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『幽談』 京極夏彦 

京極先生の「怖い話」短編集ということで、夏の間に読みたいとずっと思っておりました。
結局9月になってしまいましたが、滑り込みセーフというところでしょうか(笑)
収録作品は
「手首を拾う」
「ともだち」
「下の人」
「成人」
「逃げよう」
「十万年」
「知らないこと」(書きおろし)
「こわいもの」(書きおろし)
以上8編です。
勝手にヒュードロ系の怪談かと思い込んでいたのですが、その方向ではありませんでした。
アイデンティティが揺らぐ「怖さ」を描いた短編集、だと個人的には思います。
ホラーあり幻想小説めいたものもあり不条理ものあり幽霊らしきものもいて、ジャンル分けも難しいです。とにかく「不確かさという怖さ」をテーマにした短編集としか。
タイプとしてはマイケル・リチャードソンの『ダブル/ダブル』などに近いでしょうか。
「私は誰」なのか、「ここはどこ」なのか、「この世界は本当」なのか?
他者との境界が滲み五感も記憶も何もかも信じることができない世界観に、奇妙な不気味さを感じました。
ただ「こわいもの」はところどころ『姑獲鳥の夏』の冒頭部と同じことが主張されていて、焼き直しめいて感じられたのがちょっと残念でした。

幽談 (幽BOOKS)幽談 (幽BOOKS)
(2008/07/16)
京極夏彦

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『前巷説百物語』 京極夏彦 

巷説百物語シリーズの最新作。
又市過去編との触れ込みに、どきどきしながら読みました。
若くて、青臭くて、仕掛けもまだまだ稚拙な、新しい又市の顔を見ることができます。
私はこれでますます又市が好きになるとともに、今までのシリーズの彼のストイックとも言える言動に納得してしまいました。
色々な切なさ、悲しみを抱えた方なんだなぁと。無理と承知で、でも幸せになってほしい人だと思います。
巷説シリーズは本当にオススメです!

前巷説百物語 (怪BOOKS)前巷説百物語 (怪BOOKS)
(2007/04)
京極 夏彦

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『邪魅の雫』 京極夏彦 

賛否両論あるようですが、私は割りと好きでした。
相変わらず伝えたいものを伝えるのが上手い、小説が巧みな方だと思います。
yahooブックスでのインタビューにおいて、京極先生は、「自分が世界の中心だ」と信じて疑わない感覚の持ち主が増えているような気がする、と仰っていました。
このことを小説という形で描こうとしたのならそれは露骨に伝わりましたし、それがよくいる人間だということも強く感じました。
ああ、いるいる、こういう考え方の人、と何度も首肯・共感しました。
ラストあたりの女性の一人称がちょっとちゃちな感じがしましたが、それ以外はよく書けている小説だと思います。
書き手が京極夏彦であり、妖怪シリーズという文脈の上にあるから作風の変化や内容について喧々囂々議論されるのであって、そういうしがらみなしに一本の小説として読めば完成度は結構高いほうだと思うのですが、どんなものでしょう。
ところで今回は関口君が真人間のようでびっくりしました(笑)

邪魅の雫 邪魅の雫
京極 夏彦 (2006/09/27)
講談社

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『覘き小平次』 京極夏彦 

日本の古典怪談『木幡小平次』の改作…と言えば良いんでしょうか。基本設定を下に敷いた完全な書き直し?
登場人物の人生と人生観が絡み合い、浮き彫りにされるのは小平次・お塚の共依存…なのかな、と思います。
小平次の「気味悪さ」も描写から解るのですが、それ以上に彼のありのままに逆らわずお塚を愛おしむ様に好感を持ってしまいました。
お塚の「嫌い」という「執着」もあそこまで来れば永久の愛と紙一重ですよね。
久遠の執着に変わりなく、形は違えど二人はいつまでも繋がって行くのでしょう。二人が「愛し合う」ことはないのかもしれないけれど、お塚の「いつまでも」という言葉に私はハッピーエンドを見ました。
そして暗躍する又市が好きだー。ちょっと詰めが甘い感じですね(笑)若いなあ。
徳さんのキャラと、又市が「生きて、動いている」ということが嬉しくて、出番がほぼ無しでも満足でした。
治平さんは男前。小平次と治平さんの係わり方がとても好きです。

ところでこれ巻末に解説がついているのですが、そこで語られている「幽霊」と「恐怖」についてのお話が解りやすく端的で面白かったです。

覘き小平次 覘き小平次
京極 夏彦 (2005/02)
中央公論新社

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『後巷説百物語』 京極夏彦 

名 作 で す ね。京極先生コノヤロー! う、上手すぎるんだよ…!
巷説は、嗤う⇒無印⇒続⇒後、と読まないと勿体ないシリーズだと解りました。ていうか、本当の意図が此処まで来ないと発揮されません。今までのエピソードの積み重ねが、後で爆発する感じ。
「又市さん」
という呼び名に対する思い入れに、いちいち泣けました。
最後はもうあられもなく号泣です。
小一時間ばかり泣きじゃくらされました(難しい日本語だな)
百介さんに感情移入をしているのか、世界観全体が切なくって泣いているのかわからないままに。
今までのシリーズ全てに無駄がひとつたり無かったということを、後を完読して知らされました。
その数、内容、日本語、構成、設定、全てに無駄が無く有機的に絡まり合って『巷説』というシリーズを作り上げている。
彼らが好きな一人として、無駄でもいいからもっと色々なエピソードが見てみたかったよ!と先生に文句を言いたいくらいです(笑)でも、増えても減っても『巷説』のクオリティは下がってしまうような気がします。京極先生が組み立てたこの形こそが、唯一無二の完全であると、半ば信仰のように信じてます。
京極堂シリーズとの繋がりも上手いし嬉しいですね。
又市が「妖を操る」のなら、中善寺さんは「憑き物落とし」、又市が白なら中善寺は黒。対極図の関係に二人は置かれているのではないか、と思っております。みんな思う話か(笑)
もうめろめろ。

後巷説百物語 後巷説百物語
京極 夏彦 (2006/02)
中央公論新社

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『続巷説百物語』 京極夏彦 

巷説シリーズ2作目。
本当は一作目と並べて、時系列にそって読みたかったです。
一作目の間間に入るような話もあったので。でも『続』は時系列はともかく連作短編の形で収めたかったということでしょうか。
一作目に比べて出会ってから日が経っているので、会話やエピソードから見えてくる親しさや気軽さが可愛くってたまりません。
山岡先生と闇の世界の皆さんとの距離感の近さが嬉しかったです。
嬉しかったのですが!
嬉しかった分一番最後の書下ろしが切なくて切なくて。
好きな分だけ又市兄さんに怨み節です(;;)
号泣するということはなかったものの、後に物凄く尾を引いて重たかったです。悲しかったです。
夢中にさせてくれる素敵な短編集だからこそ感情的に振り回されます。

続巷説百物語 続巷説百物語
京極 夏彦 (2001/05)
角川書店

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『巷説百物語』 京極夏彦 

妖怪がらみの犯罪小説短編集。
推理小説というよりは犯罪小説だと思います。読者にとっての謎はあっても登場人物にはあまり謎のないお話だったので。
最後まで読んだとき物語の見え方がちょっと変わってくるのは連城三紀彦ばりですが、連城さんほどがらっとは変化しません。より驚かされるのはやはり連城さんだと思います。て、このお二方比較してもしょうがないんですが(笑)
京極堂ほど薀蓄はなく、心理描写にやや重きを置いている感じがしました。
キャラクターが上手にたっていて可愛かったです。

巷説百物語 巷説百物語
京極 夏彦 (1999/09)
角川書店
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