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『十日間の不思議』 エラリイ・クイーン 

ライツヴィルシリーズ長編三作目。
ライツヴィルの時間は刻々と流れていて、住人たちの変化に一喜一憂してしまいます。もう長い付き合いになってきたからねぇ。
行われたトリックにはやや無理があると思うのですが(運を天に任せる部分が大きすぎる)、読者を引っ張っていく、情報を小出ししていく、でもトリックがバレないようにする、ミステリを書く上での技巧がさすがでした。
どんでん返しもお上手です。
どんでん返される前は、あんまりにエラリイの言うことが非論理的で、いつものエラリイじゃない! とか思って不快だったくらいなのですが、最後の数十ページでやられました。
ただハヤカワミステリ版の、鮎川哲也氏による解説で不公平であると言われている部分は確かに不公平だと思いました。
この解説は秀逸だと思います。
褒めるところは褒めてツッコむところはキチンと突っ込む。ツッコミがネタバレになってしまっているという批判もあるようですが。

十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)

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『児玉大将伝』 杉山茂丸 

これはもう著者からして美味しい本です私にとっては。(笑)杉山大好き!
彼が友人・児玉源太郎の生涯をつづった小説です。
あおり文句は『親友』となってるんですが、杉山に親友って言葉はすげーそぐわない気がしたり(笑)
相手は杉山だからどんだけ破天荒な文を書くのかと思いきや、漢文調の読みやすい文章で驚きました(失礼)
漢文調なので、漢文から派生した成句や熟語が多用されており勉強になります。
情景描写が予想より遥かに上手いです。目の前に風景がばーーっと広がる感じを久々に存分に味わいました。やろうと思わなくても場面が浮かびます。
劇的に、熱を込めて、最高に児玉をかっこよくおちゃめに描いてくれているのが嬉しかったです。
端々のエピソードから男前さといたずらっ子さが伝わってきて、もう児玉可愛いな大好きー!! とか転がりまわりたくなります(えー)人を食ったような性格がたまらんですv
わざわざ田舎のオヤジみたいな格好して、「えっアンタ児玉様!?」みたいに驚かれるのを楽しんでたりかーわいーv
書かれたのが大正辺りなので日露戦争に対する評価も馬鹿に高いです。そういう世の中だったんだろうなー。坂上からの受け売り知識で、「違うよ杉山、そんなあっさり勝ってないよ…」とかツッコミながら後半読破(笑)
あと大正期の作品が全てそうなのか、それとも子供向けに書かれているからかは知りませんが、ふりがなが可愛いv
『日本の勃興』と書いて『らいじんぐおぶじゃっぱん』とか!『給仕』が『ぼーい』、長卓子で『ながてーぶる』、『手数料』に『こみっしょん』。愛v

書き手が書き手なので解説はもう杉山話に終始してしまってました(笑)児玉の話はスルーなんですか!(せつない)
本編に対する評価もちらっと喋って終わり。あとは杉山の不思議っぷりがひたすら語られるという。流石杉山(笑)
児玉やんが亡くなったあと、この本以外に一度児玉伝を書いたら難しすぎて子供が読めないって教師とかに怒られたらしいです(笑)

『フォックス家の殺人』 エラリイ・クイーン 

ライツヴィルシリーズ第二作。ライツヴィルものは時事ネタや時代風刺的な色が強いと言われる作品群ですが、確かにアメリカ側から見た太平洋戦争というものを見せてもらいました。
私が知っている『太平洋戦争』は、内閣クラスの政治家さんたちから見たものと兵隊ではない一般人さんから見たものが多いのですね。それも日本の。アメリカ兵さんだってそりゃあトラウマが残ったよなあ、という当たり前のことにようやく気付きました。戦勝国だからって兵に傷が付いてないはずが無いのですよね、馬鹿だな私。
大尉の体験した戦争世界と後遺症が痛々しかったです。大尉に殺された日本人も、日本人をたくさん殺した大尉を英雄と呼ぶライツヴィルの町も、当時の痛さを感じさせます。セラピーや精神分析の流行も当然だと思う。
話の進みはいつもの通り、慣れない人ならじれったいと思うかもしれないほどロジックロジックしていて幸せでした。トリック自体が大したことなくてもこの執拗なまでに仮説を立ててはそれが不可能なことを立証して行く過程が大好きなんですよね。
ハヤカワミステリ文庫で読んでるのですが、山口雅也さんの解説良かったです。
フォックス家の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-32)

『まちがったっていいじゃないか』 森毅 

どこかで薦められた本の筈なんだけどなぁ…。中学生くらい向けの、人生訓本です。
『自分(個性)がとても大切』『マイペースで行こう』『がんばらない』を正論でまとめたような本でした。たまに極論や反論したいことも書いてあります。
最近ようやくゆとり教育が見直されてきていますが、その『ゆとり教育』を推進したがる系の大人の方、という気が致しました。
きちきち詰め込んでやるからいけないんだ、勉強なんてやる気になれば取り戻せるから遊びたいときには遊んでおけ、やる気になるまでやらなくていい、勉強はさして大切なことではない、という感じ。
ただ私は、積極的に向上心を持つ方のが好きなんですよね(笑)
少し無理をしても、自分を磨こうという心意気があるならやってみればいいじゃないかと思う方です。『いつも全力で走ってたら力尽きちゃうから適度に手を抜けよ』という著者の主旨とはさかさまに、手を抜かずにやってゴールで力尽きたいと思う方です。サボりの子をずっと放っておくというのは、叱るっていう過程がめんどいから出ている発想なんじゃないの、と思う方です。
それでもまだご本人の仰ってることはとりあえず読めましたが。
別の方の解説が好きになれない。(笑)
というか、…嫌いです(笑)
馴れ馴れしくてキャルンで押し付けがましくて合いませんでした。中学生ナメんな?(笑)
中学生の視点で、と思って書いてるのなら、口調は崩れてて読むに耐えないし視点は上から来てるよと言いたい。
素でやってるならもっと大人になってくれと言いたい。
あの解説は勘弁して欲しい。(笑)

『狂骨の夢』 京極夏彦 

根幹になった謎に対する説明は結構すぐ予測がついたのであとは枝葉の説明を待つばかりでした。
というのは状況からしてまともな推理小説にしようとしたらそれしか答えが無いからで、人物の書き分け方なんかからしても京極氏もそこは見抜かれると思って書いてたんじゃないかと思います。アレを見破られないと思って書くほど馬鹿な人ではないと思う。類似ネタがエラリイの有名な中篇にもあるからミステリスキーさんはすぐに気付いたでしょう。
でもそんなとこ解っちゃっても面白いんだよーだよー枝葉を待つだけでうきうきします。
他のミステリの比にならんくらい大量の事件がごっちゃごっちゃ混ざってるのにそれが解かれる瞬間ときたら爽快ですわな。クリスティーやクイーンや、大御所の謎解き以来と言ってもいいかもしれない。「うわー!」って感じ。オカルト色が強いからどうやってこれに論理的説明をつけるのかといつもひやひやします。ていうかオカルト色一切抜きの説明なんて不可能だ(笑)でも超現象を避けた説明ができてしまうから凄い。相変わらず論理の飛躍もありますが。多くのミステリもその例に漏れないけれど、あれだけの材料で推理がまかり通ったら妄想の域です(笑)
歴史を勉強してから読んだら面白さ三割り増しくらいしました。
偽名に『吉田茂』で爆笑してしまったよ。そりゃあわっかりやすく偽名だよな(笑)203高地の話も出てくるしーのぎのぎー!(何さ)
そもそも舞台設定が戦後から7~8年だなんておいしすぎる…!まだ尾崎も古島もいるんじゃないの!?(ドッキドキ)吉田(茂)は現役、この頃池田(勇人)や佐藤(栄作)はいくつなのさ…!(くはーv)
明治・大正・戦前の話もぽんぽん出てきて楽しいことこの上ないです。その辺りのマイナーな猟奇事件にも触るし(実際にあったかどうかは調べてないので不明)そりゃあ政府人は頭痛かっただろうなーと思うと楽しくてー(京極関係ないじゃないの)
戦時中の榎木津のあだ名「カミソリ」だなんて、戦時中なら東条英機と、明治なら陸奥宗光と被ってますから★(何)(どっちもカミソリ大臣と呼ばれた男)
それから民俗学講義と宗教講義が相変わらず素晴らしく面白いです京極先生。今回は心理学(夢の話)まで付いてきてスペサルでした。
この話で焦点になった宗教団体の教義や儀式については「ダ・ヴィンチ・コード」で扱われていたものと、東洋西洋の差はあれど似てましたなー。ダ・ヴィンチも京極もどちらも映画化だけど、この本が映画になるよりダ・ヴィンチのが早く公開だろうから上手くやらないと被ってるってツッコミ来そう。小説の発表は京極さんのが早いんですが(笑)だからそのときはツッコミ入れたやつがむしろアホなんですが(笑)

あと居候×牧師萌…!リバ可!(最低)

『モロッコ水晶の謎』 有栖川有栖 

あああこれだよーこの空気だよ私が読みたかったのは…!(笑)
全力投球本格本格した空気がたまりません。

①助教授の身代金
核になるネタがやや②と被る。大阪府警の出番が多くて大歓喜。
犯人さんの動機が現実性に欠ける上弱い気がしました。『絶叫城殺人事件』然りですが、現代っぽい中身のない犯罪者を描こうとされているのでしょうか。

②ABCキラー
兵庫・大阪・京都府警夢の競演。 刑事さんみんな大好きです。
さすが旅好きの有栖川先生というか、架空の地名の命名が上手い。嘘っぽくない。本当にありそうっていうかあるんじゃないの…? という感じ。
登場人物のお名前に関しても有栖川先生は比較的そうだと思います。実際にありそうなんだけど無さそうでもある。その『ありそうでない、なさそうである』というのが本格ミステリの味のひとつであると有栖川先生ご自身仰っておられましたが正にその通りv
最初に掲載された文庫(ABC殺人事件をモチーフとしたアンソロジー)の中でも一番良かった作品だったと思います。

③推理合戦

④モロッコ水晶の謎
表題作。とりあえずオチはちょっと厳しかったような…!(笑)
時事ネタ色強かったので、今読んでおくのが一番美味しいかな。旬。


有栖川先生の使う日本語が非常に好きです。端正で。たまに難しめの熟語を若い人が使ってたりして書き分け難アリ!と思わなくも無いですが(笑)基本的に読んでいて気持ちいいです。

モロッコ水晶の謎 (講談社文庫 あ 58-14)モロッコ水晶の謎 (講談社文庫 あ 58-14)
(2008/03/14)
有栖川 有栖

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『ダ・ヴィンチ・コード』 ダン・ブラウン 

事件そのものや、犯人の正体は…!というようなミステリ的要素ではなく、含まれている情報量の多さ(=蘊蓄量)に驚かされましたし、面白さも主にそこから感じました。著者は象徴学と宗教及び各美術品や国の様子に関してどれだけ取材と勉強を重ねたのかと。マニアなくらいその分野について言及されています。
ただし私にはその分野の知識が無いので、どれほど正しいものなのかは判別できません。事実と反するという批判も随分あるようです。
個人的にはこの本から『事実』だけを取り出した本をぜひ作って欲しいです。フィクションである限りどこまでが事実もしくは実在の学説で、どこからが作者の仮定もしくは創作なのかというところが曖昧なので。いやもちろんミステリっていう形に昇華させたからたくさんの人が読んで大問題になったのですが。教会が隠してきたことを漏らしまくりで、しかも欧米各国(=キリスト教圏)でばかばか売れてしまった。(正誤は置いておくとして、『教会の秘密』と称されるものがキッパリ書かれたことが売り上げ助長に繋がったんでしょうが)この事実を知らせたい!という方向だったのなら大衆向け小説にして大成功ですわな。最近新聞にはヴァチカンの枢機卿さん?による、『あの本に書かれていることは大嘘だ。買うな、読むな、といいたい』というような声明さえ載りましたし。
総じて男女同権主義者、世界史に精通している方ならより面白く読めるのではないでしょうか。知人で、「キリスト教をもっと知っていればもっと楽しめた」と言っている人もいましたが、本当にキリスト教に精通なさってる方にはむしろ不快な本ではないかな。通常の見方を悉くつついてひっくり返している感じだったので。
メインの謎である『暗号』はやや難アリだと思います。作中の暗号を読む限り、ヒントが少なくて一個の答えに絞るのはかなり不可能に近い。解釈がちょっと強引です。
ただそこは認めてやってるようなので(主人公たちが『間違っている可能性が大きい』という前提で暗号を解いてるということ)個人的許容範囲内でした。
『ミステリとして万歳!』より、『エンターテイメントとして愉快』という感じの本。
映画化は正解だと思います。楽しみです。

『四日間の奇蹟』 浅倉卓弥 

2002年第一回『このミステリーがすごい!大賞』(※新人賞)大賞作。ただし私の基準でのミステリではない作品でした。
私にとってのミステリは特に本格ミステリ、幅を広げてもまあその前後ってくらいなので(苦笑)トリックロジック事件謎臭のないこの作品をミステリと呼ぶことはできないです。このミス大賞だからイコール『ミステリなんだわーいv』って思い込みがあった分そういう作品じゃないとわかってきたときはがっかりでした。
最後まで一応一筋は「何か途中で謎解きめいたものがあるんじゃないか」「あの事故やその事故に関して驚きの事実が出てきたりするんじゃないか」と期待してたんでよりがっかりでした(笑)
いっそ最初からファンタジーだと思って読んでればもう少しプラス評価できたかもしれないのですが。
それから筆致があまり好みじゃなかったのでのめりこめた時間が凄く短かったです。上手い下手ではなく好みの問題として。
極端にいえばクサい。長くて不要な、飾りっ気ある描写が多い。ところどころの隠喩が実際どんなふうなことを描きたいのか掴みにくい。体言止め多い。……好かんのです;でもそこは新人さん、これからどうなるかなーということですわな。
とか言いつつお話自体はそこまで嫌いではありませんでした。
一番盛り上がる最後数十ページだけは非常に面白く読めました。ピアノの音が聞こえてきそう、という書評は本当だと思います。

周りからは妙ーに評価が高い作品なのですが、個人的には聞くほどではない感じでした。

『一老政治家の回想』 

明治~昭和にかけて、ジャーナリスト→政治家の道を突っ走った男気策士・古島一雄往年の回想録。
老政治家=古島の回想とはいいますが、古島の自叙伝というよりは8割犬養話です。
もちろん普通にときの日本政界を読むこともできます(そりゃな)
基礎的な事件と人物を知らないとやや解りづらかったですが、しっかりした政局の観察であると思います。
年号・日付の記述に誤りもあるとかないとか聞きますがどうなのでしょうか…?
もう少し勉強して参ります。

『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野 晶午 

この本は私より先に母が読んでました。
2004年のこのミステリーが凄い!で一位にもなった作品で、母的には風俗とセックスの描写が結構あるから私には読ませたくなかったけどミステリとしての出来が良かったからそんなのどうでもよくなったんで読んで!という感じだったようです(笑)
が、正直出来はそんなでもなかった。(笑)
トリックには私は気づかず読みました。でも慣れた人ならすぐ気付いたでしょうし、ネタ晴らしの後も「あーそーか」くらいの感慨しかなかったです。悪くはないけど激賞するほどのものでもありませんでした。
現代風刺的な題材を扱ったという点では頑張ったで賞。それに関連する巻末語録は面白い。
タイトルは上手いです。中身をきちんと表しているし響きも良いと思います。横文字じゃないし。
ただ本文にはちらほら意味のない横文字が見えたけども。
不必要なまでのカタカナ外来語使用があまり好きではないのです。ことプロの文章と政治家に関しては。
他の人がやらないことをやるのがカッコいいという心構えには同意しますが、コレと同系のひっかけは今までにもたくさんの人がやってます(笑)もう一ひねりほしかったです。

『坂の上の雲』 司馬遼太郎 

キャラの魅力を認めつつ、戦争は繰り返してはならないと尚言えるだけ判断力のある人には是非読んで頂きたい作品です。
というのは、下手をしたら戦争肯定に転びかねないくらい登場人物(主に軍人)が非常に魅力的に描かれているのですね。きらきら憧れちゃうくらい。でも憲法九条で首の皮一枚戦争を避けてる現代において、戦争の悲惨さを肌で知ることができるのもこの作品の力です。どれだけアカンことか、というのは知る必要があると思います。この作品は情報量が多いので、考えさせられもしますし。
戦争を正当化することは絶対にできません。ただ好きな人物に関して、「アンタのせいじゃないよ」って責任をのけてあげたくなるのは私にもありました。コレめちゃめちゃジレンマなんですよーでも結局責任は軍部・政府・国そのものにがっつんあると思います。転嫁も見逃しもできない。あとは明治初期の戦争に関しては日本の負うところもあるとしても、欧米諸国の帝国主義に負うところはもっとあると考えてます。
また、司馬さんは描写をあまり曖昧にしておかないので、死傷者が『数』と傷の『状態』で描かれます。読むのが辛かったです。特に203高地(陸軍)の部分は。伊地知の視界の狭さを許すことはできないよ。そりゃ児玉さんだって寿命縮むよ。
その分作品の前半、主人公の秋山好古/真之兄弟&正岡子規の関係や幼い頃を描いていく部分と子規の死までは戦争戦争してなくて気楽でした。各エピソード可愛いしね!!ほんまに!!(熱)のぼさん(子規)の病状は目を向けるのが辛かったですが;のぼさん強くて真っ直ぐで大好きー。
あと乃木と児玉は普通にコンビで大好きです。
因みにピンでめろめろしたのは真之と好古にーにとのぼさんと貫ちゃん(※鈴木貫太郎)と児玉とノギノギ(※希典)と巌さぁーv(多)ほとんど元々知ってた人なんですが(死)司馬文で読んだら益々キューン。おっとこまえ過ぎるぜよ!

この頃の列強各国+日本の民族性・国力・性質・内政状況・関係が知れる。特に戦争相手のロシアと清の状態に関しては詳しいです。次点が英米。ドイツ・フランスは比較的あっさりかな。
明治時代の日本人の気質についてはもう昭和・平成とは別物のよう。『国家』という新しい持ち物のために国民みんな真っ正直に突っ走ってる感じ。
精神や肉体の強靭さにひたすら驚かされました。

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