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 2006年05月 

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『作家の自伝(90)―江戸川乱歩』 江戸川乱歩(佐伯彰一/松本健一監修)  

乱歩の「わが夢と真実」(エッセイ本)の一部を収録。割と詳しい年譜付き。
ページ数の都合で写真も省かれているとのことなので、「わが夢と真実」の方を探せばよかったかもしれません。
ただこちらは中島河太郎氏による解説がついているので、客観的な乱歩伝が多少ついているのが良かったです。
クイーンや孤蝶などとの意外な人間関係に驚きました。

作家の自伝 (90) 作家の自伝 (90)
佐伯 彰一、松本 健一 他 (1999/04)
日本図書センター

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『点子ちゃんとアントン』 エーリヒ・ケストナー 池田香代子訳 

ケストナーの児童書。点子ちゃんはおちゃめで可愛くアントンはかっこよく、二人一緒に大好きです。とてもキュート。
章と章の間に入るケストナーのエッセイ的な小文が深いです。読まなくてもいいよと最初にケストナーは断るんですが(その辺も彼らしいー)読んで損はありません。
アントン親子にはやっぱりケストナー自身の投影を感じますが、エーミールとは別物に仕上がっていたと思います。
エーミールシリーズよりも、より現実(大人)の汚さと子供たちとの対比がくっきりしている感じです。
ユーモラスに書いてあるのでつい流されそうになりますが、冷静に考えると点子ちゃんもアントンもシビアな状況にあるもしくはそんなことをされていたりするのですよね。
でもケストナーらしく読後感が物凄く良く、幸せにニコニコしてしまいます。

点子ちゃんとアントン 点子ちゃんとアントン
エーリヒ ケストナー (2000/09)
岩波書店

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『江戸川乱歩全集25』 江戸川乱歩 

少年探偵団ものを三作品収録。星新一さんのエッセイつき。
「透明怪人」
ここで使われたトリックを生で見たことがないのでなんともいえませんが、こんなにあっさりだまされるものだろうか(笑)

「怪奇四十面相」
マジ小林君にだまされ振り回される二十面相に爆笑した…!!(笑うなよ)四十面相というあれなかんじの改名もいっそ可愛いです。このやろう。小林君のこと好きすぎなんだよこのやろう。

「宇宙怪人」
ものすげえ大風呂敷をものすげえ強引におさめてくれました(笑)楽しかったのでよし。動機もでっかくてよし。その志やよし。
とうとう「美少年助手」を連れてきた四十面相に、小林君への思慕を感じてみたりして。この美少年すげーもえだ…!まずいだろ!
少年探偵江戸川乱歩全集 25 (25) / 江戸川 乱歩

『トニオ・クレエゲル』 トオマス・マン 実吉捷郎訳 

「マンによる若きヴェルテル」と呼ばれる、半ば私小説な青春小説。でもあれほどはっちゃけたノリではないですね。笑
こちらは恋に狂う若者というより無気力な若者を描いているからでしょうか。
マンの描写はやたら綺麗だと思います。
中身は結構抽象的だけど、マンの心理や情景の書き込みが綺麗だから、内容以前の部分で楽しめました。
「ヴェニスに死す」もそうだったなー。
この人の文章はきらきらしてると思います。名訳と言われる訳で読んでるのでそのせいかもしれませんが。
夏の陽射しっぽさをいつも感じる。
日照時間の少ない土地柄のドイツ人はイタリアの陽射しに憧れると言った学者がいましたが、そういう心理から来ていたりするのかな?
ミュンヘンは輝いていた、と言ったのはそういえばマンでした。

トニオ・クレエゲル トニオ・クレエゲル
トオマス・マン (2003/09/18)
岩波書店
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『巷説百物語』 京極夏彦 

妖怪がらみの犯罪小説短編集。
推理小説というよりは犯罪小説だと思います。読者にとっての謎はあっても登場人物にはあまり謎のないお話だったので。
最後まで読んだとき物語の見え方がちょっと変わってくるのは連城三紀彦ばりですが、連城さんほどがらっとは変化しません。より驚かされるのはやはり連城さんだと思います。て、このお二方比較してもしょうがないんですが(笑)
京極堂ほど薀蓄はなく、心理描写にやや重きを置いている感じがしました。
キャラクターが上手にたっていて可愛かったです。

巷説百物語 巷説百物語
京極 夏彦 (1999/09)
角川書店
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『編集者の仕事―企画提案から原稿獲得までのチェックポイント』 ジル・デイヴィス 篠森未羽訳 

アメリカ・イギリスの出版業界に通じる著者による、なりたて編集さん&編集を目指す人のための「仕事解説」本。
タイトルのとおり、企画から本の完成まで編集はどのようなところに気をつけて動くべきか、作家の心理などが解説されています。
実技的な面と共に精神的な部分もフォローしてあるのが面白いです。「こういうときはこう考えてしまうかもしれないけど、違うんだ」というような。
日本の出版業界とはシステムの違いがありそうですが、ごく基本的な部分には適応できる内容なのではないでしょうか。
個人的には、むしろこれを作家さんが読んでいたら編集さんの仕事が楽になるだろうなぁと思いました(笑)

編集者の仕事―企画提案から原稿獲得までのチェックポイント 編集者の仕事―企画提案から原稿獲得までのチェックポイント
ジル デイヴィス (2002/03)
日本エディタースクール出版部
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『博士の愛した数式』 小川洋子 

何故だか泣けた。どうしてか、ごく些細な博士の行動がひどくせつないやら悲しいやらで、全編通してめそめそしていました。
いったい何に対して涙が出てくるんだろう、とつらつら考えてみるに、博士の「一途さ」とそれを受け止める「私」「ルート」という優しさに泣かされたのかもしれません。
とても世界観が美しいのです。描写やエピソードとして嫉妬や怒りのなども確かにあるのに、それさえも輝くような世界を作る一部になっている。
たぶん読む人によっては綺麗ごとの過ぎる世界観だと思われるんじゃないでしょうか。世界の汚れを無視し過ぎていると。
でも私はこの、小川さんのきらきらした世界を大切に思いました。
無条件にルート(子供)を愛する博士の姿勢が好きです。
「子供は無条件に愛されるべき」というのは、私の理想です。

博士の愛した数式 博士の愛した数式
小川 洋子 (2003/08/28)
新潮社
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『青銅の魔人』 江戸川乱歩 

「少年探偵団」シリーズの戦後第一作。
序盤に不気味かつ不可解に風呂敷を広げてゆくので、どうまとめるのか乱歩とはらはらします…(笑)て、それはこの先のシリーズでも思わされるんですが(笑)
挿絵を描く人は何度かかわるんですが、魔人の顔はどうやらあまり変わっておらず、その顔がとても気味悪くていい感じでした。

青銅の魔人 青銅の魔人
江戸川 乱歩 (1998/10)
ポプラ社
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『山の童話 風のローラースケート』 安房直子 

山を舞台にした短編童話の連作。
動物と人間のあったかな交流に和みます。
ごくごく自然に人と動物の世界が交わっていて、おかしな言い方ですが古きよき山、典型的ながら愛しい昔話の山だなぁと思います。ノスタルジックなほどに民話的な雰囲気。
あんまりに世界観が優しいので、ときめき高じて泣きたくなりました。
風のローラースケート―山の童話 / 安房 直子

『こわっぱのかみさま』 佐々木たづ 

絵本です。短編連作。
舞台が時代不明ながら「昔」の、神様を素朴に信じる人たちと神様との関わりが優しいです。
自然生活に溶け込んでいたアニミズムへの郷愁みたいなものを感じます。
しかもここで出てくる「かみさま」は子供なのです。
ダブル私を泣かせるキーワードが揃ってしまったせいか、何気ないシーンでほろりと来てしまって困りました。

こわっぱのかみさま こわっぱのかみさま
佐々木 たづ (1981/01)
講談社
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『働くことがイヤな人のための本―仕事とは何だろうか』 中島義道 

相性が悪かった。好きになれませんでした。
理由はいくつかあります。
理不尽を直視するとか言ってるが、まずその理不尽の定義が疑わしい。著者基準であって一般的じゃない気がする。
成功者=男性という想定を感じて不愉快でした。
論理の矛盾も多いです。
「成功者の話を聞いても意味が無い。失敗した人間の話が聞きたい」⇔自分の成功話(脱ヒキコモリ)=著者も成功者の論理で喋っていることになるのでは?
「自分の人生はなんだったのか」と思いながら死ぬのがいい⇔生に執着しないで死ぬのがいい
つか全体的に偉そうです。何様?(落ち着け)
せめて一人称でやればいいのになんで対談形式で書いたのかわからない。
「自分」を他人を模した自分が持ち上げ続けているナルシスティックさが気持ち悪い。
簡単なことをやたら難しい言葉に言い換えるのもうざい。自己顕示?
詩的な書き方も勘弁。読みやすくしたいから対談形式にしたなら簡単な言葉を選べばいいのに。鬱陶しいなー
結局言いたいのは「哲学サイコー★」「みんな無用塾においでよ★」ってことだけって気がする。肌に合わない。

『龍(たつ)の子太郎』 松谷みよ子 

絵本ですー。
『語られざるかぐやひめ―昔話と竹取物語』だったと思うんですが、日本の昔話に典型的な一種「生みの親と育ての親」(素性の問題)を扱っています。
日本語のリズムがものすごく良くって、読み聞かせをしなさい、と言われたら真っ先にこの本を挙げたいです。
思わず口ずさみたくなる擬音の数々が良かったですv

また、太郎と女の子(名前を忘れてしまった…!;)の仲睦まじさがかわいくってかわいくって!和みます!
まっすぐな子供にめろめろしてしまうタチなので、楽しく読みました(笑)

龍の子太郎 龍の子太郎
田代 三善、松谷 みよ子 他 (1995/09)
講談社
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『大金塊』 江戸川乱歩 

相変らず明智先生のために奔走する小林君が可愛い。あと、年下のお友達に対しておにーちゃんぶるところも大変可愛らしい。
あと乱歩の書く毒のある女性が好きです。
探偵小説ではなくて、冒険小説として出来がいいと思う。どきどきしました。
犯人一味をやり込める明智の手腕がお見事。
つか…乱歩、かなり好きだよね洞窟とか(笑)
既存の作家の影響なのだとしたら誰の影響なんだろう…。
海外作家のミステリ作家には見られない傾向だと思うので。国内作家? 海外の他ジャンルの作家?

大金塊 大金塊
江戸川 乱歩 (1998/10)
ポプラ社

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『尊王攘夷の旗―徳川斉昭と藤田東湖』 童門冬二 

ご本人もあとがきで書かれていますが、歴史学の本というよりビジネスマンをターゲットにした「ビジネスマン激励本」でした。歴史小説に近いけど、もっとビジネスをクローズアップ&歴史講釈が多いです。
語り口ももんの凄く易しい。
二段だから身構えたけどなんてことはなく、一段だったら余白スカスカの本になってしまったんじゃないでしょうか。
歴史をあまり知らない人が読むことを前提にしているようで、相当メジャーな人物以外はフルネームで使われている上役職や説明も何度も出てくるので人間関係が把握しやすいです。
「前述の~」みたいに省略されて、「いつ前述したねん!解らん!」となることはありません(笑)
でもあんなに同じエピソードを繰り返し書く必要は無かったと思う。
尊皇攘夷の旗という題ではあるものの、尊皇攘夷に関する東湖の思想を解説しているわけではありません。
東湖の行動や仕事ぶり、上司斉昭との関係や態度を通して、ビジネスマンのあり方を、当時(江戸末期)の藩・国政を現代の政治・会社の機構に照らして、上司と部下はどうあるべきか? を考えています。
東湖の人生は簡単になぞるものの幼い頃などはほとんどはしょられます。
彼の伝記的な本を期待した私にはちょっとハズレでした。
登場人物の思想や行動に関する解釈も童門さんの想像に拠るところが大きく、一次資料はほとんど出てこないので注意が必要かと。
どこまでが史実の情報でどこまでが童門さんの考えなのか線引きが微妙です。
戦国時代に話を逸らしすぎてるのも気になる…。
ターゲットがビジネスマンだからそういうの好きな人が多いかもって計算なのかもしれませんが。
上杉さんちの直江さんとご主人の話にかなりページを割いているのですよね。
東湖と斉昭に被るところがあるから、と仰っていましたが、援用する必要性はあまり感じませんでした。その分もっと濃く東湖の話が聞きたかったです。
ビジネス本として読むのなら、会社で働くと言うことを考える参考になる一冊だと思います。

尊王攘夷の旗―徳川斉昭と藤田東湖 尊王攘夷の旗―徳川斉昭と藤田東湖
童門 冬二 (2004/06)
光人社

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『ドイツ統一戦争―ビスマルクとモルトケ』 望田幸男 

19C末頃~ドイツ統一辺りの戦争を、ビスマルク・モルトケ(+ローンもかな…)を中心に書いた研究書。次点マントイフェルとヴィルヘルム一世な感じ。
本文に入る前に「概観」でざっと本の流れを押さえ、ビスマルクやモルトケが活躍しだすまでの流れをしっかり説明してから本題に入ってくれます。
この二人をピンポイントで読みたい方には少々面倒かもしれませんが、イマイチまだドイツ史に弱い私には助かりました。
写真と統計がふんだんに使われているのも解りやすい。戦争の話なので、地図があればもっと良かったです。地名と方角を挙げられるだけでは具体的に想像できない土地もあったので。

また、参考文献が充実しています。
大体のジャンルごとに書き出してくれてある上、著者からの簡単な説明も付いていてありがたかったです。
ドイツ統一戦争―ビスマルクとモルトケ / 望田 幸男

『腰ぬけ連盟』 レックス・スタウト 佐倉潤吾訳 

自分じゃ全然動かない、肥満&お金ラブ探偵ネロ・ウルフと、その助手アーチー・グッドウィンのミステリ。
訳が上手いです。アーチーの一人称で話が進むのですが、一般的なミステリより俗っぽく訳されていて、それがアーチーのキャラに合っていました。
もうアーチーが可愛くっていいキャラなんですよ!お茶目さん!
多分原文も俗語でいっぱいなんだろうなぁ(笑)
ウルフとアーチーの口が悪いながらも信頼し合ってる感じもたまらんです。特にアーチーのウルフ大好きさが。な、泣いたよこの子…!
各キャラ基本的に上手に立ってたと思います。
ただ腰ぬけ連盟の人たちは人数が多すぎて覚えられませんでしたが(死)

論理と仕掛けに関しては微妙なところです。
まあアーチーのキャラの良さで相殺かなーと。(笑)
有り得無すぎるだろ! とキレたくなるような変に大掛かりなトリックを持ってこられるよりは良かったです。常識的で。
推理を楽しむというより、アーチーとウルフのやりとりや、解決までの流れを楽しみました。笑。
腰ぬけ連盟 / レックス・スタウト

『ドイツを読めば日本がみえる』 加来耕三 

ドイツがいかに日本へ影響を与えてきた、きているか? という話なのですが、お勧めできません。(笑)
まずドイツの明治初期日本への影響の過大評価がすごい。
ドイツを持ち上げたほうが後半が際立つと判断したのかどうか解りませんが、ちょっと言いすぎだと思います。
確かにそれは大きかったんですけど、そんなに国がドイツオンリーだったわけではなくて、仏英蘭から流入したものもあったはずだし(民法とか)あんなに大久保さんは熱狂しないと思う(笑)
色んなことをセンセーショナルに仕立てていて、学術書というより小説寄りの印象です。
日本におけるドイツバナなのに青木周蔵が見当たらないのもおかしい(偏見じゃねーの)
また、欧米諸国の国民性に対するよくわっかんない一般化が癪に障りました(笑)「フランス人は皆は得手勝手」「ドイツ人は皆は機械が好き」など。
後半はほとんど日独別々に論じていて、別にドイツを読んでも日本は見えませんでした。残念。

細かいミスで目に付いたのは、「ドイツは戦場で敗れたのではない。背後から匕首で突き刺されたのだ」の解釈が違いと、「少将は仕官の最低級」ってヤツ。少将は将官の最低級であって仕官の最低級は准尉の筈ー(辞書的定義)これはどちらかというと編集さんのミスかな。
もっと基本的なミスとしては引用の仕方です。
一次資料すっ飛ばして二次三次資料からばかり引いていたり(そもそもそんなに読んでないっぽい)、署名著者名が明記されてなかったり。明記されてない引用は著作権法違反じゃ…?;

『悪意』 東野圭吾 

斬新な倒叙もの。犯人は誰か? ではなく、動機は何か? が主眼。
どんでん返しが起こるのは犯人ではなく動機に、なのです。
作中で言われるほど物凄く効果的とまでは思わなかったのですが、確かに言葉のまやかしが効いていたと思います。
「アクロイド殺人事件」を読んだとき、この手のヤツはもうどれもクリスティの二番煎じにしかなり得ないだろうと思ったものでした。でもこの作品ではとても上手く応用しています。
『悪意』というタイトルも、最後に膝を叩いてしまいました。一読して損なしです。

悪意 悪意
東野 圭吾 (2001/01)
講談社

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『からくりからくさ』 梨木香歩 

時系列的には「りかさん」の続編に当たる話。
「織物」をモチーフにしてエピソードと「言いたいこと」を文字通り織り交ぜてゆく手腕が上手かった…!
人物ひとりひとりの過去から現在をしっかり踏まえて、「人間」を書いてくれています。
視点がやたらに飛ぶのはちょっと読み辛かったですが、それは意味のないことではなくて、複数の視点から見た三人称は個々人を書き込む上で大きな効果になっていました。
では個々人をそうして描くことは必要なのか(主人公を掘り下げていけば充分なのではないか)ということですが、この作品には必要なことだったのだと思います。
何故なら個々人を描く上で、個々人が情報を得て、それが「りかさん」のルーツを解くことに繋がってゆくからです。
りかさんにのルーツに関する謎が徐々に絡み合って解かれていく様は、ミステリが好きな方にも楽しめると思います。

とにかくこの方の、「人間を書く」「言いたい事を象徴に含ませる」「構成」の腕は凄いです。上手い。

からくりからくさ からくりからくさ
梨木 香歩 (2001/12)
新潮社

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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?―身近な疑問からはじめる会計学』 山田真哉 

会計学の基礎の基礎の基礎。ものっそい易しーい語り口で、会計学というより会計学を基礎に敷いて世の中見るとこんなんなっちゃいますよエッセイという感じ?
巻末の専門用語録が、基本的な内容は押さえた上で著者が噛み砕いてくれていて良かったです。
日常生活の用例で書いてくれているので、会計学をやるやらないに関わらず、読んでおくとお店側の戦略に騙されなくなりそうです(笑)●割引!とか、●人にひとり無料!の裏に隠された計算の話が個人的に目から鱗でした。だから損にならんのか…!と。
でも易しすぎて、会計学や簿記の基本を知っている人にはつまらない可能性も大です(笑)
むしろ文系で、理系に興味のある方にお勧めしたいです。

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
山田 真哉 (2005/02/16)
光文社

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『盲目物語・春琴抄』 谷崎潤一郎 

盲目物語は戦国時代のお話。
信長の妹であるお市の方に付いていたという設定の按摩さんの一人称です。
いかにお市さん(と、多分茶々さんのことも谷崎さんは書きたかったっぽい)が美しい人であったかが肉薄するように伝わる、谷崎さんらしい文章です(笑)
肌や髪や挙措動作が生々しく想像されます。
信長は悪役スタンス、秀吉はセクハラオヤジ臭く、旦那ズがやたらに男前。戦国がお好きな方ならば楽しめると思います。
火事のシーンから以降が個人的に好きです。

春琴抄は、視力を失った美貌の女性・春琴さんと、その下僕佐助の話。(ええー)
前半は苛烈すぎる春琴の性格に馴染みきれなかったのですが、視力を失って、更に佐助が彼女のために失明してから少し心を許した感じになりまして、そこから後の主従っぷりは好きです。
関西弁の喋りと、日本的な美しさで描かれる春琴は鮮やかに印象に残ります。
ただ佐助が目を突くシーンは痛すぎて直視できなかったです…(アイター)
しっかしこの春琴の春琴っぷり、谷崎さん楽しそうだなぁ…(笑)

『最後の審判の巨匠』 レオ・ペルッツ 垂野創一郎訳 

ドイツミステリとして紹介されることが割りと多い作品ですが、推理小説形式をとった幻想小説というのが正しいと思います。
本格を期待したら裏切られます(笑)
書評で知ってたから覚悟して読んだものの、知らなかったらキレたかもしれない(落ち着け)
ただその幻想っぷりはなかなかに上手いです。
カミュの「異邦人」を読んだ時のようなくらくらする感じが味わえました。
またラストのつくりが乱歩の「陰獣」っぽくて面白いです。
訳者はこのラストを反則のどんでん返しだと批判的に見てるんですが、これは決して反則ではなく終わりの取り方二通りのうちどちらを取るか読者に委ねたというだけでは…?
つーかこの訳者さんの解説が対談形式で非常に鬱陶しかったです…知ったかぶりっぽい上手くない語り口に萎えた。

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