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『しずるさんと気弱な物怪たち』 上遠野浩平 

夏の怪病、ビリビリする蜘蛛、原因不明の大爆発? 街で起こった不思議な事件を、しずるさんとよーちゃんのコンビが解き明かしてゆく連作短編。
読み口ライトなミステリです。
なんとなくではあるのですが、徐々に物語の核がしずるさんからよーちゃんにスライドしてきているような。
序盤はミステリアスなしずるさんと、ごく普通の明るい少女よーちゃん、という描かれ方だったと思うのですが、「どこにでもいる女子学生」であったはずのよーちゃんが実はとても特別な存在なのかも…と匂わすような描写が多々。いや今までもちらほらありましたが、今作は更に多くなったように感じました。
それに伴って、よーちゃんが自身の意思で謎を解こうと行動し、しずるさんのように思考する場面が増えていたことも今までとの違いを感じる部分です。
しずるさんとよーちゃん、調べたり考えたりする「探偵役」の機能割り振り・役割分担が、よーちゃんに傾きつつあるのでしょうか。
今後も楽しみです。
また、シリーズ同士で世界観が繋がっている描写がしばしば挿入される上遠野作品ですが、今作では炎の魔女と死神さんが顔を出しておられてもの凄くテンションが上がりましたー…!

また本編の話からは逸れますが、挿絵が全てフルカラーだったことに驚きました。
星海社さん、気合いの入った文庫を刊行しておられる…!


しずるさんと気弱な物怪たち (星海社文庫)しずるさんと気弱な物怪たち (星海社文庫)
(2014/04/11)
上遠野 浩平、国道12号 他

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『どんどん橋、落ちた』 綾辻行人 

読者の死角を狙い澄ました論理に、ああ気が付かなかった騙されたと膝を打つ。
ミステリの原風景のようなお楽しみが詰まっている犯人当て短編集。
謎解きをわくわく待つこの感じ、やはり大好きです。
言葉のひとつひとつまでミステリ的文法に則って書かれていて(それについての解説も面白かった)、ミステリ読みならミステリ読みほどにやにやしつつ楽しめるのでは。
メタや怪奇な趣向も綾辻さんらしい。
インパクトの大きさピカイチだった「伊園家の崩壊」は草を生やして読めばいいのかトラウマ展開に震えればいいのか(笑)
日曜日の日本の夕餉と月曜日症候群にお馴染み、国民的あの一家の見事な大崩壊。ある意味必読です。

あとは個人的に、ハヤカワ式「エラリイ」表記が嬉しかったです(笑)

どんどん橋、落ちた (講談社文庫)どんどん橋、落ちた (講談社文庫)
(2002/10/04)
綾辻 行人

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『蝶狩り』 五条瑛 

依頼人シリーズ、連作短編。
『天神のとなり』と近い雰囲気です。
小さな事件のなかで大きな事件も進展してゆく、話の繋ぎ方が上手い。
キリエのどこか煤けた潔さが好きだけど、ビジュアルを上手く想像できなかったのはどちらかというと世知にうとい私自身のせいでしょう。
結末には賛否両論あるようですが、こういう形で読者の想像に委ねるのもひとつありかなと。キリエにも桜庭さんにも頑張って生き抜いて頂きたいと思いました。

蝶狩り (角川文庫)蝶狩り (角川文庫)
(2008/08/25)
五條 瑛

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『動物園で逢いましょう』 五条瑛 

本編(?)のほうは、ひとつひとつの短編がミニミステリ的に面白いことはもちろん、連作短編として読んでも完成度が高くて楽しめました。
一連の連作短編を「白と黒のエクスタシー」で締める、という構成・モチーフの使い方がとても好みでした。
また、番外的に収録されている「街角の向日葵」では、洪&パクのコンビをもう一度見られてとても嬉しかったです。このコンビの話も、もっと読んでみたいです。

『列車消失』 阿井渉介 

7両編成の列車から、6両目だけが乗客ごと消えうせた!
その乗客を人質に、巨額の身代金が要求される。
身代金の受け渡しや各種対応に犯人が指名するのは、いずれも元国鉄職員の男たちだが、それ以上の接点は見えてこない。
さらに同じ男が二度列車に飛び込み自殺をし、轢断された胴体だけが車内を歩くという怪異が起こる――
犯人はなぜ、どうやって列車を消失させることができたのか?
長編鉄道ミステリー。

普段ならば、こんなあら筋を読んだら、「風呂敷を広げるだけ広げて畳めないんじゃないかな」と敬遠したと思います。
しかしこの作品は、「綾辻・有栖川復刊セレクション」のうちのひとつです。お二方が勧めるのだから何かがあるのだろう、と読んでみることにしました。
結果は、当たり。
大掛かりな謎だけにスマートとはちょっと言いにくいですが、合理的な説明がつき、丁寧に風呂敷が畳まれていると思います。
「島田荘司さんに触発された」という著者あとがきを読んで激しく納得した、と書いたらその雰囲気が伝わるでしょうか(笑)
また、犯人の描写が複雑かつ繊細で印象に残っています。
捜査に奔走する警察側も見ていて楽しい方揃い。恐持てでもなければ天才でもないけれど地道な捜査で真実に迫る牛深さん、現場大好きキャリアの白川さん、ノリは軽いがやるときはやる松島くん、実直新人の鶴見くん。最初はちょっと人数が多いかな、と思ったのですが、次第にこのメンバーで役割分担していく様子がしっくりくるようになりました。
同じ面子でシリーズ化されているなら追いかけてみたいです。

読後に残念だったことといえば、V・L・ホワイトチャーチの「ギルバード・マレル卿の絵」のネタばらしがある点。
ホワイトチャーチを読む予定があったわけではありませんが、種明かしをされてしまうのはやっぱり悔しい…!(笑)

列車消失―綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)列車消失―綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)
(2007/10)
阿井 渉介

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『御手洗潔のダンス』 島田荘司 

御手洗シリーズ2冊目の短編集。空飛ぶ夫婦、神からの鉄槌としか思えない不可能殺人、夜な夜な狂ったように踊りだす老人の謎、そして御手洗・石岡コンビの近状について。
盛りだくさんの収録作品は以下。
山高帽のイカロス
ある騎士の物語
舞踏病
近況報告

久し振りに御手洗ものを読んだのですが、なんだか自分の原点に帰ってきたような楽しさを感じながら読みました。
名探偵がいて、助手がいて、現実では絶対に起こり得ない美しい幻のような極上の謎があり、それが最後には様々な伏線を回収しつつ解決をみる。
推理小説の基本的な、けれども最近あまり読めなくなってしまった形の作品が読めて幸せです。
やっぱりこういうシャーロック・ホームズ型のミステリが一番好きですv
4編の中で一番すごいと思ったのは「舞踏病」でした。
塔と絡めた幻想的な一人称、魅惑的な謎、加えて日本の医療体制への批判。
「謎」と「近代科学」がミステリの大きな要素だとするのなら、そのバランスが絶妙でした。
この日本の体制への批判、というのは作品全体に見られましたが、作品自体は20年近く前の発表ながら現代にも通じる内容であると思いました。

御手洗潔のダンス (講談社文庫)御手洗潔のダンス (講談社文庫)
(1993/07)
島田 荘司

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『ななつのこ』 加納朋子 

本が大好きな女子大生の駒子は、『ななつのこ』という小説にほれ込み、ファンレターを書くことにする。何気なく身近で起きた事件のことを書き添えてみたところ、著者から返信が。その返事には、事件の全貌が見事に推理されていて――
手紙のやりとりを主体に、日常を描く連作短編ミステリです。
陽だまりのような優しい優しい世界観で、読んでいてとても和みました。
元気になりたいとき、癒されたいとき、世の中悪いことばっかりじゃないよねっと実感したいときにオススメです。
ウッカリ『魔法飛行』から先に読んでしまった私ですが、やっぱりここから読めばよかったなぁとちょっと悔しく思っています(笑)

ななつのこ (創元推理文庫)ななつのこ (創元推理文庫)
(1999/08)
加納 朋子

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