

『サーカスの怪人』 江戸川乱歩 

少年探偵団シリーズ。サーカスに現れた謎の怪人の話。
いつも通りの追いかけっこで、ここまでくるとマンネリが楽しいです:*:°★(笑)小林君かわいー明智先生かっこいー二十面相アホ可愛いー(口癖化)
あの衣装は無いですよ二十面相(笑)骸骨…ネタバレしてからはホント間抜け可愛いです(笑)
馬を駆る明智先生が大変男前。

サーカスの怪人 サーカスの怪人
江戸川 乱歩 (1999/01)
ポプラ社

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『夏目漱石(中)』 小宮豊隆 

小宮豊隆による漱石伝記の二冊目。
『吾輩は猫である』執筆期の事が知りたかったので、とりあえずここだけ読みました。
というわけで時期としては子規との交友、ロンドン行き、猫執筆の辺りが主でしょうか。
また、漱石の精神状態についても触れているのですが、奥さんの意見全否定て凄いなぁと(笑)小宮さんの夏目先生への崇拝っぷりが伝わってきました…(笑)
書簡などの引用が多くて楽しいです。
前・後もそのうち読みたいです。
夏目漱石 中 (2) / 小宮 豊隆

『靖国神社と日本人』 小堀桂一郎 

すごく自分勝手で傲慢な本でした。
自国もしくは自分の論理に都合のいいところだけ法を盾に取るなり勝手な物事の定義をするなりして論じており、本質的な「靖国」の昨日や果たした役割を完全に無視してしまっています。ご都合主義的。
まるっとこの本を信じてしまう人が居たら困るなーという感じ。
もっと公平に、冷静に、屁理屈ではなく論理を本にして欲しかったです。

靖国神社と日本人 靖国神社と日本人
小堀 桂一郎 (1998/07)
PHP研究所

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『よあけ』 ユリー・シュルヴィッツ文・絵 瀬田 貞二訳 

著者はポーランドからアメリカに渡ったというユリー・シュルヴィッツ。
「漁翁」という詩がモチーフらしいです。
丸く囲われたレイアウトの挿絵は光りが活きてとても綺麗で静かです。
ひらがなで易しく書いてはありますが、言葉のひとつひとつが詩的で美しい。
暗い夜の青からだんだん光りが挿して、夜明けの山々の緑へ変化してゆく様子が上手いです。

よあけ よあけ
ユリー・シュルヴィッツ、瀬田 貞二 他 (1977/06)
福音館書店

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『しずくのぼうけん』マリア・テルリコフスカ文 ブデンコ絵 うちだ りさこ訳 

水の変化(一生?)を描いた絵本。しずくが汚れたり蒸発したり雨になったり氷になったり…
歌うような、詩的な文章と無表情なしずくの挿絵との対照が面白いです。
シンプルな挿絵に手書きの文字が暖かいなと思いました。
理科の時間に読む先生もいるらしいです。

しずくのぼうけん しずくのぼうけん
マリア・テルリコフスカ、うちだ りさこ 他 (1969/08)
福音館書店

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『俳人漱石』 坪内稔典 

漱石が作った俳句を、初期のものから後期のものまでピックアップして評して下さいます。なんと、著者と漱石と子規の対談で!
過去のことを振り返り振り返り批評や会話を交わす漱石・子規と、彼らに現代人として絡み、ツッコミを入れる著者。
時代を超えた掛け合いがとても面白かったです。
ちょっとお兄さんぶった子規が可愛いです。

俳人漱石 俳人漱石
坪内 稔典 (2003/05/20)
岩波書店

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『アルケミスト―夢を旅した少年』 パウロ・コエーリョ 山川紘矢+山川亜希子訳  

ベドウィンに砂漠に前兆という言葉にムスリム的なものを感じたのですが、主人公はクリスチャン。
羊たちと今までの暮らしを捨て、旅に出るところから話は始まります。
教訓(人生訓)と哲学で構成された小説で寓話的で、どちらかというとストーリーよりも思想を味わうための作品なのかな、と感じました。
描写のそこここに警句が含まれています。
深みのある内容なので、再読してじっくりと味わってみたいです。

アルケミスト―夢を旅した少年 アルケミスト―夢を旅した少年
パウロ コエーリョ (1994/11)
地湧社

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『Seine eigene Farbe』 Leo Lionni Deutsch von Ernst Jandl 

ドイツ語の絵本の訳に挑戦してみました~。
「自分の色」がないことに悩むカメレオンのお話。
これもアイデンティティの問題に通じる部分があり、抽象的・哲学的です。
訥々・淡々とした語り口の上に深い意味合いが乗せられているように思いました。
色とりどりの挿絵は見目にも楽しく、可愛いのです。

じぶんだけのいろ―いろいろさがしたカメレオンのはなし じぶんだけのいろ―いろいろさがしたカメレオンのはなし
レオ・レオニ (2000)
好学社

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『泣いた赤おに』 浜田廣介 

有名な表題作のほか、浜田さんの代表的な童話を集めた短編集です。
いじらしい善意の人たちばかりで、思わず何度もほろりとしました。
スタンダードなハッピーエンドに終わらない独特のスタイルは、「日本のアンデルセン」の通り名を聞いてすごく納得してしまいました。
どこか切なく、考えさせられます。

泣いた赤おに 泣いた赤おに
浜田 広介 (2004/05)
小学館

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