『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告』 菅谷明子 

世界最最大級の情報量を蓄え活用する、ニューヨーク公共図書館の実際をレポートした新書です。
ニューヨーク公共図書館は、ニューヨーク市全5区を管轄する3館・地域分館85館・研究図書館4館から成っています。
菅谷さんによれば、どの館でも単純に資料を貸し出すだけでは終わりません。
様々な資料の用意・貸し出し・取り寄せ・閲覧、緻密なレファレンス、パソコンなどのツールの提供、各種セミナーの開催、非常事態における情報提供など、媒体や形式を限らずサービスが行われています。
取り扱うテーマもビジネスから芸術文化、子ども向けなど、ジャンルやサービス対象を問いません。
ニューヨーク公共図書館を利用する市民の声もまとめられており、幅広いサービス内容が形骸化せずに機能していることが伝わってきました。
コミュニケーションツールの発達により情報が氾濫するこの時代にこそ、彼らは必要とされている。
あえて難があるとすれば、課題や問題点がほとんど取り上げられていないということでしょうか。
完璧な図書館など存在しない、と思います。
ニューヨーク公共図書館がこれからどのような改善と新事業を志向しているのか。気になるところです。

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)
(2003/09/20)
菅谷 明子

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『ほたるの本 皇妃エリザベート―永遠の美』 南川三治郎 

主観的で憶測が多く傍証が少ないので、どこまで信じていいのか微妙な本。
写真や絵がふんだんに使われているのはわかりやく美しくてよいのですが、著者(写真家)がシシィに酔いすぎもしくは酔ったふりをしすぎていて彼女のことが劇的に描かれ過ぎ、ちょっといろいろ信じかねます。
また、参考文献が貧弱なのも気になりました。
架空の姫ものとして楽しむならともかく正確さを求めてはいけない本…ではないでしょうか。

皇妃エリザベート―永遠の美 (ほたるの本) 皇妃エリザベート―永遠の美 (ほたるの本)
南川 三治郎 (2006/04)
世界文化社

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『あなたのたいせつなものはなんですか?…カンボジアより』 山本敏晴 

カンボジアの子どもたちに「あなたの大切なものはなんですか?」と聞き、絵に描いてもらっている。
その絵(答え)とそれに関連する写真集。
歴史にも少し触ってくださいます。
血まみれの人を描く子が、地雷や戦争がなくなればいいと実感をもって話す子が、切なかった。
写真はすっきりシンプルで美しい。
一面ただただ広がる線に見入ってしまいました。
涙が出た。

あなたのたいせつなものはなんですか?―カンボジアより あなたのたいせつなものはなんですか?―カンボジアより
山本 敏晴 (2005/06)
小学館

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『パレスチナの子どもたち』 

カメラがむいているとはとても思えないような真剣な目、けだるそうな目。
理解しているのかどうか、シュプレヒコールに参加するなどとても政治的な子どもたち。
私はパレスチナのことを知らな過ぎる、と悲しくなりました。


絵画記録 パレスチナの子どもたち

『はじめての海外旅行安心ガイド』 池田豊 

『女ひとり旅読本海外旅行完全マニュアル』と同じく初海外旅行を前に読んだ本。
こちらは一般的な海外旅行の話です。ツアーから個人まで、浅く広くという感じ。
出発前の準備から帰国まで丁寧ではありますが、やや情報が古いです。
書いてあったけれども行わず済んでしまった手続きなどもありました。
もっと新しい本を探すか、HPなどで信頼できる情報を確認するほうが良いかもしれません。

はじめての海外旅行安心ガイド―いろんなしくみがひと目でわかる! はじめての海外旅行安心ガイド―いろんなしくみがひと目でわかる!
池田書店旅行研究チーム (1999/09)
池田書店

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『女ひとり旅読本海外旅行完全マニュアル』 ひとり旅活性化委員会編 

初海外旅行を前に読んだ本。
女性がひとりで海外旅行に行く際のメリットデメリット、注意すべきこと、持ち物、旅の流れなどを分かりやすく端的に纏めてくださっています。
内容は充実しており、できることなら持って行きたいくらいでした(笑)コラムなども面白かったです。
ただ内容はややアジア寄りで、行き先がドイツだった私には、同じと考えていいのかどうか分からない部分もありました。
女ひとり旅読本 海外旅行完全マニュアル / ひとり旅活性化委員会

『クリスマスの文化史』 若林ひとみ 

主観的過ぎるのが鼻に付く本であった。冒頭から著者のヒロイックでセンチメンタルな独白が続き、ドイツ批判がされる。まがりなりにも文化について語ろうというのなら、もっと客観的な叙述をして欲しかった。著者の主観的感想は全編を通して付いて来るが、そこに言葉を尽くす余裕があるのならもっとクリスマス文化について詳細な説明が欲しかった。
ただし写真や絵がふんだんに使用されており、具体的なイメージが浮かびやすく、分かりやすいものには仕上がっているのではないだろうか。
クリスマスの様々な行事や習慣を概観して面白かったのは、宗派の存在であった。宗派=考え方が違うからこそ儀式や祝い方が違っている部分もあれば、根本的思想が違っても宗派を超えて浸透してしまった事物もある。例えば、聖人崇拝に当たってしまう聖ニコラウス祭を廃止すべく作られた、12月24日のクリストキントによるプレゼント贈呈はカトリックにも浸透した。元々はクリスマスツリーもプロテスタントの習慣であった。逆にカトリックの風習だった生誕シーンは19世紀にはプロテスタントにも派生した。ただプロテスタントとカトリック(とピューリタンが少々)のクリスマス史が主なことは少々残念である。キリスト教の宗派は二分割どころではない。ドイツにおいても、確かにプロテスタントとカトリックの信者が多くはあるがそれが全てではない。ページ数の問題はあるかもしれないが、他の宗派ではどのように祝われているのかも丁寧に見ていって貰いたかった。ある行事が地域や集団によって変化するとき、そこには彼らの根本思想が表れると思う。一方、ツリー・生誕シーン・アドヴェントクランツなどが宗派を超えて共有された理由も著作中には示されていない。それらが生れた事情やそこにある思想が、共有され得るものだったからかもしれない。広域に伝播するうちに思想的なものが薄れたもしくは変遷したのかもしれない。あるいは、楽しく、美しく、感動や癒しをくれる事物を真似ずにはいられなかったのかもしれない。遡ればキリスト教という共通土壌があるとはいえ、お互いに理念の違うもの同士である。魅力かメリットがないものであれば共有しようとはしなかっただろう。
 キリスト教国ではあくまで敬虔に、荘厳にクリスマスという行事を祝うものなのかと思いきや、思ったよりも柔らかい行事であるようで新鮮に感じた。不要な箇所とは思うものの、著者が情緒的に描写したドイツの片田舎のクリスマスは幻想的で美しかった。一度はクリスマス時期のドイツを旅行してみたいものである。
クリスマスの文化史 / 若林 ひとみ