『気分は名探偵―犯人当てアンソロジー』 

気分は名探偵―犯人当てアンソロジー気分は名探偵―犯人当てアンソロジー
(2006/05)
我孫子 武丸、霧舎 巧 他

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『歴史ショートショート劇場』 アンソロジー 

日本史から世界史まで、歴史的事件・人物を扱ったショートショート集。偉人などが扱われていない作品(普通? の歴史ショートショート)もあります。
赤川次郎から始まり、泡坂妻夫石ノ森章太郎内田康夫かんべむさし島田荘司夢枕獏小池真理子田中芳樹etc…作家陣は幅広いです。そのため、また一部扱っている人物や構成(ネタ)が被ってる感じがするなー…という作品もありはするのですが、人数がいる分ピンキリになるのはアンソロジーの常として、概ねバリエーションに富んだアンソロジーが出来上がっていると思います。
星新一さんのノリがお好きな方には楽しめるのではないでしょうか。
歴史ショートショート劇場 / 新人物往来社

『秘密。私と私のあいだの十二話』 

(以下「Book」データベースより引用)レコードのA面・B面のように、ひとつのストーリーを2人の別主人公の視点で綴った短編12編。(以上引用)
というように、起こっている出来事は同じなのに目線が違うと話が違う、というショートショート集です。
AとBの考え方の違い・見ているものの違い・生き方の違い。そんな違いが絡まりあって、ひとつの物語が出来上がっていきます。連作短編といってもいいんじゃないでしょうか
本当にごくごく短いお話ばかりで、さらりと読めてしまいます。
人生の皮肉や、考えさせられるもの、切ないお話もありますが、胸が温かくなるような、ほろりと涙が出るような、可愛く優しいお話が一番多かったと思います。全体的に癒し系な感じです。

執筆陣とタイトルは以下のとおり。

ご不在票—OUT‐SIDE / IN‐SIDE (吉田修一)
彼女の彼の特別な日 / 彼の彼女の特別な日(森絵都)
ニラタマA / ニラタマB (佐藤正午)
震度四の秘密—男 / 震度四の秘密—女(有栖川有栖)
電話アーティストの甥 / 電話アーティストの恋人(小川洋子)
別荘地の犬 A‐side / 別荘地の犬 B‐side(篠田節子)
ユキ /ヒロコ (唯川恵)
黒電話—A / 黒電話—B(堀江敏幸)
百合子姫 / 怪奇毒吐き女(北村薫)
ライフ—システムエンジニア編 / ライフ—ミッドフィルダー編(伊坂幸太郎)
お江戸に咲いた灼熱の花 / ダーリンは演技派(三浦しをん)
監視者私 /監視者僕 (阿部和重)

伊坂さんのお話を読む気できたら有栖川先生もいらっしゃり、不意打ちラッキーでしたv
有栖川先生の作品はやっぱりミステリチックで、この方らしいな、と。
短編ミステリにできたかもしれないネタだと思います。


秘密。―私と私のあいだの十二話 秘密。―私と私のあいだの十二話
ダヴィンチ編集部 (2005/03)
メディアファクトリー

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『推理作家になりたくて マイベストミステリー第六巻 謎』 日本推理作家協会編 

推理作家さんたちの自薦短編と、影響を受けた/オススメの短編と、エッセイをワンセットにしたアンソロジー。
他の推理作家協会編のアンソロジーに比べて、「自薦」であるからかクオリティが高いものに仕上がっていると思います。

有栖川有栖
『望月周平の秘かな旅』(有栖川有栖)
ずっと読みたかったのです…!
雑誌掲載されたきりだったので、こちらへ収録されたのが本当に嬉しかったです。
読んだ時期が今というのも抜群に良くて、全力投球モチ先輩に感情移入して読みました(笑)
卒業手前の哀愁、切なさ、寂しさみたいなものに、『あるある、思う』と頷いてしまいました。
センチメンタルすぎる、青臭い、と言われてしまえばそれまででしょう。
でも私はこの繊細な硝子のような世界が好きです。

『お召し』(小松左京)
SFチック、寓話的な短編。書かれていない部分を想像する愉しさ・怖さがあります。
上手いなあ、と素直に思いました。

『季節がうつろう秋』(有栖川有栖)エッセイ


折原一
『わが生涯最大の事件』(折原一)
叙述トリックもの。
マクロな視点で見ると結構面白いんですがでも細部で引っかかることがいくつかあって、楽しみ切れませんでした。
もう少し日本語を厳選することができたんじゃないでしょうか。

『原島弁護士の処置』(小杉健治)
動機とかトリック以前の問題として、わざわざその手段を取る意味が無いんじゃ? と突っ込みたくなる作品。
私はイマイチハマれませんでした。

『長編一本分の感動』(折原一)

加納朋子
『最上階のアリス』(加納朋子)
加納さん好きですーー(;;)
優しい筆致と優しい人物と優しいお話。ほろりとしました。あーやっぱりこの方の日常ミステリが好きです。


『DL2号機事件』(泡坂妻夫)
強引だけど強引さを感じさせない素敵な短編でした。
全体的には暢気でユーモラスなのに、殺伐とした山場が合さって独特の雰囲気が醸されています。
↓加納さんのエッセイにおける書評(解説?)が的を射ていると思うので一緒に是非。
亜が可愛いですねv

『非合理な理論』(加納朋子)


都筑道夫
『ジャケット背広スーツ』(都筑道夫)
刑事と元刑事親子の会話がほとんど、という形式=現役刑事の子どもがぶつかった事件を、話を聞くだけで親父が解く安楽椅子探偵もの。
いい感じに人物が出ていて、親子とも好きになりましたv
『ジャケット背広スーツ』は、普通に上着を着ているのにその他にも二着の上着を持った男性と強盗殺人とが絡むお話。
何故三着もの上着を持っていたのか? 隠されたダイイングメッセージとは何なのか?
二つの謎の回答はシンプルにして納得。良短編でしたv

『押絵と旅する男』(江戸川乱歩)
ずっと読んでみたかった、有名なこの作品。
推理小説ではなく幻想小説に類されるものですが、不気味で美しい乱歩の世界を恍惚と味わわせて頂きました。
ぼんやりとした、不思議な夢を読まされているようでした。

『出会い』(都筑道夫)


法月綸太郎
『ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?』(法月綸太郎)
一度別のアンソロジーで読んだことのある作品なので割愛。

『黒い扇の踊り子』(都筑道夫)
やや動機が伝わりにくかったです。勝手に解釈・想像させて頂きました。
海外のシリーズもののパスティーシュだそうで、日本作家の作品なのに翻訳っぽい雰囲気が出ているのが面白かったです。

『ユダの窓』と「長方形の部屋」の間(法月綸太郎)


横溝正史
『神楽太夫』(横溝正史)
本格というにはややロジックが弱い気がしますが、最後のオチが綺麗に利いていました。
大きな意味で推理小説としては面白いと思いますv
初横溝がアンソロジーで短編という邪道っぷりが申し訳ないですが(笑)

『秘密』(谷崎潤一郎)
とても好きな短編です。
人ではなく謎に恋する男の心理が解剖されています。その倒錯と歪みが谷崎さんお得意の妖艶さで描かれ、矢鱈に美しい世界になっていました。
乱歩の雰囲気に近い、というより乱歩が谷崎さんの雰囲気に近いのかな? 文学史的流れで言うのならば。

『谷崎先生と日本探偵小説』(横溝正史)

編集委員特別座談会「作家の原点がわかるアンソロジー」(阿刀田高/北村薫/新保博久/宮部みゆき)
推理作家協会の裏話もチラリの座談会(笑)
第六巻に限らず、このアンソロジーシリーズ全体を話題にしている感じでした。
自薦した作家の意図やアンソロジー自体の意図の話が興味深かったです。

推理作家になりたくて〈第6巻〉謎―マイベストミステリー 推理作家になりたくて〈第6巻〉謎―マイベストミステリー
日本推理作家協会 (2004/04)
文藝春秋

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『新本格猛虎会の冒険』 

タイガースファンの作家たちによる、虎に捧ぐ本格推理アンソロジー。作家紹介=著者の阪神ファン暦。
タイガースが好きな方にはめっぽう面白いと思います。虎への愛が溢れています。
(逆に言うと巨人が好きな方にはオススメしません/笑)
選手なども実名で出てきたりしますが、野球に詳しくない私には解らなくて残念でした。

五人の王と昇天する男達の謎(北村薫)
なんと、「作家編の」でもなく「学生編の」でもない「作家・有栖川有栖御大」が奥様と一緒に登場し、探偵役を務めるという異色なミステリです(笑)
ところもファンタジックで、煉獄が舞台。
野球ファンの男たちは昇天する寸前に好きな選手と面会し、「誰と会ったか」をダイイングメッセージとして残す。
さて二人が会った選手とは、誰なのか?
ウィットの利いた洒落という感じで私は好きな作品です。
有栖川先生可愛いな(お前落ち着けええ)

一九八五年の言霊(小森健太朗)
これも洒落っぽさが強いですがー…論理がちょっと強引、かつ最後のオチが寒かったです。

黄昏の阪神タイガース(エドワード・D.ホック)
ホックはタイガースファンではないようですが(笑)でも日本のことがしっかり描けている良短編だと思います。
女性がややアメリカ女性っぽい雰囲気かなー? とも思いましたが。
海外の人の日本、というのが面白いから良いです(笑)

虎に捧げる密室(白峰良介)
動機がこのアンソロジーならではです。
突拍子も無いトリックで驚かせてくれるノリではなく、ああ成程ね、とストンと納得行く感じ。
あっけなさ過ぎてイマイチと思う人もいるでしょう。個人的には、有り得なさ過ぎる話をされるより好感が持てました(笑)

犯人・タイガース共犯事件(いしいひさいち)
これのみ漫画。
『意外な共犯者』ににやりとします。

甲子園騒動(黒崎緑)
テンポの良い会話のみで展開してゆく『漫才ミステリ』(らしい/笑)
阪神ファンの人にはわかるだろうネタ満載です。関西弁のとんとん拍子とボケ・ツッコミの展開の速さで飽きさせません。
ごく普通と思われた球場風景が一変する様子、会話のみの本文に上手く引かれた伏線が良かったです。

猛虎館の惨劇(有栖川有栖)
わけのわからん謎に継ぐ謎が論理的に解明されて、更には阪神への愛のこもったオチがついてしまう、美味しい本格ミステリ。
ポーの応用形と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。
不謹慎とは思いつつ、オチの上手さに手を打ちました。なーるほどね!
トラキチな有栖川先生も好きですよ。

新本格猛虎会の冒険 新本格猛虎会の冒険
有栖川 有栖、逢坂 剛 他 (2003/03)
東京創元社

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『謎の物語』 紀田順一郎編 

不思議な、ひと捻りあるお話を集めたアンソロジー。子供向けながら、良品が揃っています。
モノはオカルトからミステリから様々。作家も国内から国外まで扱われているのですが、国外の方が比較的多いのでとりあえず「海外小説」にカテゴライズしました。

『女か虎か』(F.R.ストックトン)
 結局どちらだったのか激しく気になる一編。
 かなり発表後の模倣者が多かったろうと思うネタですが、一番最初にやった人を超えることは難しいでしょう。

『謎のカード』(C.モフェット)
 作者が解決編も書いているようですが「納得いかない」ブーイング多数とのこと。コレ一編で読んでおくのが正解か?
 鮮やかな解決編が登場したら、解決編書いた人はヒーローになれると思う。五十円玉二十枚の謎を思い出した。

『穴のあいた記憶』(B.ペロウン)
ミステリ仕立て。ラストが上手い。鮮やか。面白い。
仕立て、というかコレはメインの謎についてとやかく言わなければ本格に近い論理的な作品と言ってもいいと思います。

『なにかが起こった』(D.ブッツァーティ)
結局どうなったんじゃー!(笑)
や、そういう話この本には多いけれどもコレは終わり方が他よりちょっとキレが無いというか、「謎が謎のまま」で完結している美しい短編というより中途半端に終わっちゃった感がちょっとあった。
列車の疾走感は好きです。

『茶わんのなか』(小泉八雲)
化かし系説話。
途中で話が切れてしまってる話を発掘・紹介しておきながら、最後どうなったのか彼の想像さえも付け加えず読者の想像に委ねてしまうっていうその裁量がハーンらしいと思います。

『ヒギンボタム氏の災難』(N.ホーソーン)
ミステリ仕立て。どうなってるの? って思うのですが、綺麗にまとまります。
これは謎めいてるけど謎を謎のまま丸投げしていない好作品でした。

『新月』(木々高太郎)
ミステリ仕立て。心理系ミステリですね。
話としてはたっかたっか読めますが、細田氏の考え方が深いです。

『青頭巾』(上田秋成)
ナチュラルに衆道★ 雨月物語から。現代語訳といいつつところどころ古語がまんま残っています。でも註があるから読みやすい。
醸しだされている雰囲気が好きです。

『なぞ』(W.デ・ラ・メア)
これはほんとに抽象的。
多分抽象的というより象徴的なんだろうけどどう解釈すべきなのか私には解りかねました。
ただ空気の不気味さは肌で感じた。

『チョコレット』(稲垣足穂)
可愛らしい妖精ファンタジーです。日常に見せかけて非日常。童話的。
謎というより「不思議」かな。
滑稽さが良いです。

『おもちゃ』(H.ジェイコブズ)
暗示的(象徴的)。不思議な話なんだけど、大事なことを暗に指摘されているようで切ないような焦るような気持ちになりました。

『密室―ミステリーアンソロジー』 

ミステリのアンソロジーっていうのは概してそうですが、これも例に漏れず出来が悪い…(がくり)
有栖川・法月・若竹先生は良かったです。有栖川先生については贔屓気味なので正確な評価かは保証できません…(帰れ)
それ以外は個人的にはちょっとドンマイです。

「消えた背番号11」 姉小路祐
不可能です。こっけいなくらい無理がある。
以下反転でネタバレツッコミあれだけ激しい教義で全然ずれないわけないと思うのですよ背中の数字。しかもいくら医者さんが影になったといってもスタジアムで観客が見ているのに死角なんて出来るものじゃないと思う。鋏で切るって作業はかなり遠目でも不自然に見えると思う。

「うば捨て伝説」 岩崎正吾
お話としては、私はおじいちゃんおばあちゃんにとても弱いので(笑)割と好きですが、トリック面を冷静に考えるとちょっと無理がある。

「密室のユリ」 二階堂黎人
「消えた背番号11」と同。
以下反転でネタバレツッコミ恋愛沙汰の容疑者二人を呼ぶ理由がマジバナ無い。読者の目を誤魔化すためでしかない。トリックに関しても不可能。あと息を呑む音が取れるほど近くで回ってるテープレコーダーに気付かないことってあんまりないと思う…部屋が違うような描写があったけどそしたら今度は息を呑む音なんて取れないのでは。

「靴の中の死体―クリスマスの密室」 山口雅也
クイーンの『靴に住む老婆』との被りは狙ってやったのか否か。山口さんクイーンの解説も書いていたので知ってはいたでしょうが。
ブル博士・キッド・ピンクの三人組は結構好きです。はっちゃけた設定が面白い。
以下反転でネタバレツッコミ自殺の理由が弱すぎる…! あと、靴をそんなに上手く返せたとは思えない。

「開かずの間の怪」 有栖川有栖
だ、だいすき…(お前ホント贔屓が過ぎるよ…)(自覚はしてます…)男子のやんちゃさ加減全開短編。学生編シリーズ1やんちゃな江神さんがここにいると思うわけで!
敢えて凝った話にしなかった分書き込めてるのでは。
マリアはまだいないころですね〜。ちょっと残念。

「傾いた密室」 折原一
某作家さんと被ってるってことを自ら告っちゃったのが不味かったですよ。個人的に。女の子が性的な目でしか見られていないのもあんまりいい印象ではなかったです。

「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」 法月綸太郎
本格ミステリとは言い難いけれども、本格を期待せずミステリファンが読んだらオチでにやりとできると思う話。本格にこだわらなければ上手な一編だったと思います。推理の部分はクイーンファンののりりんらしく仕上がってました。

「声たち」 若竹七海
これは本格としても上手かったと思います。
素朴な仕掛けのオチが来るので、気付けなかったことが悔しいやら、でもその悔しさを味わうのが嬉しいやら複雑です(笑)
声、というネタの使い方がまた面白かったです。