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『江神二郎の洞察』 有栖川有栖 

ついについに! 待ちに待った学生編の短編集が登場です……!
名品揃いだと思っている学生編短編が手に取りやすい形でまとまったことが、とにかく嬉しいです。
アリスの入部からマリアの入部あたりまでの作品が収録されています。
雑誌を探して読んだ作品が懐かしかったり、書き下ろしがたまらなく愛おしかったり。
「除夜を歩く」、傑作だと思うのですが如何でしょう…!

改めて、この青春小説であり推理小説が大好きです。

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『真夜中の探偵』 有栖川有栖 

探偵行為が禁じられ、北海道が日本から独立して国家となった世界。空閑純は探偵を両親に持つのだが、父は探偵行為のために逮捕され、母は行方不明になっている。
両親の跡を継いで探偵となり、父母を救おうとするものの、17歳の少女は非力で現実はままならない。
そんな中、元探偵が箱の中で溺死したという奇妙な事件に関わることになるのだが?

『闇の喇叭』の続編となる本作では、溺死事件と空閑夫妻を巡る謎とが平行して扱われてゆきます。
拙くも論理的な推理を進める純をはらはら応援しながら読みました。
力足らずを嘆くだけで終わらず、必死で前に進んで行こうとする純の強かさがとても好きです。
また、そんな純に「探偵になることの責任」をきちんと考えさせているところも読み所。
探偵となって殺人犯を暴くということはその犯人を絞首台に送るということでもある。
「事件をどう処理するか」を考えて謎を解いているか? 問われて純は葛藤します。
どうにもならないことの板挟みで悩む姿は、テーマは勿論違うにしても自分にも覚えがあることで、共感を持ってしまいました。
「推理小説」としては勿論、純が探偵として・人間として成長してゆく青春小説としても読み応えがある作品です。
空閑夫妻の行く末や国家同士の対立など、大きな謎が解明されるのはまだこれから。続編も楽しみです。

真夜中の探偵 (特別書き下ろし)真夜中の探偵 (特別書き下ろし)
(2011/09/15)
有栖川 有栖

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『新装版 46番目の密室』 有栖川有栖 

旧文庫版で読んでいたところ、新装版で再読。
本編については言わずもがなでしょうか、些細な事実を基に導かれる堅固なロジックが初期クイーンを思わせる、正真正銘の「本格ミステリ」密室もの。
ひとつひとつ論理を積み重ねて犯人を指摘する場面は、何度読んでも興奮します。
そして綾辻先生の解説が、新版も旧版も素晴らしかったです。
有栖川・綾辻両先生の本格ミステリへの情熱に、なんだか泣けてしまいました。
お二方にはこれからも最上の「地上のミステリ」を書き続けて頂きたいです。

新装版 46番目の密室 (講談社文庫)新装版 46番目の密室 (講談社文庫)
(2009/08/12)
有栖川 有栖

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『闇の喇叭』 有栖川有栖 

良きミステリ、良きYA、良き風刺小説。
あとがきまで読むとより納得、味わい深い作品になると思う。
史実を下敷きにそっとずらしたような世界観も面白かったし、何より少年少女の心情描写が繊細だった。
有栖川先生は透明感のある人物を描くなあと思う。

闇の喇叭 (ミステリーYA!)闇の喇叭 (ミステリーYA!)
(2010/06/21)
有栖川 有栖

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『赤い月、廃駅の上に』 有栖川有栖 

「幽」に掲載された作品を中心とした短編集。
がっちりホラーというよりも、不思議な話や軽めの怪談話という感じです。
『作家小説』がパンチの効いた「怖い話短編集」ならば、こちらはもう少しマイルド。
全ての作品に共通しているのは、モチーフや舞台が鉄道関係であることです。
鉄道もホラーも守備範囲な、有栖川先生らしい取り合わせだと思いました。
赤一色に車両という表紙が印象的、またお気に入りです。
しかし、「月」と「有栖川有栖」が並ぶとどうしても「わらう月」を思い出してしまいます(笑)
以下、作品ごとに雑感です。

「夢の国行き列車」
今なら私も乗ってしまいそう、そして帰ってこられなそうな列車です。
名古屋万博に行ったときのことを思い出し、『20世紀少年』で培われた大阪万博のイメージを思い出しつつ読みました。

「密林の奥へ」
この密林は有栖川式「パノラマ島」かな、などと。
濃い緑、鮮やかな花々や奇異な南の生き物がばっと頭に浮かぶようでした。

「テツの百物語」
鉄っちゃんが4人集まって、鉄道にまつわる百物語を始めたのだが――
正統派百物語モノ?

「貴婦人にハンカチを」
実はタイトルから、貴婦人の精(九十九神的な)が出てくるのかなーなんて予想をしておりました…(笑)既読の方は笑ってやって下さい(笑)

「黒い車掌」
状況的に何もなさそうなのに、「どう死ぬか」がミソという意味で、若干ミステリテイストでしょうか。

「海原にて」
めちゃめちゃ海なので、これだけ鉄道は関係ないんだろうか? と思ったら、どうしてどうしてとんでもなかったですね!
ラストシーンで描かれる失われてしまった誇りが、なんだかちょっと泣けました。

「シグナルの宵」
推理作家が登場することもあり、これも若干ミステリテイスト……というか、ミステリの様式に則った怪談話だと思います。
推理小説の定番展開が、上手いこと話の流れを怖いほうへ繋げて行きます。
舞台となるバーの雰囲気が素敵です。常連になりたい(笑)

「最果ての鉄橋」
車掌さんが好きです。社長さんもいいキャラでした。

「赤い月、廃駅の上に」
鉄道忌避伝説についてざっと説明があるのですが、これが面白い。調べてみたくなりました。
冒頭の情報が最後まで活きているのが良かったです。
夢枕獏の陰陽師シリーズに出てくる百鬼夜行シーンを思い出しました。

「途中下車」
蝶ネクタイの青年が好きです。車掌さんといい、善悪も意図もスタンスも曖昧な彼岸と此岸の狭間に立ってるようなキャラクターが好みなのか?
「アタシャール」という発想が面白かったです。

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)
(2009/02/04)
有栖川有栖

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『火村英生に捧げる犯罪』 有栖川有栖 

火村&アリスシリーズ10冊目の短編集。
ボーダフォンユーザーのための有料サイトで配信された作品も収録で美味しい1冊。待ってました…!
限られた枚数で纏める必要があることからか、どの作品も構成に工夫がこらしてある印象です。読んでいて飽きません。
冒頭一文目でぐっとひきつけられる作品も多く、益々腕に磨きがかかっておられると…ファンの贔屓目でないといいのですが(笑)

以下は簡単にですが、一作品ずつ感想です。
犯人バレ・トリックバレはありませんが、描写などに若干言及します。

「長い影」
黒々とした長い影というモチーフに、漱石の『門』を連想しました。漱石の描いた門の影は退いていかないままですが、有栖川先生の場合は影を振り切ろうとしており、わずかながら光が見えている気がしました。
また、過去の事件で殺害された老婦人を金貸しとしたのは『カラマーゾフの兄弟』を念頭に置いているのかなーと思ったのですが、穿ちすぎでしょうか。

「あるいは四風荘殺人事件」
大体雑誌掲載時に書いたとおり(当時の感想
それ以外では片桐さんの火村ファンぶりに突っ込みをいれたいです(笑)
本格ミステリを書くうえでの特殊なルールとそれゆえの醍醐味が三人の試行錯誤の中から読めて楽しかったです。ミステリ創作の過程を見ているようで。

「鸚鵡返し」
初の火村視点!噂には聞いておりましたが、ようやく読めました…! 可愛い小話。

「殺意と善意の顛末」
火村と有栖川、飲み交わしながらの短い話。簡潔ながら面白いネタで、素敵なミステリ小品だと思います。
鮫山さんがかっこいい…!

「偽りのペア」
婆ちゃんと火村先生と有栖川が和気藹々している様子に和みました。
メイントリックは確かにシンプルですが、私は唸ってしまいました。なーるーほーどーなー!
タイトルとの相関が好きです。

「火村英生に捧げる犯罪」
有栖川サイドと火村(警察)サイドが交互に来る構成が面白くて好きです。
何気ない伏線とその回収がきっちりされていて良かったです。

「殺風景な部屋」
現場を見ずして、有栖川の報せてくれた情報だけで謎を解いてしまうまさに名探偵火村先生。
読者に提供される情報は火村と同じ量でしっかりフェアなのですが、まったく解りませんでした(笑)お流石です。

「雷雨の庭で」
100枚という短い中で頑張ってまとめていらっしゃる、という印象を受けました。
いろいろ加えたかったエピソードを削った(描かなかった)のかなあ、などと推測をしてみたり。
ところで作中の有栖川の著作はどうやら3作。女王国はカウントされていないのですね。

火村英生に捧げる犯罪火村英生に捧げる犯罪
(2008/09/25)
有栖川 有栖

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『妃は船を沈める』 有栖川有栖 

あらすじは書きますがネタバレ・犯人バレはありません。
有栖川御大久々の作家編新刊です。
「猿の左手」「幕間」「残酷な揺り籠」の3部立て。
どちらも丁寧に伏線を回収・推理のわき道を潰し、論理的な推理構成がされています。
スケールが大きい話ではありませんが、一手一手詰めていく感じにたまらなく興奮しました。

「猿の左手」
借金を抱えたある男が、車に乗ったまま海へ墜落して死んだ。男には睡眠薬を飲んでいた形跡がある。3人の容疑者にはアリバイ・動機・手段のどれかが欠けており、共謀したとしても犯行は不可能だと思われた。自ら車を運転して飛び込んだ自殺か、別の人間が運転しての他殺か、それとも……?
名短編「猿の手」の解釈議論が火村と有栖川の間で交わされるのですが、議論そのもの面白さもさることながら、それが推理の本筋に結びついていく流れが良かったと思います。
アシモフのSFミステリ同様、これも普通ではない状況設定を綺麗に論理の中に組み込んだ好例ではないでしょうか。
フラッシュバックの描写がどこか幻想的で印象に残りました。

「幕間」
このバー独特の雰囲気が出ていますよね。
作品の短さの割りに歌詞の引用が多いのが若干気になりましたが、曰く形容しがたい後味が残る一編でした。悲哀というのか、郷愁というのか。

「残酷な揺り籠」
西日本を中心に大きな地震が発生する。殺人はその前後に起こった。閉じられた犯行現場の鍵は日本でたった3つしか存在しない。あさっての方向にある銃痕、割れた窓、不透明な動機と策謀の香り。被害者は何故殺されなければならなかったのか? 大阪府警にニューフェイスも登場です。
謎の解明の鍵となるのは、ほんの小さなことです。
そこから論理のピースが美しく隙の無い形に埋め込まれていく過程は、まさに初期のクイーンを思わせる「本格推理小説」。
大満足です。ありがとうございました……!

妃は船を沈める妃は船を沈める
(2008/07/18)
有栖川有栖

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