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 2006年09月 

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『100万回生きたねこ』 佐野洋子 

自分のこと以外は「嫌い」だったねこが、恋をした。
変化の様子が初々しくて可愛らしくて、こちらまでにこにこしてしまいました。
だからこそ最後は泣けます。
そうやって「しろねこ」に添えたことは、彼にとって幸せなことであったんだろうなと思います。
絵本、という日本語が厳選されていて抽象的な表現方法がとられているのですが、そこから様々な解釈が汲み取れる深さがあります。
名作。

100万回生きたねこ 100万回生きたねこ
佐野 洋子 (1977/01)
講談社

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『ささら さや』 加納朋子 

雰囲気としては『幽霊刑事』+『ミケルの庭』、という印象。
夫に先立たれた新米ママのさやが、新しい町で徐々に前を向いてゆく過程を描いた物語。
さやの回りで小さな事件が起こるたび、切ない音と呼び声とがさやを訪れる。
シビアな冒頭から始まって、優しく愛しく紡がれる綺麗な世界にたくさん泣きました。
ただひたすらに清らかなわけではなくて、人とのしがらみやどろどろした気持ちも描かれてはいます。
でもさやのことも、さやを囲む周りの人たちも大好きになります。
きらきらした加納さんの世界観が愛しすぎる。
大好きな一冊。オススメです。

ささらさや ささらさや
加納 朋子 (2004/04)
幻冬舎

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『まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る』 有栖川有栖 

「まほろ市」春夏秋冬とあるシリーズのうち、有栖川先生による『冬』だけ読みました。
『幻想運河』などの雰囲気に近いミステリです。
犯人が罪への恐怖に精神的に追い詰められてゆく様がいつもより色濃く描かれています。
幽霊か幻か、とかく嘘のような出来事の連続に、どのように決着をつけるのかとどきどきしました。
答えは有栖川先生らしく、ややとっぴながらも論理的なので、奇想天外なトリックがお好きな方のことはガッカリさせてしまうかもしれません。
個人的には下手に奇抜に風呂敷仕舞われるよりは現実的・論理的なほうが好きなので、成程と思いました。

まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る
有栖川 有栖 (2002/06)
祥伝社

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『谷崎潤一郎 <ちくま日本文学全集>』 谷崎潤一郎 

谷崎さんの小説から短編・中篇数編を選んだ文庫本。

『刺青』
有名な短編ですね。
強かで妖艶な女が、女の背が、大変綺麗でした。

『秘密』
既読につき割愛。

『母を恋うる記』
幻想小説と言って良いのでしょうか。
ふわふわと浮かぶような柔らかく不思議な雰囲気が好きな作品です。
静謐なファンタジーという印象を持ちました。

『友田と松永の話』
『秘密』と並んで推理小説的な作品。
ややオチが突拍子も無い感じがするので、純文学の谷崎潤一郎を求めている方には物足りないのではないでしょうか。
推理小説だと思って読むのなら、アリだろうし中々面白いと私は思います。

『吉野葛』
前半の細かく美しい風景描写に吉野の旅行記なのかと思ってしまいました。
土地の伝承・伝説を交えて、主人公の目から友人のルーツと現在が描かれています。
薀蓄・知識的な話に寄り過ぎていて途中やや退屈になりましたが、最後は可愛かったです。

『春琴抄』
既読につき割愛。

『文章読本 抄』
谷崎さんの「文章論」。
日本語の文章について、英文と比較するなど多角的に語ってあります。
小説書きの心得、というようにも読めました。

谷崎潤一郎 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎 (1991/05)
筑摩書房

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『ひとまねこざる』 H・A・レイ 光吉夏弥訳 

絵本における古典作品。
『ひとまねこざるときいろいぼうし』の続編ですが、私は未読のままコレを読んでしまいました。
こちらから入っても充分に楽しめます。
サルのジョージは好奇心旺盛で、いろいろなものを見たくてたまりません。
動物園にいるだけじゃつまらないと、動物園を抜け出してしまいます。
外の世界でジョージは一体どうなるのでしょう?
というお話。
どこへ行ってもその好奇心で何かやらかしてしまうジョージが可愛いですv
きいろいぼうしのおじさんとの仲良しさも和みました。

ひとまねこざる ひとまねこざる
H.A.レイ、光吉 夏弥 他 (1998/02)
岩波書店

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祝『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』DVD化!! 

アニメ「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」のDVD化がついに決定しました!
オフィシャルページ:ttp://cgi.shopro.co.jp/tv/let_go/


この作品を心から愛する一人として本当に本当に嬉しいです。
多分、ミニ四駆ブームを経験した世代でレツゴーを知らない方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
渕崎ゆり子さんや池澤春菜さんを始めとする豪華な声優陣もさることながら、作画・シナリオのクオリティの高さは、放映開始から十年以上が経つ今でも根強いファンたちを虜にしています。
純粋に「ミニ四駆が大好きな子どもたちのために」作られているというのも嬉しい点です。
しかし「子どものための作品」であるからと言って決してあなどるなかれ。
レツゴーは、大人の鑑賞にも十二分に耐えるのです。
子どもたちの真っ直ぐさ、彼らを見守る大人たちの優しさ、作品の持つ底抜けのポジティブさは、私たちに大事なことを伝え、思い出させてくれます。
前向きで常に上昇志向、「あきらめない」ということを全力で教えてくれる。
この作品に出会えなかったら、今頃私は生きることを諦めていたかもしれません。

ところで、「良い児童書」とは何でしょう。
その定義は色々です。
私は、「大人にも薦められる」「大人も子どもも夢中になれる」ことだと思っています。
レツゴーは正に、そんな作品なのです。
素晴らしい本を見つけたときに薦めたくなるように、みんな一度はレツゴーの世界に触れて下さい、と声を大にして言いたいです。
損は絶対にさせません。
レツゴーは、子どもも大人も魅了する傑作です。

DVD化によって改めてレツゴーの魅力に気付いて貰えること、またレツゴーが末長く愛されてゆくことを願って止みません。
小学館さん、本当にありがとうございます。
心から、心から応援しております。

「爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX」DVD-BOX(完全生産限定版)「爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX」DVD-BOX(完全生産限定版)
(2008/02/20)
渡辺久美子、日高のり子 他

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「爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP」 DVD-BOX (完全生産限定版)「爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP」 DVD-BOX (完全生産限定版)
(2007/12/19)
渕崎ゆり子池澤春菜

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「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」DVD-BOX(完全生産限定版)「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」DVD-BOX(完全生産限定版)
(2007/10/24)
池澤春菜渕崎ゆり子

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『僧正殺人事件』 ヴァン・ダイン 

これを読まないで推理小説ファンは名乗れない! …と、作品解説にさえ書いてあった名作。ようやく読みました(くは)
マザーグースの「誰が駒鳥を殺したか」に合わせて人々が殺されてゆく。犯人は何故そんな殺し方を続けるのか、真犯人の正体は?
最後のヴァンスと犯人の対峙・どんでん返しが流石でした。

しっかし相変らずヴァンの影が薄くて…!(笑)
ヴァンス以外誰も彼に話しかけないし名前も呼ばないしツッコミを入れてないですよね。恐らく。
神の視点に余りにも近い一人称なので、そのうちヴァンは実は存在しなくてヴァンスにしか見えない想像上の語り手だったとかいうオチにさえなりかねないとハラハラしています。(ミステリにあらざるオチだよそれは)
うーんダインのエッセイやダインに関する解説書は読んだことが無いんですが、ワトソンの持つ「語り手」と「助手」の機能を、ダインはそれぞれ「ヴァン」と「マーカム」に振り分けたのかな、などと想像しています。

僧正殺人事件 僧正殺人事件
井上 勇、ヴァン・ダイン 他 (2000)
東京創元社

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『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 

複数の人生が複雑に交差するライトミステリ。やはり謎より人間が主役に立っていることから推理小説としてはライトなノリに仕上がっていると思うのですが、とても面白かったです。
というのは、構成がとても上手いのですね。
よくこんな複雑で綿密な構成を思いついて、お話として組み上げたものだと驚くやら感嘆するやらでした。
上手く辻褄を合わせていくのは本当に大変な作業だったんじゃないでしょうか。

また、「複数の人生が複雑に交差」すると、舞台を見る目が多くなり、視点観点もそれぞれ違うことになります。
そのため作品舞台が凄く立体的に見えて、目の前に立ち現れます。不思議な感覚でした。

ラッシュライフ ラッシュライフ
伊坂 幸太郎 (2002/07)
新潮社

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『門』 夏目漱石 

『こころ』『それから』の続編と言われる長編作品。
過去の業はいつまでも彼らを縛り追ってくる、彼らに門は開かれない。テーマは強く的確に描き表わされていて、言いようの無い恐ろしさを感じました。
要所要所の描写が過不足無く鮮やかで、絵として印象に残ります。
二人の過去が徐々に明かされてゆく様子に手法としての「推理小説」を感じたのですが、漱石は確か探偵嫌いなのですよね…(笑)意識していたのか否か、どうなんでしょう。

宗助と御米のつましく薄暗く小さな生活世界が、私には愛しかったです。
過去の重さに苦しみながら、それでも宗助は御米の元へ帰ってきた。襲い来る弾劾に打ち勝つ強さを持たなくても、二人は全き不幸の中にいたというわけではないんじゃないかと思いました。

門
夏目 漱石 (1948/11)
新潮社

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『チルドレン』 伊坂幸太郎 

連作短編集。
話によっては、ミステリと言っていいのか非常に微妙です。
悪い意味ではなく、謎より人が主人公で、純文学に近い感じです。ミステリの中で分けるなら、日常ミステリでしょうか。
ささやかな謎と、個性的な人物たちが可愛くてしょうがありません。
伊坂さんという人は、自分が好きなもののひとかけらをそうっと登場人物に分けて、大切に描いてあげているような感じを受けます。読んでいて嬉しいです。
ご本人の言葉を読んだことがほとんどないので単なる想像ですが(笑)
陣内の言うことなすことと、全盲の青年の中身を表現した言葉が特に印象的でした。
「川の中」。
ついこの間川に入ってきたもので、成程、と納得してしまいました。

チルドレン チルドレン
伊坂 幸太郎 (2004/05/21)
講談社

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『鏡地獄』 江戸川乱歩 

ホラーもしくは不気味で残酷で美しい雰囲気の作品を集めた中・短編集。
幻想小説・伝奇小説が主で、『陰獣』だけはミステリ色が強いです。

『人間椅子』
『鏡地獄』
『人でなしの恋』
『芋虫』
『白昼夢』
『踊る一寸法師』
『パノラマ島奇談』
『陰獣』

推理以外の乱歩の魅力である妖しい美しさが全開です。いいとこ取りなチョイス。
蠱惑的な空想の世界にどっぷり浸れました。
この乱歩世界がとても好きです。
鏡地獄―江戸川乱歩怪奇幻想傑作選 / 江戸川 乱歩

『双生児』 江戸川乱歩 

「一人二役もの」を中心に集めた中・短編集。

『双生児―ある死刑囚が教誨師にうちあけた話』
アイディアがとっても良かったです。
乱歩オリジナルなのでしょうか、翻案なのでしょうか。
語り口を見る感じ翻案or実話から取ってきているのかな、と思ったのですが。

『一人二役』
主人公と奥さんの駆け引きが愉快です。そこまでやるか!という感じ。

『ぺてん師と空気男』
空気男がぺてん師にめろめろ過ぎてちょっと笑いました(笑うんか)
「プラクティカル・ジョーク」。初めての概念でした。メジャーな言葉ではないと思うんですが、興味深いゲームです。

『百面相役者』
二十面相とこの作品とどちらが後なのかは調べていませんが、二十面相の原型はこの作品でしょうか。
不気味な雰囲気が楽しめる一編でした。

『一寸法師』
ど真ん中ストレートな推理小説です。人間関係やや複雑ですが、捻り方が面白いです。

双生児 双生児
江戸川 乱歩 (1999/08)
角川書店

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『虞美人草』 夏目漱石 

盛者必衰と言いましょうか、奢るものは必ず報いを受けると言いましょうか。とどのつまりは「藤尾を殺す」ために書かれた長編小説。
登場人物の関係が全て説明されて、彼らがゆっくりと動いている間は淡々と読みました。
相関と動きは面白いのです。でもところどころに入る冗長な地の文が、個人的に興味がある内容だったり無い内容だったりムラがあったためにのめりこむことが出来ずにいたのです。
でも後半が! 流石というか物凄い。
甲野兄が実は母親の意図を全て承知して動いていた、ということが分かる辺りからの展開の速さ、上手さ、面白さに舌を巻きました。
勧善懲悪めいていたり憤死というビックリな事件が起きたりと、リアルさなどを考えたらツッコミどころはあるのかもしれません。でも私は後半の登場人物たちの「真面目」さ、正直さが好きです。
一途な糸子ちゃんの心持ちと、そんな糸子ちゃんのことを兄宗近が甲野兄へ語る台詞が愛しくてちょっとほろりと来ました。
糸子ちゃん、小夜子ちゃんには幸せになっていただきたいです。

また、前半で小野さんについて語る部分で子規が否定されている箇所があり驚いたのですが、後半その小野さんは否定されることになりました。
「子規を否定した小野さんを否定する」形で、漱石は子規を肯定したのでしょうかー…妄想。
虞美人草 / 夏目 漱石

『名探偵の呪縛』 東野圭吾 

『名探偵の掟』の続編長編。
小説家の主人公がある日図書館へ出かけると、気が付いたら自分が天下一探偵になっていた――というところから始まるミステリ。
今回はミステリ読者に対する踏み絵というよりも、ミステリ批判者に対する皮肉です。
前回のようなブラックユーモアがないのに主旨はあまり変わらなかった結果、ちょっと面白みが欠けてしまったように思いました。

数回の殺人事件が解決されるので、複数のトリックが見られたのが嬉しかったです。
短編を読んでいるようなお得感でした。
ただラストの纏め方がミステリ界の現状とミステリ批判者に対するお説教めいて感じられ、少々興ざめしました。

名探偵の呪縛 名探偵の呪縛
東野 圭吾 (1996/10)
講談社

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『魔法博士』 江戸川乱歩 

少年探偵団もの。
二十面相の明智への執着が久々に強く顕れていたお話ですネ。
しかも子どもたちへの可愛がりっぷりも強く顕れていたので、ある意味一番二十面相の好みと願望がわかりやすかった話でもあると思います。コイツ危ないよって思われちゃわないか心配だな! もうとっくに思われてますか。
トリックはいつもの翻案・流用・応用という感じですが、応用の仕方が面白かったです。

一言明智君にツッコミたいのが、替え玉といえども命は大切に! ということですね(笑)

魔法博士 魔法博士
江戸川 乱歩 (2005/02)
ポプラ社

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『草枕』 夏目漱石 

都会からはぐれることで「非人情」の世界へ生きようとした画人の話…?
すみません古典に下手言って間違っていたら怖いので、断定できないんですが(笑)
主人公の画人が「非人情」の世界を決め込もうとしているからか、視覚的な描写と、自己の心理に関する描写と、議論的な語りで構成されています。
起承転結のある小説というよりも、芸術論色の方が濃いように感じました。
その「視覚的な描写」、画人なので絵画的な描写とも言えるのかなと思うんですが、が幻想のような美しさで好きです。特に画人の目を通して見るお那美さんはとても綺麗でした。
キャラクターにハマるでもストーリーで引っ張られるでもなく、絵を追っかけて読みました。
また、漂う空気は凝り固まっているように静謐で、もしかしたら退屈で、たゆたうような不思議な感覚を味わいました。

草枕 草枕
夏目 漱石 (1990/04)
岩波書店

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『黄金豹』 江戸川乱歩 

これはもう…! 爆笑…!(笑)←笑うんか。
東京に突如現れた金色の豹。神出鬼没のその豹は、とうとう宝石店や銀行を襲うようになる。
少年探偵団副団長、園田くんのおうちも狙われた。
さて豹の正体とは…!?

…解りきってるけどネ★そこがいいんですけど(笑)
豹があまりに人間的で愉快です。
「でも人間が豹にあんなに上手く化けるのは無理だ」(じゃあ豹の正体って?)という小林君の理論は素晴らしかったですv
大人気ない二十面相に愛を感じる。
ワンパタといわれても一向に気になりません(笑)

黄金豹 黄金豹
江戸川 乱歩 (1998/12)
ポプラ社

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『銀河鉄道の夜―宮沢賢治童話傑作選』 宮沢 賢治 田原 田鶴子絵 

かの有名な。まだ読んでなかったのかって話ですが未読でした…
星祭の日、ふいと乗り込んだ銀河鉄道でジョバンニとカムパネルラが旅をする。
宮沢さんは仏教徒ということですが、このお話はキリスト教的ですね。海外が舞台だからなのでしょうか…?
でも、扱う地を海外に置きながら、言葉のためか戦前の日本の空気を感じました。
挿絵を見ないと、ウッカリ日本風に場面を想像してしまう(笑)
不思議で、透明で、綺麗な世界観にうっとりしました。
長野まゆみさんの源泉はやはりこの人なんだろうなあ、とも。
エピソードに抽象的なものが混じるのですが、これは解釈して読むべきなのかそのまま受け止めるほうがいいのか。悩みます。
いちいち解釈なんて考えず、あるがままに読めばいいじゃんとも思うし、宮沢さんが本当に伝えたかったことが知りたいとも思います。
ジョバンニとカムパネルラは二人とも可愛いですが、特にジョバンニの中身がいいですね。素朴で。拗ねたり、またぱっと機嫌を直したり、その揺れ方が好きです。

誤字かなと思う箇所が散見されたのですが、原文ママなのか第一刷だからなのか気になります。

銀河鉄道の夜―宮沢賢治童話傑作選 銀河鉄道の夜―宮沢賢治童話傑作選
田原 田鶴子、宮沢 賢治 他 (2000/11)
偕成社

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『満月の夜の伝説』 ミヒャエル・エンデ  ビネッテ・シュレーダー絵 佐藤真理子訳 

絵本。
言葉は確かに易しいのですが、お話や巻末の著者紹介などを見ていると、やや大人向けでしょうか。
そのままストレートにも読めるのですが、もっと色々考えて読む方には序盤のほうから哲学・寓話的解釈が付けられる作品かもしれません。
私はそういうこともできそうだな~と思いつつやれませんでした(ヘタレ)
賢者を素朴に慕う盗賊と、素直で純粋な賢者とが微笑ましくも可愛くて、ふたりのことがとても好きになりました。
挿絵も凄く良いです。もしも生絵なんか見せられたらその場から動けなくなりそう。
柔らかいのにしっかりしていて、不思議な着色のされた絵です。上手く説明できないのですが、とにかく「凄い」と思いました。

満月の夜の伝説 / ミヒャエル・エンデ、ビネッテ・シュレーダー 他

『覘き小平次』 京極夏彦 

日本の古典怪談『木幡小平次』の改作…と言えば良いんでしょうか。基本設定を下に敷いた完全な書き直し?
登場人物の人生と人生観が絡み合い、浮き彫りにされるのは小平次・お塚の共依存…なのかな、と思います。
小平次の「気味悪さ」も描写から解るのですが、それ以上に彼のありのままに逆らわずお塚を愛おしむ様に好感を持ってしまいました。
お塚の「嫌い」という「執着」もあそこまで来れば永久の愛と紙一重ですよね。
久遠の執着に変わりなく、形は違えど二人はいつまでも繋がって行くのでしょう。二人が「愛し合う」ことはないのかもしれないけれど、お塚の「いつまでも」という言葉に私はハッピーエンドを見ました。
そして暗躍する又市が好きだー。ちょっと詰めが甘い感じですね(笑)若いなあ。
徳さんのキャラと、又市が「生きて、動いている」ということが嬉しくて、出番がほぼ無しでも満足でした。
治平さんは男前。小平次と治平さんの係わり方がとても好きです。

ところでこれ巻末に解説がついているのですが、そこで語られている「幽霊」と「恐怖」についてのお話が解りやすく端的で面白かったです。

覘き小平次 覘き小平次
京極 夏彦 (2005/02)
中央公論新社

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『長編伝奇探偵小説 帝都探偵物語① 人造生命の秘密』 赤城毅 

ときは大正、震災の後の帝都。洋行帰りの私立探偵木暮十三郎(美少年と美女の助手付)の下へ、奇怪な事件が持ち込まれた――
というと、乱歩の明智小五郎+小林君・文代さんが思い出されます。そんな「少年探偵団」もの張りの冒険小説。
でも少年探偵団より科学をスルーしています(笑)
少年探偵団は「有り得ない!」と思う現象が最後にはどうにかこうにか、強引にでも論理的に証明されるんですが、こっちでは常識の枠にわざわざ当てはめようとははなからしていない感じです。
お話の流れや台詞はかなりステレオタイプで、ハリウッドのアクション映画や漫画にありそうな感じです。
でも腕白なキャラクターで引っ張ってくれます。
著者さんがドイツ文学や西洋児童文学、日本近代史などを勉強していたり乱歩らが好きだったりーと自分に共通項が多くて驚きました。それもお話が紋切り型でも楽しめた一因かもしれません。
大正舞台という時点でもう近代スキー的には美味しいです。
宇垣一成が出てきたことにちょっと笑いました(笑)
その頃の陸軍大臣てそういえば誰だっけー? と思ったら。彼でした。
探偵物語、というタイトルですが、探偵を期待して読まないのが楽しむコツではないでしょうか。気楽に読むと楽しめます(笑)

帝都探偵物語〈1〉人造生命の秘密 帝都探偵物語〈1〉人造生命の秘密
赤城 毅 (2003/02)
光文社

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『ドイツ語のしくみ(CD付)』 清野智昭 

ドイツ語の文法本。
本当ーーーに基本の基本の話を、文法書らしからぬ簡略さで書いて下さっています。簡素で解りやすい・読みやすいです。
でもこれだけだと中身が薄いので、もう少し具体的な本を他に読んだほうが文法の基礎は網羅できると思います。
CDが付いているのもウリのようなのですが、本文に比べてこちらはイマイチでした。
アクセントがまちまちで統一されず(同じ文章を繰り返し読んでいるのにアクセントの位置が違うなど)、読む速さもまちまち。
読む人の元気によって速さが違うのか? みたいな(笑)
詩やメルヒェンも収録されていたりして面白くはあるんですが、アレをシャドウリーディングしてもあんまり役に立たない予感がします。

ドイツ語のしくみ ドイツ語のしくみ
清野 智昭 (2005/04)
白水社

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『ヘルマンとドーロテーア』 ゲーテ 佐藤通次訳 

小説ではなく抒情詩です。
フランス革命によって安定を欠いた社会を背景に、青年へルマンと避難民ドーロテーアの恋の顛末が描かれています。
長くも難しくも無いお話だからゲーテ入門に良いだろう、と評されていたので手を出しました。
解説も含めて現代女性やフェミニストの方が読んだら激昂するんじゃないかと思うような部分もありますが、今の世の中にも充分通じる名言もあります。読みやすいのも確かにそうで、本文は面白くさらっと行けました。むしろ解説のほうが難解で飽きました(笑)
そのかなり封建的な女性観は微妙に鼻に触ったんですが、それを除けば可愛いお話でした。
ヘルマンの生真面目さと奥手さ、ドーロテーアの人に優しいしっかり者さがとっても可愛いです。
今までなんとなく戯曲と抒情詩は敬遠していたのですが、これなら他も読めそうです。

ヘルマンとドロテーア / ゲーテ

『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎 

第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作にしてデビュー作とのこと。
成程ときどき日本語で引っかかりますが、お話はいつもの伊坂節で好きです。
伊達藩内だが日本で知られていない孤島で、未来が予知できる案山子が殺された。案山子は何故自分が殺されることを予測できなかったのか。
というあらすじを読んだだけでえええ何だそれとビックリしてしまいました(笑)
過去と現在、現実と非現実の間を揺れ動きながら進むお話は、優しく切ない物語として軽やかに纏まっていきます。
優午が私には愛しかったです。
また、城山と桜の対比が鮮やかで印象的でした。
真面目に城山は怖かったです。痛い。

オーデュボンの祈り オーデュボンの祈り
伊坂 幸太郎 (2000/12)
新潮社

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『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎 

サスペンス寄りのミステリー。
設定とその使い方+構成が良く出来ていて、大変面白かったです。
いつもの、独特の伊坂節で展開される切なく透明なお話IN仙台。
ロジックを突き詰める感じではありませんが、人を動かそうとしているからミステリファンでなくても読める作品に仕上がるんだろうなぁ。
登場人物の退場の仕方が寓話的に見え、自分なりの解釈で読むべき部分なのかな、と思いました。
伊坂さんの伏線の張り方は、伏線ぽいなーということを感じさせなかったり、感じさせてもどう繋がってくるのか解らなかったりと巧みで溜息が出ます。
映画化されるそうですが、どうやってコレを!?と驚いてます。見に行きたいです。

響野夫妻がこっそり登場していてにやりでした(笑)

アヒルと鴨のコインロッカー アヒルと鴨のコインロッカー
伊坂 幸太郎 (2003/11/20)
東京創元社

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『推理作家になりたくて マイベストミステリー第六巻 謎』 日本推理作家協会編 

推理作家さんたちの自薦短編と、影響を受けた/オススメの短編と、エッセイをワンセットにしたアンソロジー。
他の推理作家協会編のアンソロジーに比べて、「自薦」であるからかクオリティが高いものに仕上がっていると思います。

有栖川有栖
『望月周平の秘かな旅』(有栖川有栖)
ずっと読みたかったのです…!
雑誌掲載されたきりだったので、こちらへ収録されたのが本当に嬉しかったです。
読んだ時期が今というのも抜群に良くて、全力投球モチ先輩に感情移入して読みました(笑)
卒業手前の哀愁、切なさ、寂しさみたいなものに、『あるある、思う』と頷いてしまいました。
センチメンタルすぎる、青臭い、と言われてしまえばそれまででしょう。
でも私はこの繊細な硝子のような世界が好きです。

『お召し』(小松左京)
SFチック、寓話的な短編。書かれていない部分を想像する愉しさ・怖さがあります。
上手いなあ、と素直に思いました。

『季節がうつろう秋』(有栖川有栖)エッセイ


折原一
『わが生涯最大の事件』(折原一)
叙述トリックもの。
マクロな視点で見ると結構面白いんですがでも細部で引っかかることがいくつかあって、楽しみ切れませんでした。
もう少し日本語を厳選することができたんじゃないでしょうか。

『原島弁護士の処置』(小杉健治)
動機とかトリック以前の問題として、わざわざその手段を取る意味が無いんじゃ? と突っ込みたくなる作品。
私はイマイチハマれませんでした。

『長編一本分の感動』(折原一)

加納朋子
『最上階のアリス』(加納朋子)
加納さん好きですーー(;;)
優しい筆致と優しい人物と優しいお話。ほろりとしました。あーやっぱりこの方の日常ミステリが好きです。


『DL2号機事件』(泡坂妻夫)
強引だけど強引さを感じさせない素敵な短編でした。
全体的には暢気でユーモラスなのに、殺伐とした山場が合さって独特の雰囲気が醸されています。
↓加納さんのエッセイにおける書評(解説?)が的を射ていると思うので一緒に是非。
亜が可愛いですねv

『非合理な理論』(加納朋子)


都筑道夫
『ジャケット背広スーツ』(都筑道夫)
刑事と元刑事親子の会話がほとんど、という形式=現役刑事の子どもがぶつかった事件を、話を聞くだけで親父が解く安楽椅子探偵もの。
いい感じに人物が出ていて、親子とも好きになりましたv
『ジャケット背広スーツ』は、普通に上着を着ているのにその他にも二着の上着を持った男性と強盗殺人とが絡むお話。
何故三着もの上着を持っていたのか? 隠されたダイイングメッセージとは何なのか?
二つの謎の回答はシンプルにして納得。良短編でしたv

『押絵と旅する男』(江戸川乱歩)
ずっと読んでみたかった、有名なこの作品。
推理小説ではなく幻想小説に類されるものですが、不気味で美しい乱歩の世界を恍惚と味わわせて頂きました。
ぼんやりとした、不思議な夢を読まされているようでした。

『出会い』(都筑道夫)


法月綸太郎
『ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?』(法月綸太郎)
一度別のアンソロジーで読んだことのある作品なので割愛。

『黒い扇の踊り子』(都筑道夫)
やや動機が伝わりにくかったです。勝手に解釈・想像させて頂きました。
海外のシリーズもののパスティーシュだそうで、日本作家の作品なのに翻訳っぽい雰囲気が出ているのが面白かったです。

『ユダの窓』と「長方形の部屋」の間(法月綸太郎)


横溝正史
『神楽太夫』(横溝正史)
本格というにはややロジックが弱い気がしますが、最後のオチが綺麗に利いていました。
大きな意味で推理小説としては面白いと思いますv
初横溝がアンソロジーで短編という邪道っぷりが申し訳ないですが(笑)

『秘密』(谷崎潤一郎)
とても好きな短編です。
人ではなく謎に恋する男の心理が解剖されています。その倒錯と歪みが谷崎さんお得意の妖艶さで描かれ、矢鱈に美しい世界になっていました。
乱歩の雰囲気に近い、というより乱歩が谷崎さんの雰囲気に近いのかな? 文学史的流れで言うのならば。

『谷崎先生と日本探偵小説』(横溝正史)

編集委員特別座談会「作家の原点がわかるアンソロジー」(阿刀田高/北村薫/新保博久/宮部みゆき)
推理作家協会の裏話もチラリの座談会(笑)
第六巻に限らず、このアンソロジーシリーズ全体を話題にしている感じでした。
自薦した作家の意図やアンソロジー自体の意図の話が興味深かったです。

推理作家になりたくて〈第6巻〉謎―マイベストミステリー 推理作家になりたくて〈第6巻〉謎―マイベストミステリー
日本推理作家協会 (2004/04)
文藝春秋

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『新本格猛虎会の冒険』 

タイガースファンの作家たちによる、虎に捧ぐ本格推理アンソロジー。作家紹介=著者の阪神ファン暦。
タイガースが好きな方にはめっぽう面白いと思います。虎への愛が溢れています。
(逆に言うと巨人が好きな方にはオススメしません/笑)
選手なども実名で出てきたりしますが、野球に詳しくない私には解らなくて残念でした。

五人の王と昇天する男達の謎(北村薫)
なんと、「作家編の」でもなく「学生編の」でもない「作家・有栖川有栖御大」が奥様と一緒に登場し、探偵役を務めるという異色なミステリです(笑)
ところもファンタジックで、煉獄が舞台。
野球ファンの男たちは昇天する寸前に好きな選手と面会し、「誰と会ったか」をダイイングメッセージとして残す。
さて二人が会った選手とは、誰なのか?
ウィットの利いた洒落という感じで私は好きな作品です。
有栖川先生可愛いな(お前落ち着けええ)

一九八五年の言霊(小森健太朗)
これも洒落っぽさが強いですがー…論理がちょっと強引、かつ最後のオチが寒かったです。

黄昏の阪神タイガース(エドワード・D.ホック)
ホックはタイガースファンではないようですが(笑)でも日本のことがしっかり描けている良短編だと思います。
女性がややアメリカ女性っぽい雰囲気かなー? とも思いましたが。
海外の人の日本、というのが面白いから良いです(笑)

虎に捧げる密室(白峰良介)
動機がこのアンソロジーならではです。
突拍子も無いトリックで驚かせてくれるノリではなく、ああ成程ね、とストンと納得行く感じ。
あっけなさ過ぎてイマイチと思う人もいるでしょう。個人的には、有り得なさ過ぎる話をされるより好感が持てました(笑)

犯人・タイガース共犯事件(いしいひさいち)
これのみ漫画。
『意外な共犯者』ににやりとします。

甲子園騒動(黒崎緑)
テンポの良い会話のみで展開してゆく『漫才ミステリ』(らしい/笑)
阪神ファンの人にはわかるだろうネタ満載です。関西弁のとんとん拍子とボケ・ツッコミの展開の速さで飽きさせません。
ごく普通と思われた球場風景が一変する様子、会話のみの本文に上手く引かれた伏線が良かったです。

猛虎館の惨劇(有栖川有栖)
わけのわからん謎に継ぐ謎が論理的に解明されて、更には阪神への愛のこもったオチがついてしまう、美味しい本格ミステリ。
ポーの応用形と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。
不謹慎とは思いつつ、オチの上手さに手を打ちました。なーるほどね!
トラキチな有栖川先生も好きですよ。

新本格猛虎会の冒険 新本格猛虎会の冒険
有栖川 有栖、逢坂 剛 他 (2003/03)
東京創元社

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『明治の政治家たち―原敬につらなる人々―上巻』 服部之聡 

原敬を軸に据えて、彼に関わった人たちについて書いている本。
原との関わり(「彼らと原」のエピソード)を中心に書いているわけでもなく、どちらかというと思想を中心にしたごく簡単な伝記が並んでいる感じです。
扱われているのは、原本人・陸奥宗光・星亨・伊藤博文・板垣退助(一番ページ数さかれてたのはこの人…)。
板垣の登場にやや驚きましたが(笑)自由党⇒政友会の流れがあるからの様子。
人数がいる割りにページ数が少ないので、基本的な話はすっ飛ばされます。
面白エピソード(…?)も端折られていますし、ある程度各人について知っている方が楽しめると思います。
原のことはかなり高く評価しているのに、他の人に対しては手厳しいのがなんだか可愛いです(笑)
ついでに連山に対する評価も高いように読めました。よく原のことを理解していると。
連山に関する話をしている本は初めてで、彼のことを知れたのがちょっと嬉しかったです。

明治の政治家たち 上巻―原敬につらなる人々 (1) / 服部 之總

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