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 2006年07月 

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『ある歴史の娘』 犬養道子 

犬養毅さんの次男犬養健さんの娘さん、つまり毅さんのお孫さんである道子さんの自伝。
この前にもう1冊本当はあるのですが、こちらの方が先に手に入ったので読みました。
政界・文壇・芸術系と日本史に名前の残る人たちとの交流やエピソードと、少女「犬養道子」さんの内面的な成長が書かれています。
若い頃なら悩むよなあ、と思う自己の存在意義とか生き方について深く深く深く考えておられ、その思索の深さや行動力、前向きさに胸をうたれます。その辺りは歴史的というよりも一種哲学的です。
周りの方々が道子さんをとても大事にしていて暖かな気持ちになるのと当時に、第二次世界大戦という歴史の流れにそんな優しい人たちが押し流されて行くのが悲しくて何度も何度も泣きました。
犬養さんの血脈からはグローバルで器の大きな人材がたくさん出ているなあといつもビックリするのですが、特に道子さんは、私にとって尊敬せずにはいられない人です。

ある歴史の娘 ある歴史の娘
犬養 道子 (1995/12)
中央公論社

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『白髪鬼』 江戸川乱歩 

復讐劇。乱歩のポー好きが良く出た一編です。
同じネタを別の作品でも使っているのですが、いつもなら止めるところで今回は思い切り良く進んでしまっています。
痛くて怖くて驚きました。
幕切れが怖気を感じる美しさです。
乱歩の書く女性は、男性に比べてバリエーションがないとか描写がされないといわれる気がしますが、私は好きです。
悪魔的で妖艶で、恋々としてしまう気持ちがわかります。
白髪鬼 / 江戸川 乱歩

『キッドナップ・ツアー』 角田光代 

夏休みのある日、ハルは誘拐されてしまう。犯人はお父さん、狙いは一体…という青春小説…?(疑問形?)
ハルの感情の動きがリアルです。
でもリアル過ぎてガキだった恥ずかしい自分の昔を思い出してしまって、最後までハルを可愛いと思えませんでした。
クールな少女というあらすじの書き方はハズレていると思います。
いろいろなものが渦巻いている。気持ちは解るけど、でも好きになれないです。
また、解かれない謎が多いまま終わってしまってもやもやが残りました。
なんだったんだ結局…と思うことがたくさん。
純文学はそれを許すジャンルなのかもしれませんが、個人的な趣味として、引っ張った伏線はきちんと収拾して欲しいです。

キッドナップ・ツアー キッドナップ・ツアー
角田 光代 (2003/06)
新潮社

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『博物誌』 ジュール・ルナール 岸田国士訳 

「にんじん」などで有名なジュール・ルナールの動物本。
色々な動物について、独特の解説っぽい文章やら掌編やらが書かれています。
「蛇」の章(?)は多分特に有名で、面白がって皆が言及している気が(笑)
起承転結がぼんやりした作品が多い気がします。なんとなーくさらーっと読めます。
一文だけ取ってみると面白い、というような文章も多く、小説の冒頭なんかに引用できそうです。

博物誌 博物誌
岸田 国士、Jules Renard 他 (1954/04)
新潮社

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『生協の白石さん』 白石昌則、東京農工大学の学生の皆さん 他 

かの有名な白石さんです(笑)ようやく読めましたー。
白石さんの回答がやっぱりとてもユニーク&優しくて癒されます。
途中途中にご本人のエッセイ、学生さんの文章、解説などもあり。
こんな風に取り上げられてしまって困ったんだろうなーというのが伝わってきました(笑)謙虚な文章に好感度割り増し。
農大の学生さんたちも、白石さんのプライバシーを守ってあげたというのが素敵でした。
真面目に勉強に取り組む校風のようで、とってもとってもとっても羨ましいですよ…!!

生協の白石さん 生協の白石さん
白石 昌則、東京農工大学の学生の皆さん 他 (2005/11/03)
講談社

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『蜘蛛男』 江戸川乱歩 

長編小説。不気味で、人間心理の駆け引きが絶妙です。
半ばまでは犯人に追いつきそうで追いつかないもどかしさを感じますが、後半の展開がめまぐるしくて面白い。
また、キャラクターが個性的で、それがお話を上手く回しています。
「芸術としての殺人」を目指す犯人としては嚆矢なんでしょうか…?
その頭脳と狂気に引きずり込まれます。
嗜好は認めたくないけど魅力的なのは魅力的。付いていきたくなる気持ちが少し解るのが苦しかった。

蜘蛛男 蜘蛛男
江戸川 乱歩 (1993/02)
東京創元社

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『動物の言い分 人間の言い分』 日高敏隆 

動物の面白い生態について、エッセイっぽく易しいノリで書いた本。
軽い読物として面白いです。
主張・引用の根拠が不明確なので、レポートなどの引用出典の銘記必須な文章に資料として引っ張るのは難しそうです。
やや他の生物や文化を見下してるような印象もありました。
日本の文化・自分の知っている文化を基準にして、他の文化を「軽蔑した」なんていうのは失礼です。そこがちょっと引っかかりました。

動物の言い分 人間の言い分 動物の言い分 人間の言い分
日高 敏隆 (2001/05)
角川書店

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『はじめてのデモクラシー講義』 岡田憲治 

デモクラシーとは何かということについて、アホーな大学生でもわかるように書いた本らしいです。アホーですいません(笑顔)
だからすごくレベル下げてくれてます…。
活字は大きく。行間開けて。ときどきフォント大。細かく章分け。日本語易しく。
時々あんまり本文と関係のない写真が入るのが気になりました。字だけじゃ学生は飽きちゃって読みきれないかもってこと?(笑)
随所で盛大にナメられてんなぁと腹も立ちましたが(笑)とりあえず、解りやすいといえば解りやすい入門書かもしれません。
定義の出来ない「デモクラシー」というものの、成り立ちや議論について簡単に撫でる感じです。
頷けるというより「え、そうかな」と疑問に思うような記述の方が多かったです。
最終章はデモクラシーを定義するようだったのでどう纏めるのかなーと思ったのですが「デモス」の定義の置き換えをしているだけです。
それなら最初からデモクラシーは割り切れない多様な意味を持つ概念だと言い切って、デモスの話はデモスの話としてすればよかったんじゃないかと思いました。

はじめてのデモクラシー講義 はじめてのデモクラシー講義
岡田 憲治 (2003/09)
柏書房

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『灰色の巨人』 江戸川乱歩 

子供向けの乱歩もので初めて「サーカス」という舞台が扱われた作品らしいです。
そういえば今までピエロとかは出てきていたけど、サーカスそのものに少年探偵団が出かけていくことは無かった気がします。
アクロバティックなサーカスの女の子がとてもかっこよかったですv
一番新しいポプラ社版のヤツで読んだのですが、これについてくるサーカスのイラストが不気味で綺麗でいい感じなのです。
今回の二十面相の隠れ家は突拍子もなくて面白い!(笑)
タイトルとの相関もちゃんと(?)していました。

灰色の巨人 灰色の巨人
江戸川 乱歩 (1998/12)
ポプラ社

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『化人幻戯』 江戸川乱歩 

五十路の明智君はそれでもやっぱりかっこよかった。小林君と二人暮らしで文代さんが病気療養で不在という設定になってます。小林君はやっぱり探偵団ものほどは活躍しません。
今まで読んだ乱歩ものの中でもかなり秀逸な一編。オススメ。
読み終えた後に乱歩ってやっぱり大乱歩とお呼びしなくては…!と溜息ものでした。(何)
エロティックでフェティッシュ。
乱歩ものにはすぐ「妖しい美しさ」と言ってしまうんですが、そんな艶っぽさに溢れていました。
最後の、犯人と明智の掛け合いが天才的にいい。最高にいい。うちに欲しい。買う。
現代の娯楽系文学・漫画作品に盛大に影響していると思うんですがどうでしょうか。

江戸川乱歩全集 第17巻 化人幻戯 江戸川乱歩全集 第17巻 化人幻戯
江戸川 乱歩 (2005/04/12)
光文社

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『へんないきもの』 早川いくを 

世界の変な生態の生き物を集めて、イラストとコメントをつけた本。
冗談全開、生態の面白さにも驚いた&笑ったけど著者のツッコミにも笑いました(笑)
でも写真とまでいわないからせめてカラーイラストにして欲しかったです。
本文のは白黒の、鉛筆スケッチみたいなやつなのです。精密なんですが色が知りたい!
他、エッセイ的にタマちゃんとツチノコの考察が付いています。笑えます。

へんないきもの へんないきもの
早川 いくを (2004/07)
バジリコ

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『終末のフール』 伊坂幸太郎 

連作短編集。
あと三年で世界は終わる。終末前の大恐慌はとうに過ぎて、最後のときを平和に暮らすほうが賢いと皆が気付いた、そんな地球が舞台です。
「もう後が無い」ということに対するそれぞれの心境がそれぞれに綺麗です。
「もう後が無い」だからどうするのか。どの人の答えも頷けて、愛しくて、ちょっと泣きました。
作品同士が少しずつ繋がっているので、色々な視点から地域が見えて、東北の町がひとつ丸々描き出されているようにも感じます。
サブタイはやや強引かな? と思いましたが、可愛いのでいいです(笑)
オススメ。伊坂さん好きです。

終末のフール 終末のフール
伊坂 幸太郎 (2006/03)
集英社

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『クレーの絵本』 谷川俊太郎 

パウル・クレーの絵に、谷川さんの詩を挟んでゆく形の絵本というか詩集と言うか。
クレーの絵は抽象的なように見えてストレートで、表情豊かな絵にしかし人間だけが無表情のまま描かれています。
無機質で少し不気味な感じさえします。
グラデーションの利いた着色の絵が綺麗でした。
谷川さんの詩は主に再録だった様子。私は初読のものがほとんどでした(^^;
書き下ろしも数点アリ。
クレーの絵の間にあるからか、どこか物憂げなイメージが湧きました。

クレーの絵本 クレーの絵本
パウル・クレー、谷川 俊太郎 他 (1995/10)
講談社

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『鉄塔王国の恐怖』 江戸川乱歩 

大人向けの小説『妖虫』を少年探偵団ものにリライトした作品。
巨大カブトムシの出現と謎の鉄塔王国、そして世界征服とはっちゃけた設定が愛しくてたまらんです…!(笑)大乱歩ー!ていうか二十面相!
冷静な大人ならなんでカブトムシやねんとツッコミたくなるところですが、そこはそれ。笑って楽しみました(笑)
冒頭の、不気味な街の雰囲気は流石です。

鉄塔王国の恐怖 鉄塔王国の恐怖
江戸川 乱歩 (1998/12)
ポプラ社

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『陽気なギャングが地球を回す』 伊坂幸太郎 

ちょっと不思議なギャング話。ユーモアとサスペンス!
お互いの特技を活かしまくって完全な銀行強盗を続けている4人組みのお話。
メインキャラクターが個性的で、どの人もとても好きですv
そこはかとなく引かれている伏線がカッコよくユニークに展開していくのにドキドキしました。
章の作り方・切り方が上手いです。
映画はまだ見ていないのですが、是非一度見てみたいですー。
続編も楽しみ!

陽気なギャングが地球を回す 陽気なギャングが地球を回す
伊坂 幸太郎 (2006/02)
祥伝社

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『ストレスマネジメント―「これまで」と「これから」―』 竹中晃二編 

ストレスをコントロールする方法=ストレスマネジメントに関する本。
成り立ち、現状、将来、方法と仕組みなどについて詳しくわかりやすく書いてあります。
専門用語や人物名は、本文の下に注釈がつきます。
図やグラフも見やすく適宜挿入されますし、初心者にも優しい専門書だと思います。
ストレスについて知っておくと実際「ストレスがたまってるな」と思ったとき冷静に対処ができます。
読んでおいて損はないのではないでしょうか。

いまいちかな、と思った点は二つです。
ひとつは著者が複数なので、ところどころ内容がかぶっている部分があったこと。
もうひとつは読んだのが初版で誤字がいくつかあったこと。
二版では直っている…といいのですが(笑)

ストレスマネジメント―「これまで」と「これから」 ストレスマネジメント―「これまで」と「これから」
上里 一郎 (2005/09)
ゆまに書房

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文化講義3『哲学と宗教』>『ニーチェ―永遠回帰の考察』 

前述>白取春彦『この一冊で「哲学」がわかる!―プラトン、カント、ヘーゲルから現代哲学まで』(三笠書房)1996.361頁
ポール・ストラザーン(浅見昇吾訳)『90分でわかるニーチェ』(青山出版社)1997.108頁
竹田青嗣『ニーチェ入門』(筑摩書房)1994.237頁

知の教科書 ニーチェ 知の教科書 ニーチェ
清水 真木 (2003/09)
講談社

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「永遠回帰」に関しては虚無主義的と解釈されています。
アマゾンでは絶賛されていますが、うちの教授とはニーチェに対する見方が違う模様。

ニーチェ / 工藤 綏夫
ざっと読んだだけなのでちょっと判じかねます。
伝記寄りの印象はあります。

ニーチェの遠近法 ニーチェの遠近法
田島 正樹 (2003/01)
青弓社

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日本語が抽象的でかなり難しかった…。(ヘタレ)
解り辛くて、私にはあんまり参考にできませんでした。

ニーチェと悪循環 ニーチェと悪循環
ピエール・クロソウスキー (2004/10/07)
筑摩書房

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ドイツ文学講義>『現代ドイツの若者と人工妊娠中絶』 

前述>村上伸『あなたはどう生きるか―現代キリスト教倫理入門』(新教出版社)1998.
朝日新聞社編『キリスト教がわかる。 アエラムック (80)』(朝日新聞社)2002.
在間進、山川和彦、河合節子編『現代ドイツ情報ハンドブック+オーストリア・スイス』(三修社)2002.
菅原伸郎『宗教をどう教えるか』(朝日新聞社)1999.
アントニー・ジンマーマン(成相明人訳)『生命問題に関するカトリックの教え』(エンデルレ書店)1996.
上野千鶴子、田中美由紀、前みち子『ドイツの見えない壁―女が問い直す統一』(岩波書店)1993.
竹田青嗣『ニーチェ入門』(筑摩書房)1994.


ドイツとドイツ人―放送記者の眼から / 永井 潤子(未来社)1994.

異文化としてのドイツ―ドイツの暮らし、社会の仕組み、価値観を読み解く 異文化としてのドイツ―ドイツの暮らし、社会の仕組み、価値観を読み解く
岩村 偉史 (2003/04)
三修社

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幅広い話題を、浅く広く扱っている感じ。エッセイ的。
宗教関係の部分をさらっと読んだだけなので、どの程度正確な本なのかちょっと判じかねます。

「産まない」時代の女たち―チャイルド・フリーという生き方 「産まない」時代の女たち―チャイルド・フリーという生き方
ジェーン バートレット (2004/03)
とびら社

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子供を産まない女性に対してインタビューを行い、それを元に分析・解説している感じの本。
インタビュー対象の人数がちょっと少ないかな?とも思ったのですが、生の声が聞こえるのが良いです。
国や年齢、職業なども割りとばらけていて面白いです。
ドイツの女性はお一人いらっしゃいました。
中絶の問題も扱われています。

『名探偵に薔薇を』 城平京 

いまいちでした。
犯人だけではなく全体的にキャラクターの行動の動機が薄いです。
「なんで? 別の選択肢を選んだってよかったじゃん」と疑問に感じてしまうことが多かったです。
また、筆致もちょっと合いませんでした。中途半端に古い感じの。
古い書き物の文面はちょっと古いっぽいかんじをかもし出そうとしてるのはわかるのですがバリバリ現代語で、地の文も現代語で書くなら現代語で書けばいいのに中途半端に古さがある。
付け焼刃っぽく感じたんですが実際どうなんでしょう。わざとなんでしょうか…?
しかも同じトリックが古今の作品にあるという綾辻・有栖川先生ら鮎川哲也賞審査員から突っ込みがあったそうで。
解説の方はそれを踏まえても良作と言いますが、個人的にはそれはちょっと買いかぶりすぎじゃないかと思います。

名探偵に薔薇を 名探偵に薔薇を
城平 京 (1998/07)
東京創元社

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『世間知ラズ』 谷川俊太郎 

谷川俊太郎さんの詩集。
これもやはり講演会で谷川さんが朗読に選んだ一冊です。
どうしてどの詩集もこんな凄い日本語で書いてゆけるんでしょう。
好きですとしか言いようがなくなってきました(笑)

世間知ラズ / 谷川 俊太郎

『詩を贈ろうとすることは』 谷川俊太郎 

谷川俊太郎さんの詩集。
寺山修司に贈る70行が収録されていました。「ビデオレター」を見たことがあるので、ちょっと感慨深かったです。
詩に対して結構シニカルな視点を持っていらっしゃるのかなあと感じたのですが、どうなのでしょうか…。
ものすごい光栄なことに、講演会で生で朗読を聴いた詩も含まれているので、読みながら谷川さんのお声が聞こえてくるようでした。
谷川さんの朗読っぷりも、独特のリズムで好きです。

詩を贈ろうとすることは 詩を贈ろうとすることは
谷川 俊太郎 (1991/05)
集英社

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『モーツァルトを聴く人』 谷川俊太郎 

今まで読んだ谷川さんの詩集の中で一番好きです。
というか、すごいなあ…!と思いました。
ひとりで、誰の邪魔も受けずに、じっと読みたい本。

谷川さんの中でのモーツァルトの大きさが伝わってくるようです。
全体的に綺麗なだけではなくて、死のような暗く重たいものの影がそうっと落ちているのが印象的です。
目をそらさず見つめていらっしゃる、と感じました。
この人の日本語が大好きです。

モーツァルトを聴く人―谷川俊太郎詩集 モーツァルトを聴く人―谷川俊太郎詩集
谷川 俊太郎 (1994/12)
小学館

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『ヒルベルという子がいた』 ペーター・ヘルトリング作 上田真而子訳 

アンチメルヒェンの傑作と言われる話題作。
生まれたとき脳に障害を負ってしまった少年・ヒルベルのお話です。
子どもも大人も自然も美しいだけのものとは描かれず、ともすれば創作の中で美化されがちなチャレンジドの方たち(ここではヒルベル)を良くも悪くもありのままに見つめています。
人生はそううまくいくものじゃないんだとつきつけられるようにハッピーエンドではないので、読後感がよいとは思えませんでした。
著者・ヘルトリングはヒルベルの前にいろいろな「家」「居場所」を提示しますが、そのどれもがヒルベルを受け入れてくれません。
しかしだからこそ、ヒルベルことが忘れられなくなります。
ヘルトリングはあとがきで、この本を読んで障害のある子どものことをきちんと考えてほしいと書いていますが、そういう意味では成功していると思います。

日本語訳版は、ある大学教師に言わせると「重要なポイントが誤訳になっている」ようです。それでも話は通じるんですが。

ヒルベルという子がいた ヒルベルという子がいた
ペーター ヘルトリング (2005/06)
偕成社

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『宗教をどう教えるか』 菅原伸郎 

宗教教育をどのように行っていくべきか、というこをテーマにすえた本。
日本国内の状況と展望、ヨーロッパの国々(フランス・ドイツ・ロシアなど)の状況を詳しく書いて下さっています。
「道徳」を宗教なしで教えることはできるのか? 宗教者・宗教率の学校は「宗教教育」をどうとらえているのか、教えているのか。
現代においてきちんと考えていかなければいけないテーマが多く含まれています。
新聞連載をまとめたものなので、読みやすいページ数と言葉でまとまっていました。
どのテーマに関しても筆者が実際に足を運び、現場を見て、インタビューを行ったことを下敷きに書いてあるのが良いです。
フィールドワークをかなりしっかり行う方なのだなあと感心してしまいました。
それら生のデータに数字のデータの援用もあり、説得力がありました。
宗教と、それを教えるということの複雑さを改めて感じさせられます。

宗教をどう教えるか 宗教をどう教えるか
菅原 伸郎 (1999/07)
朝日新聞社

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