『行ってみたいな、童話(よそ)の国』 長野まゆみ 

「ハーメルンの笛吹き」「ピノキオ」「にんじん」、3つの古典を下敷きにした短編小説集。
具体的な言葉で描写されるわけではないのですが、性や排泄に関わる描写が多く、読んでいて目を逸らしたくなるような痛さがあります。
官能的というより、性的な部分も含めて人間の残酷さや汚さが全面に出ているように感じました。
気持ち悪かったり痛かったり汚かったりを淡々とあの筆致で書いている。
長野さん=硬質で美しい世界観、というイメージが強かったので意外でした。

行ってみたいな、童話(よそ)の国 (河出文庫)行ってみたいな、童話(よそ)の国 (河出文庫)
(1997/08)
長野 まゆみ

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『よろづ春夏冬中』  長野まゆみ 

青少年同士のなれそめが主の短編集です。 幻想小説めいたものもあれば、普通の舞台設定の作品もあります。
長野さんがよく書く「妖し気な色気のある永遠の少年たち」に比べて、『よろづ〜』は妖しいよりも生々しい、等身大に近い青少年たちが書かれいました。
凛一シリーズに近い感じでしょうか。
私はどうやらそちらのほうが好みらしいです。
硬質で透明で丁寧な言葉で、セックスではなく精神的に繋がっていく過程を主眼に書かれているあたりも肌に合いました。
エロスは全て朝チュンです(笑)
でも欲情してるかんじが行間からやたら上手く伝わってくる。
お気に入りです。

よろづ春夏冬中よろづ春夏冬中
(2004/10/09)
長野 まゆみ

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『マラケシュ心中』 中山可穂 

肉欲の恋を賛美する退廃的な歌人が恩師の妻に懸想する。妻も歌人に強く惹かれ、ふたりはひょんなことからサハラを目指すことになり……と書くとそこそこありふれた恋愛小説のようなのですが実際に本文を読めばそんな生易しいものではないということが判って頂けると思います。
読後に長いため息を吐いてしまうような小説でした。内訳は、疲労と、一途さへの感嘆と、慶び。
「良い小説」と断言するには若干の躊躇いがあるのですが、パワーのある小説だということは確かだと思います。熱に浮かされたような浮遊感とともに、読書をひと息に駆け抜けさせる引力がある。誰かに夢中になっているときの躁鬱、ものすごい体力使う感じを、作中人物と一緒に体感させられる。
好きか嫌いかと聞かれたら、私は好きです。
前半の小川さんと緒川さんの恋愛観にあーあるあると思ってしまう私も重たい女のひとり。

友達からの推薦本でした。
本読みさんからのお勧めは外れながないから素晴らしい。

マラケシュ心中 (講談社文庫)マラケシュ心中 (講談社文庫)
(2005/05)
中山 可穂

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『星降る夜のクリスマス』 長野まゆみ 

著者自身の絵+短編小説。
小説はやや荒削りな日本語だった気がしました。
絵は柔らかくてまるっこく、レトロな雰囲気が可愛らしかったです。
星降る夜のクリスマス

『箪笥のなか』 長野まゆみ 

箪笥のなか 箪笥のなか
長野 まゆみ (2005/09/07)
講談社

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『兄弟天気図』 長野まゆみ 

現実に居る兄と、過去に死んだはずの兄弟とが交錯する幻想的な雰囲気が良かったです。

兄弟天気図 (河出文庫―文芸COLLECTION) 兄弟天気図 (河出文庫―文芸COLLECTION)
長野 まゆみ (2003/11)
河出書房新社

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『谷崎潤一郎 <ちくま日本文学全集>』 谷崎潤一郎 

谷崎さんの小説から短編・中篇数編を選んだ文庫本。

『刺青』
有名な短編ですね。
強かで妖艶な女が、女の背が、大変綺麗でした。

『秘密』
既読につき割愛。

『母を恋うる記』
幻想小説と言って良いのでしょうか。
ふわふわと浮かぶような柔らかく不思議な雰囲気が好きな作品です。
静謐なファンタジーという印象を持ちました。

『友田と松永の話』
『秘密』と並んで推理小説的な作品。
ややオチが突拍子も無い感じがするので、純文学の谷崎潤一郎を求めている方には物足りないのではないでしょうか。
推理小説だと思って読むのなら、アリだろうし中々面白いと私は思います。

『吉野葛』
前半の細かく美しい風景描写に吉野の旅行記なのかと思ってしまいました。
土地の伝承・伝説を交えて、主人公の目から友人のルーツと現在が描かれています。
薀蓄・知識的な話に寄り過ぎていて途中やや退屈になりましたが、最後は可愛かったです。

『春琴抄』
既読につき割愛。

『文章読本 抄』
谷崎さんの「文章論」。
日本語の文章について、英文と比較するなど多角的に語ってあります。
小説書きの心得、というようにも読めました。

谷崎潤一郎 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎 (1991/05)
筑摩書房

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